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木材は古来から船舶建造に利用されてきた素材ですが、鋼やFRPの台頭により主要材料の座を譲りました。
しかし近年、炭素固定や軽量化、加工エネルギーの低さといった環境・経済面の利点が再評価され、船舶用構造材としての需要が高まっています。
とりわけ超耐水性化技術の進歩により、これまで弱点とされてきた吸水・腐朽問題が克服されつつあります。
木材は比重が0.4〜0.7と軽量で、同じ曲げ強度を得る場合の比強度は鋼と同等かそれ以上です。
振動減衰性が高く、船体振動の低減や騒音対策にも寄与します。
さらに二酸化炭素を長期固定できるため、国際的に脱炭素が求められる海運業界にとっては大きなアドバンテージとなります。
北欧では内航フェリーや大型ヨットの甲板、バルクヘッドに改質木材を採用する事例が増えています。
国内でも観光船や自律運航小型艇でCLT(Cross Laminated Timber)を船体構造に用いる開発が進んでいます。
木材を海水環境で長期使用するには、細胞壁への水分侵入を遮断し、寸法変化と腐朽を抑制する必要があります。
以下に主要な改質技術を解説します。
アセチル化処理は、無水酢酸で木材内部の水酸基を置換し親水性を低減させる方法です。
処理後は吸水率が未処理材の1/5以下に低下し、寸法安定性と耐腐朽性が大幅に向上します。
重合乳化剤であるメタクリル酸を共重合させる手法もあり、架橋構造により水路が封鎖されるため海水侵入を強力に阻止します。
170〜200℃で圧縮しながらリグニンを再配置する熱圧縮処理に樹脂含浸を組み合わせると、高密度化と親水基遮断を同時に達成できます。
特にフェノール樹脂やバイオ由来のフラン樹脂は、分子間で架橋を形成し、外層を硬質化させることで衝撃強度も向上させます。
フッ素系塗料やシリコーンハイブリッド塗料は、摩耗抵抗と撥水性を両立させます。
最近ではナノシリカを分散させたソリ–ジェル薄膜が注目されており、塩水噴霧2000時間後でも剥離が確認されない高耐久性を示します。
また、コーティング内部に防汚剤をマイクロカプセル化して混入することで、フジツボや貝類の付着を抑制し、船速低下を防ぎます。
船舶向けに実用化するためには、複合的な評価が不可欠です。
JIS K7190に準じた真空含浸後の水分増加率を測定し、5%以下であれば実運用に耐えるとされています。
さらに繰返し吸放水試験での体積膨張率ΔVが1%未満であれば、接合部のシーリング信頼性を確保できます。
波浪荷重による繰返し曲げを想定し、50万回サイクルでの残存曲げ強度を評価します。
アセチル化+樹脂含浸材では、未処理材比1.8倍の疲労限度が報告されています。
白色腐朽菌、褐色腐朽菌による質量減少率を28日間で3%以下に抑えられれば優秀な耐腐朽材と判定されます。
海洋ボーリングワーム試験では、表面硬度と毒性の両立が課題となり、銅系防腐剤を樹脂に微量混合する技術が実用化されています。
超耐水木材を実際の船体に組み込むには、金属とは異なる材料特性を踏まえた設計が必要です。
木材は異方性材料であり、繊維方向と横方向で弾性係数が大きく異なります。
等価直交異方性モデルを採用し、有限要素解析で曲げ・せん断応力を評価することで最適な板厚や補強梁配置を決定します。
特にドライビームやキール部は、複合材サンドイッチ構造にして局所応力を分散させる手法が有効です。
木材と鋼フレームをリベットで直接接合すると腐食電池を形成する恐れがあるため、GFRPシートを介した絶縁接合が推奨されます。
エポキシ系構造接着剤を用いたフィレットボンド工法は、荷重分散を図りながら水密性を確保できるため、実運用での信頼性が高いです。
超耐水木材は10〜15年のコーティング更新で長寿命を維持できます。
同等強度の鋼製構造と比較して、建造コストはほぼ同等でも、重量が軽減されることで燃費が3〜7%向上し、総所有コストを削減できます。
超耐水木材は多くのメリットを持ちますが、解決すべき課題も残っています。
樹脂含浸や防腐剤の一部に石油由来成分が使われるため、バイオベース樹脂や天然由来難燃剤の開発が求められます。
また、FSC認証材を使用し森林資源の持続的利用を担保することも重要です。
SOLAS条約やISO 12215では難燃性・耐衝撃性の要件が定められています。
超耐水木材を適用する際は、難燃処理や多層構造化によって基準を満たす必要があります。
国際船級協会も新素材ガイドラインを整備しつつあり、早期の規格適合試験がカギとなります。
セルロースナノファイバーを補強繊維として内部に分散させることで、さらに高強度・高靭性化を図る研究が進行中です。
また、AIを用いた吸水挙動シミュレーションと実験データの統合により、最適な薬剤浸潤パラメータを短期間で導出する手法が提案されています。
軽量・高強度・環境調和型という特長を活かし、超耐水木材は次世代船舶の主要構造材として大きな可能性を秘めています。
技術的課題を乗り越え、国際基準をクリアすることで、海運業界の脱炭素化とコスト競争力向上の両立に貢献するでしょう。

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