クロムタンニングと植物性タンニングによる革の風合いの違いと選定基準【製造業】

クロムタンニングと植物性タンニングの革の特徴

革の加工方法には「クロムタンニング」と「植物性タンニング」があります。
どちらも革製品を作る上で重要なプロセスですが、その風合いと特徴には大きな違いがあります。
ここでは、それぞれのタンニングによる革の特徴について説明します。

クロムタンニングの特徴

クロムタンニングは、クロム化合物（主にクロム硫酸塩）を使用して革を鞣す方法です。
この方法で処理された革は、柔軟でありながら耐摩耗性が高く、水に強いという特長があります。
そのため、雨の日でも安心して使用できる革製品を作ることができ、靴やバッグ、ジャケットなどの製品に多く利用されています。

クロムタンニングは比較的短時間で革の加工が可能で、コスト面でも効率的です。
さらに、均一で滑らかな表面を持つことが多いため、染色の自由度が高く、さまざまなカラーリングが可能です。

植物性タンニングの特徴

一方、植物性タンニングは植物のタンニン（渋）を使用して鞣す方法です。
クルミや栗、オークなどの植物から採取されるこの成分は、革に特徴的な風合いと深みのある色合いを与えます。
また、自然素材の使用により、環境への配慮もされています。

植物性タンニングで処理された革は、硬めでしっかりとした質感が特徴です。
そのため、時間が経つにつれてエイジングと呼ばれる風合いの変化を楽しめるのが魅力的で、革愛好者や高品質な製品を求めるユーザーに人気があります。

クロムタンニングと植物性タンニングの選定基準

革製品を製造するにあたって、どちらのタンニングを選ぶべきかは、製品の用途や目的に応じて変わってきます。
ここでは選定基準について考えてみます。

使いやすさと耐久性を求める場合

日常使いの靴やバッグ、レインコートなど、使いやすさと耐久性が求められる製品にはクロムタンニングがおすすめです。
加工が早くコストが抑えられるため、量産にも適しています。
また、色が落ちにくく、日常のさまざまなシーンで活用が可能です。

風合いと高級感を求める場合

革そのものの風合いや時間の経過とともに増す味わいを楽しみたい場合は、植物性タンニングの革が適しています。
財布やベルト、伝統工芸品などには植物性タンニングが好まれることが多いです。
また、自然な色合いとナチュラルな風合いは、特別なギフトとしても最適です。

環境への配慮を重視する場合

環境への配慮やサステイナブルな製品づくりを心がけている場合、植物性タンニングによる革が選ばれる傾向にあります。
植物由来のタンニンを使用することで、化学薬品に依存しない継続可能な生産が可能です。

まとめ

革製品の製造において、クロムタンニングと植物性タンニングはそれぞれ異なる特性と魅力を持っています。
用途や目的に応じて、どちらのタンニング方法を採用するかを慎重に選定することが、製品の品質を高めるカギとなります。
クロムタンニングは使いやすさと耐久性を提供し、植物性タンニングは風合いと高級感をもたらします。
両者の特性を理解し、ふさわしい加工方法を見極めることが大切です。