天然ゴムと合成ゴムの物性差と製品選定基準【業界向け】

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ゴム原料の基礎知識

天然ゴムと合成ゴムはいずれも高分子弾性体ですが、原料と重合様式が異なるため物性に大きな差があります。
自社製品の品質や製造コストに直結する要素ですので、まずは両者の概要を押さえておきます。

天然ゴムの概要

天然ゴムはパラゴムノキの樹液(ラテックス)から得られるポリイソプレンが主成分です。
シス形のイソプレンが規則正しく重合しているため、結晶化による高い引張強度と弾性を示します。
発展途上国でのプランテーション生産が中心で、天候や国際相場の影響を受けやすい一方、生分解性が高くカーボンニュートラル素材としても注目されています。

合成ゴムの概要

合成ゴムは石油系モノマーを触媒重合して得られる人工高分子です。
スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)など、多彩なグレードが存在し、必要特性に合わせて選択できます。
原油価格やナフサ市況に連動しますが、配合設計の自由度が高く大量生産も容易です。

物性比較

物理的特性(引張強度・伸び)

天然ゴムは結晶化強化により引張強度25〜35 MPa、伸び500〜700 %を示します。
合成ゴムはSBRで15〜25 MPa、BRで20〜25 MPa程度ですが、補強フィラーや加硫システムで補えるため実用強度に大差はありません。
ただし低温時の戻り弾性はBRが優れる一方、常温域では天然ゴムが低発熱で安定しています。

化学的耐性(耐油・耐熱・耐候)

天然ゴムは不飽和結合が多く、オゾンや紫外線に弱く、鉱物油や溶剤にも膨潤しやすい欠点があります。
NBRやHNBRは極性ニトリル基により耐油性が飛躍的に高まり、自動車用シール材に使用されています。
EPDMは飽和骨格のため耐候・耐熱・耐薬品性が優れ、屋外電線被覆やサンルーフシールなどで実績があります。
フッ素ゴム(FKM)は200 ℃超でも機械物性を保つため、化学プラントパッキンに不可欠です。

動的特性と疲労特性

タイヤなど繰り返しひずみを受ける製品では発熱特性(ヒステリシス)が重要です。
天然ゴムは架橋点間の分子鎖が長く、エネルギー損失が小さいため発熱が少なく、トラックタイヤや防振ゴムに最適です。
一方、SBRは転がり抵抗が低い配合が可能で、乗用車用低燃費タイヤ向けに広く利用されています。
耐屈曲亀裂では天然ゴムが最も優れ、EPDMは可動部ではクラックが入りやすい点に注意が必要です。

コストと調達リスク

天然ゴムは国際ゴム相場に左右され、年10〜30 %の価格変動が珍しくありません。
疫病や豪雨で葉が落ちると供給不足が起き、リスクヘッジとして合成ゴムとのハイブリッド採用が増えています。
合成ゴムは石化プラントの稼働率が安定していれば調達性は高いですが、原油高騰時には価格優位性が逆転する場合もあります。
購買契約ではFOB価格だけでなくサプライチェーンの複線化を検討することが重要です。

製品選定基準

用途別推奨ゴムと根拠

タイヤトレッド:SBR/BRを主成分とし、天然ゴムを適度にブレンドすることで低転がりと耐摩耗を両立できます。
防振ゴム:粘弾性と耐屈曲性に優れる天然ゴムが第一選択です。高耐熱が必要な場合はEPDMやエピクロロヒドリンゴム(ECO)を検討します。
耐油ホース・シール:NBRが基本ですが、120 ℃以上の高温油ならHNBRやFKMが必須です。
電線被覆:耐候・耐オゾン性が鍵となるためEPDMが最有力です。難燃規格が絡む際はクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)も候補になります。

混在利用とブレンド戦略

天然ゴムとSBRを50:50でブレンドすると、低温柔軟性と耐摩耗性がバランス良く向上します。
炭素ブラックの粒径やシランカップリング剤を併用することで、異相の界面強度を高められるため、動的物性を損なわずコストダウンが可能です。
ただしNBRとEPDMのような極性差が大きい組み合わせは相溶性が悪く、相分離により物性劣化を招くため避けるのが基本です。

規格・認証への適合

自動車用途ではISO 1629のゴム分類、ISO 4632のオゾン試験など、各種テスト基準を満たす必要があります。
食品接触ならFDA 21 CFR、医療用はUSPクラスVIへの適合が求められます。
天然ゴム由来のアレルゲンを嫌う医療分野では、イソプレンベースの合成ラテックス(IR)が採用されるケースも増えています。

選定プロセスの実務ポイント

1. 使用温度範囲、化学薬品、機械荷重、動的ひずみの4要素を定量化します。
2. 必須規格を列挙し、試験方法と合格数値を明文化します。
3. 候補ゴムのTDS(技術データシート)を取り寄せ、初期篩い落としを行います。
4. 加硫系(硫黄・過酸化物)や配合剤の相溶性、金型収縮率を考慮して試作配合を設計します。
5. プロトタイプで実負荷試験を実施し、動的発熱や圧縮永久歪を測定します。
6. 品質工学的手法で変動要因を抽出し、最適条件を決定します。

このプロセスを経ることで、過剰設計によるコストアップや、選定ミスによるリコールリスクを回避できます。

まとめと今後の技術動向

天然ゴムは高い引張強度と低発熱性で依然として不可欠ですが、耐油・耐候・耐熱では合成ゴムが優勢です。
製品要求特性、規格、コスト、調達リスクを総合的に勘案し、単独またはブレンドで採用することが最適解となります。
近年はバイオマス由来SBRやリサイクル粉砕ゴムを用いたサーキュラー配合が進展しており、環境規制への対応が競争力の鍵になります。
AIによる配合設計や高速シミュレーションも実用段階に入っており、物性予測精度が向上すれば試作回数を大幅に削減できます。
担当者は従来の経験則にとどまらず、最新技術と市場動向を俯瞰しながら、最適なゴム選定を行う姿勢が求められます。

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