投稿日:2024年7月31日

合成ゴム (Synthetic Rubber)の種類と製造業での利用方法

はじめに

合成ゴム (Synthetic Rubber)は、製造業において非常に重要な役割を果たしています。
天然ゴムに代わる材料として、さまざまな産業で幅広く利用されています。
本記事では、合成ゴムの種類とその製造業での利用方法について詳しく解説します。
また、最新の技術動向や現場での活用例も紹介します。

合成ゴムの基礎知識

合成ゴムは、人為的に合成されたポリマーから作られるゴムです。
天然ゴムの特性を模倣しつつ、独自の特性を持たせることが可能です。
以下に代表的な合成ゴムの種類を紹介します。

スチレン・ブタジエンゴム (SBR)

スチレン・ブタジエンゴム (SBR)は、スチレンとブタジエンの共重合体です。
耐摩耗性が高く、ゴムの弾性を保ちながら耐油性も持つため、タイヤの素材として広く使用されています。
また、価格が比較的安価であるため、多用途に利用されています。

アクリロニトリル・ブタジエンゴム (NBR)

アクリロニトリル・ブタジエンゴム (NBR)は、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体です。
耐油性や耐化学薬品性が高いため、工業用ホースやガスケット、シール材に利用されます。
また、低温環境でも硬化しにくい特性があります。

エチレンプロピレンジエンモノマー (EPDM)

エチレンプロピレンジエンモノマー (EPDM)は、エチレン、プロピレン、ジエンの共重合体です。
耐候性や耐オゾン性が非常に優れており、長期間の使用が可能です。
自動車の部品や屋外用のシール材、各種ホースなどに広く使われています。

ポリウレタンゴム (PU)

ポリウレタンゴム (PU)は、非常に優れた耐摩耗性を持っています。
そのため、フォークリフトのホイールやローラー、工業用ベルトなどに使用されています。
また、柔軟性と弾力性が高いため、スポーツシューズのソールなどにも利用されています。

合成ゴムの製造プロセス

合成ゴムの製造は、主に2つのプロセスに分けられます。
それぞれの特徴と用途について説明します。

エマルション重合

エマルション重合は、水中にモノマーを分散させ、高温高圧下で重合反応を行うプロセスです。
この方法により、粒子サイズの制御や性能の向上が可能になります。
特にSBRの製造で多用されています。

溶液重合

溶液重合は、有機溶媒中でモノマーを重合させる方法です。
この方法は、ポリマーの分子量分布や微細構造の調整が容易であり、高性能なゴムを製造する際に使用されます。
NBRやEPDMの製造に適しています。

合成ゴムの製造業での利用方法

合成ゴムの特性を活かし、製造業ではさまざまな製品に応用されています。
以下に主な利用方法を紹介します。

自動車産業

自動車産業では、合成ゴムは不可欠な材料となっています。
タイヤやホース、シール材、ガスケット、サスペンション部品など、多岐にわたる用途で使用されています。
長寿命で耐久性が求められる部品には、特にEPDMやNBRが利用されます。

電子機器

電子機器の製造にも合成ゴムが広く利用されています。
特に耐油性や絶縁性に優れたシリコーンゴムやNBRが使用されています。
インターフェースのガスケットやケースの一部、防振材などに使われます。

建設・土木

建設・土木分野では、合成ゴムはシーリング材や防水シートとして重要な役割を果たしています。
EPDMシートは、特に屋根や地下の防水システムに使用され、その耐候性と耐久性から高い評価を受けています。

医療機器

医療機器製造にも合成ゴムは不可欠です。
柔軟性と耐久性を持つラテックスゴムが、手袋やチューブ、シール材として広く使用されています。
また、シリコーンゴムはその生体適合性から医療器具の一部に利用されています。

最新の技術動向

合成ゴムの分野では、技術革新が絶え間なく進行しています。
以下に最新の技術動向をまとめます。

高機能ゴムの開発

最近では、特定の用途に特化した高機能ゴムの開発が進んでいます。
たとえば、耐熱性や耐寒性、導電性を備えたゴムなど、条件に応じたゴム材料が研究されています。
これにより、さらに過酷な条件下での使用が可能になり、新たな市場が開拓されています。

リサイクル技術の進展

環境保護の観点から、ゴムのリサイクル技術も重要なテーマです。
廃ゴムの再利用技術が進展し、リサイクルゴムの品質向上が図られています。
これは、持続可能な資源利用の一環として、製造業にとっても意義のある取り組みです。

ナノテクノロジーの応用

ナノテクノロジーの進展により、ゴムの微細構造を制御する技術が開発されています。
これにより、強度や弾性、耐摩耗性などの特性が飛躍的に向上しています。
ナノフィラーやカーボンナノチューブの添加が、具体的な応用例として挙げられます。

まとめ

合成ゴムは、その多様な特性と応用範囲の広さから、製造業において非常に重要な材料です。
スチレン・ブタジエンゴム (SBR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム (NBR)、エチレンプロピレンジエンモノマー (EPDM)、ポリウレタンゴム (PU)など、さまざまな種類の合成ゴムが存在します。
各種製造プロセスを通じて、それぞれの特性を持ったゴム製品が生産され、自動車産業、電子機器、建設・土木、医療機器などで広く利用されています。
また、最新の技術動向として、高機能ゴムの開発やリサイクル技術の進展、ナノテクノロジーの応用などが挙げられます。

今後も合成ゴムは製造業において重要な材料であり続けるでしょう。
そのため、最新の技術動向に注目しながら、適切なゴム材料を選定することが求められます。

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