投稿日:2024年11月15日

品質マネジメントにおけるなぜなぜ分析と調達購買の改善策

品質マネジメントにおけるなぜなぜ分析とは

なぜなぜ分析は、製造業における品質マネジメントの基本的かつ強力なツールです。
問題の原因を深掘りし、本質的な原因を突き止めることで、再発防止策を講じることができます。
調達購買部門においても、この分析はコストの最適化や品質向上に大いに役立ちます。

なぜなぜ分析とは、ある問題が発生した際に「なぜ」を繰り返し問いかけ、原因を5回以上追求することによって問題の背後にある根本原因を明らかにする手法です。
この方法を用いることで、表層的な原因にとどまらず、真の原因を見つけ出すことができます。

なぜなぜ分析の手順

なぜなぜ分析は非常にシンプルなプロセスですが、きちんとしたステップを踏むことが必要です。
ここでは、具体的な手順を紹介します。

1. 問題の特定 : 最初に、解決すべき問題を具体的に定義します。
例として、「部品の不良率が上昇している」といった具合です。

2. なぜを繰り返す : 定義した問題に対し、なぜその問題が発生したのかを問いかけます。
解答が得られたら、さらにその解答に対して「なぜ」を繰り返し問い続けます。
通常、5回程度繰り返すことで根本原因を掘り下げられますが、必要であればそれ以上繰り返すこともあります。

3. 根本原因の特定 : 繰り返しの結果、辿り着いた根本原因を明確にします。
これが、問題解決のための起点となります。

4. 対策の立案 : 根本原因に対する具体的かつ効果的な改善策を立案します。
再発防止を念頭に置き、根本的な改善を目指します。

5. 実行と評価 : 立案した改善策を実施し、その効果を評価します。
期待通りの改善が見られない場合は、再度なぜなぜ分析を行い、改善策を修正します。

調達購買におけるなぜなぜ分析の活用例

調達購買部門は製造業の中で、原材料や部品のコスト管理を行い、企業の競争力を支える重要な役割を担っています。
そこでなぜなぜ分析を活用することで、品質管理やコストダウンに大いに貢献できます。

コストダウンのためのなぜなぜ分析

調達購買部でのコストダウンは、企業の利益に直結する非常に重要な課題です。
一例として、ある部品の調達コストが高止まりしている問題に対し、なぜなぜ分析を用いてみましょう。

1. 問題の特定 : 「X部品の調達コストが他の同等製品に比べ高い」ことを問題として特定します。

2. なぜを繰り返す :
– なぜ1: なぜX部品の調達コストが高いのか?
– 原材料の価格変動が影響している可能性があります。

– なぜ2: なぜ原材料価格が高くなっているのか?
– 特定のサプライヤーからの依存度が高いため、価格交渉力が低下している可能性があります。

– なぜ3: なぜ他のサプライヤーを利用しないのか?
– 過去に品質問題が発生し、現在のサプライヤーに絞ったため、と考えられます。

– なぜ4: なぜ他のサプライヤーでは品質問題が発生したのか?
– 納期に追われた状態で新規サプライヤーを選定したことが原因で、適切な品質管理が行われていなかったためです。

3. 根本原因の特定 : サプライヤー選定における品質管理プロセスの欠如が特定されました。

4. 対策の立案 : サプライヤー選定時にしっかりとした品質管理基準を設け、新規サプライヤーの評価プロセスを強化します。

5. 実行と評価 : 新しい品質管理プロセスの導入と新規サプライヤー開拓を実施し、コスト削減効果を評価します。

品質改善のためのなぜなぜ分析の活用

調達購買部門は、単に原材料を調達するだけでなく、供給される品の品質確保も責任を負っています。
そのため、なぜなぜ分析は、品質向上のために活用されます。

サプライヤー品質管理の改善

例として、サプライヤーから納品された部品の不良率が高いという問題について考えてみましょう。

1. 問題の特定 : 「特定サプライヤーからの部品の不良率が高い」と特定します。

2. なぜを繰り返す :
– なぜ1: なぜ特定サプライヤーの部品に不良が多いのか?
– 事前の検査が十分に行われていない可能性があります。

– なぜ2: なぜ事前の検査が不十分なのか?
– サプライヤーが製造工程の管理を行う際のチェックリストが不完全であった可能性があります。

– なぜ3: なぜチェックリストが不完全なのか?
– サプライヤーとのコミュニケーション不足により、要求仕様が正確に伝わっていなかった可能性があります。

3. 根本原因の特定 : サプライヤーとのコミュニケーション不足による仕様伝達不備が特定されました。

4. 対策の立案 : サプライヤーへの仕様書の提出およびレビュー体制を強化し、定期的なコミュニケーションを図ります。

5. 実行と評価 : 新しいコミュニケーションプロセスを実施し、不良の減少を評価します。

最新の業界動向と購買スキルの重要性

現代の製造業では、サプライチェーンのグローバル化やデジタル化が進んでおり、調達購買部門の役割も変化しています。
従来の価格交渉に加え、品質管理やリスクマネジメント、サプライチェーン全体の最適化が求められています。

最新の業界動向を踏まえて、購買スキルの強化が不可欠です。
そのためのスキルとして以下が挙げられます。

データ分析スキル

ビッグデータの活用により、調達購買の意思決定が科学的かつ効率的に行えるようになってきています。
データ分析スキルは、購買戦略を策定する上で必須のスキルです。

リスクマネジメント能力

サプライチェーンの多様化に伴い、リスク要因も増加しています。
リスクマネジメントの能力は、サプライチェーンの安定性を維持するために必要です。

サプライヤー関係構築力

長期にわたる良好なサプライヤー関係は、品質の安定やコストの最適化に寄与します。
コミュニケーション能力と交渉スキルを磨くことが重要です。

まとめ

調達購買部門におけるなぜなぜ分析は、品質改善やコストダウンにおいて非常に有効な手法です。
実際に問題に直面した際、この根本原因を追求することで、効率的かつ効果的な解決策を見出すことができます。

また、現代の製造業において、調達購買部門の役割はますます重要になっています。
常に最新の業界動向をキャッチし、新たな購買スキルを磨くことが、調達購買部門の発展につながります。
製造業の競争力を高めるためにも、私たち調達購買のプロフェッショナルは、不断の努力を続けていかなければなりません。

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