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リチウムイオン電池は、正極と負極を行き来するリチウムイオンの移動によって電気エネルギーを蓄え、放出する。
その移動経路となるのが電解液であり、電池性能や寿命、安全性を左右する最重要部材といえる。
一般的に、炭酸エステル系の有機溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF₆)が溶解した液体が用いられる。
しかし高エネルギー密度化が進むにつれ、可燃性や熱暴走のリスクが顕在化し、電解液の刷新が求められている。
第一に、揮発性の高い有機溶媒は低引火点で発火しやすい。
セル内部で短絡や過充電が起これば、数百度まで温度が上昇し、電解液が蒸発してガスが発生、最悪の場合は爆発に至る。
第二に、LiPF₆は湿気と反応してフッ化水素(HF)を生成し、電極やセパレーターを腐食させる。
第三に、高温や低温でのイオン伝導性の低下が大きく、電池性能の温度依存性を招く。
これらの課題を解決するため、次世代電解液技術が世界中で研究されている。
硫化物系、酸化物系、高分子系などの固体材料を電解質とし、可燃性液体を完全に排除する。
高いイオン伝導度を確保しつつ、機械的強度でリチウムデンドライトの侵入を防ぐ点が特長である。
溶媒に対して高塩濃度とすることで、溶媒自由体を減らし、熱安定性と酸化耐性を向上させる。
超高濃度により溶媒和構造が変化し、正極界面に安定な無機質被膜を形成しやすい。
水を主溶媒としながら、塩を飽和近くまで溶解させて電位窓を拡張する。
引火の心配がなく、材料コストが低い点が魅力である。
常温で液体の有機カチオンと無機アニオンからなる塩であり、蒸気圧がほぼゼロで不燃性。
広い電位窓と高熱安定性により、航空宇宙用途でも期待されている。
従来液体を高分子マトリクス内に閉じ込め半固体化することで漏液を防ぐ。
柔軟性と加工性が高く、ウェアラブルデバイスに適する。
炭酸エステルの水素をフッ素に置換して難燃性と酸化耐性を向上。
界面で生成するフッ化リチウムがSEI膜を強化し、サイクル寿命を伸ばす。
固体電解質は燃える成分がないため、熱暴走の引き金となる揮発ガスが発生しない。
また、高い機械的強度でデンドライトを物理的に遮断し、内部短絡を未然に防ぐ。
高濃度電解液は溶媒分解を抑え、生成するSEIやCEIが均質で薄く、熱に強い被膜となる。
水系電解液は発火源が存在せず、過充電時の発熱も水の蒸発熱が吸収する。
イオン液体は自己消火性を備え、300℃以上でも分解が緩慢で熱暴走を遅延させる。
これらの仕組みにより、従来系に比べ発火確率を桁違いに低減できる。
日本ではトヨタと村田製作所が硫化物系全固体電池の量産ラインを構築中で、2027年頃の車載実装を目指す。
欧米ではQuantumScapeやSolid Powerが酸化物系固体セルを試作し、500回以上のサイクル耐久を報告している。
中国CATLは高濃度電解液とフッ素化溶媒のハイブリッドを採用した“Qilin”電池を量産し、車両火災低減をアピールする。
イオン液体は産総研とAGCが共同でリチウム塩含有型を開発し、小型人工衛星の電源として評価段階にある。
水系電解液はスタンフォード大学が3V超の正極と組み合わせた3.2Ahセルを実証し、データセンターの定置用に提案している。
固体電解質は界面抵抗の低減と量産時のプレス圧制御が鍵であり、自動車レベルのコストに落とし込む必要がある。
高濃度電解液は粘度増大による低温性能の悪化が問題で、希釈溶媒の共設計が求められる。
水系は電位窓のさらなる拡張と金属集電体の腐食対策が不可欠である。
イオン液体やフッ素化溶媒は材料費が高く、リサイクル工程も未整備である。
それでも各技術は互いに補完的であり、最適組み合わせにより車載、航空、定置、ウェアラブルと多様な市場をカバーできる。
将来的には電解液設計と電極材料開発を同時進行させ、AIシミュレーションで分子構造を最適化する流れが加速する。
安全で高性能なリチウムイオン電池は、再生可能エネルギー社会の基盤を支える不可欠な存在であり、電解液革新がその重要な一歩となる。

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