投稿日:2024年8月28日

非破壊試験で製品の内部品質を確認し、信頼性をアピールする方法

非破壊試験の基本とは?

非破壊試験とは、対象物を破壊せずにその内部品質を検査する技術です。
この試験方法は製品の物理的特性や内部構造を知るうえで非常に有用です。
製造業において、製品の内部品質を確認することは信頼性を高めるために欠かせません。

代表的な非破壊試験の技術としては、超音波試験、放射線試験、磁気探傷試験、浸透探傷試験、渦電流試験などが挙げられます。
これらの技術はそれぞれ異なる原理に基づき、異なる種類の欠陥や劣化状態を検知することができます。

最近では、これらの技術に加えAIやIoTが融合した非破壊試験も登場しており、これによりさらに高精度な内部品質確認が可能となっています。

代表的な非破壊試験の種類と原理

超音波試験(UT: Ultrasonic Testing)

超音波試験は、超音波の反射を利用して内部の欠陥を検出する方法です。
対象物に超音波を発信し、その反射波を受信して解析します。
反射波の時間差や強度の変化から、内部の欠陥や異常を把握することができます。
この方法は特に金属製品に対して有効で、高い精度で内部の不連続性を検出することが可能です。

放射線試験(RT: Radiographic Testing)

放射線試験は、X線やγ線を利用して内部構造を検査する技術です。
対象物に取り付けたフィルムやデジタルセンサーに透過した放射線の強度を測定し、内部の欠陥を画像化します。
一般的には溶接部の品質検査などでよく用いられ、内部の気孔やクラックを高精度で検出できます。

磁気探傷試験(MT: Magnetic Particle Testing)

磁気探傷試験は、磁力を利用して表面や表面近傍の欠陥を検出する方法です。
試料に磁力を流し、欠陥部分で発生する磁力漏洩を磁粉を散布することで可視化します。
特に鉄鋼製品の表面検査に非常に有効で、細かな亀裂や微小な欠陥を簡単に確認できます。

浸透探傷試験(PT: Penetrant Testing)

浸透探傷試験は、液体浸透剤を利用して表面の欠陥を検出する方法です。
対象物の表面に浸透剤を塗布し、その後現像剤を塗布することで、表面の微小な欠陥を視覚化します。
この方法は金属や非金属を問わず広範囲に適用可能で、簡便かつ低コストで実施できる試験方法です。

渦電流試験(ET: Eddy Current Testing)

渦電流試験は、電磁誘導の原理を応用して表面近傍の欠陥を探る技術です。
コイルに交流電流を流し、対象物の表面に渦電流を発生させます。
この渦電流の変化から内部の異常を検出します。
特に導電性の高い素材に対して有効で、表面から近い部位の欠陥や異常をリアルタイムで確認できます。

最新技術との融合による高精度な非破壊試験

AIと非破壊試験

最近では、AI(人工知能)を非破壊試験に導入する動きが強まっています。
AIは膨大なデータを迅速に解析し、高精度で欠陥を検出する能力があります。
例えば、超音波試験においてAIを活用することで、通常の解析では見逃してしまうような微小な不連続性も高確率で発見できます。
また、学習型AIは試験結果のデータを蓄積し、検査のたびに精度を向上させることが可能です。

IoTと非破壊試験

IoT(Internet of Things)技術を組み合わせることで、常時監視やリアルタイム解析が可能になります。
例えば、製造ラインにセンサーを設置し、非破壊試験のデータをリアルタイムでクラウドにアップロードします。
そのデータを解析することで、異常が発生した際に即時対応が可能となります。
このように、製品の品質を常時監視することで、早期発見と対応が実現でき、全体の信頼性を高めることができます。

非破壊試験がもたらす信頼性の向上

非破壊試験を導入することで、製品の品質保証が格段に向上します。
特に下記のポイントでその効果が顕著に現れます。

製品の品質保証

非破壊試験により、製品の内部品質を確実に確認することで、出荷前の段階で不良品を排除できます。
結果として、顧客に出荷される製品の信頼性が高まり、クレームやリコールのリスクを大幅に軽減できます。

製造プロセスの最適化

非破壊試験の結果をフィードバックすることで、製造プロセスのどの部分に問題があるのかを迅速に特定することができます。
これにより、製造ラインの改善点を具体的に見つけ出し、生産効率や製品品質の向上を図ることができます。

顧客への信頼性アピール

非破壊試験に基づいた品質保証は、製品の信頼性を顧客にアピールするための強力なツールです。
特にBtoBの取引においては、品質保証の証拠として試験結果を提供することで、顧客からの信頼を勝ち得ることができます。

非破壊試験導入の課題と対策

非破壊試験の導入には、いくつかの課題が伴います。
ここではその課題と対策について説明します。

初期投資のコスト

非破壊試験装置には高額なものが多く、初期投資が大きな負担となることがあります。
しかし、長期的には不良品の減少や顧客の信頼性向上により、その投資は十分に回収可能です。
また、中小企業向けには廉価な装置やサービスを提供するベンダーも存在しますので、適切な選定が重要です。

技術者の育成

非破壊試験には高度な技術が求められるため、専門の技術者の育成が欠かせません。
社内での研修プログラムの整備や、外部の専門機関が提供する講習を受講することで、技術力の向上を図ることができます。
また、試験結果の解析には経験と知識が必要ですが、これも適切な教育と訓練によりカバー可能です。

まとめ

非破壊試験は、製品の内部品質を確認し、信頼性を高めるための重要な技術です。
超音波試験、放射線試験、磁気探傷試験、浸透探傷試験、渦電流試験などの伝統的な方法から、AIやIoTを活用した最新技術まで、さまざまな手法があります。
これらを適切に導入することで、製品の品質保証や製造プロセスの最適化、そして顧客への信頼性アピールが可能となります。

非破壊試験の導入には初期投資や技術者の育成などの課題がありますが、それ以上のメリットが期待できます。
製造業において、非破壊試験を積極的に採用することは、競争力強化に直結する重要な戦略と言えるでしょう。

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