投稿日:2024年8月17日

放熱部材の種類とその特性

放熱部材の種類とその特性

近年、エレクトロニクスや機械設備の発展により、高性能な放熱部材の需要が急増しています。
主に温度管理を最適化し、機器の信頼性と寿命を向上させるために使用されます。
本記事では、放熱部材の種類とその特性について詳しく解説し、適切な選択と応用方法についても紹介します。

放熱部材の基本的な役割

放熱部材は主に電子機器や機械設備の内部で生成される熱を効率よく外部に放散する役割を担います。
熱が溜まることで機器の性能が低下したり、故障の原因となったりするため、適切な放熱対策が求められます。

放熱部材の種類

1. ヒートシンク

ヒートシンクは最も一般的な放熱部材です。
主に金属(アルミニウムや銅)で作られており、高い熱伝導性を持つため、熱を効率よく分散させることができます。
ヒートシンクは特定の形状やフィン(鰭)を持つことが多く、これによって表面積を増やし、放熱能力を向上させます。

2. サーマルパッド

サーマルパッドは柔軟な材料で作られた放熱部材で、電子部品間の隙間を埋めるために使用されます。
優れた熱伝導性と絶縁性を持つため、回路基板や金属ケースといった異なる部材の間で効果的に熱を伝えることができます。
取り付けが簡単で、メンテナンスも容易な点が特徴です。

3. ヒートパイプ

ヒートパイプは内部に液体が封入された管状の部材で、蒸発と凝縮の原理を利用して効率よく熱を移動させます。
放熱性能が極めて高いため、高発熱の電子部品やプロセッサーに使用されることが多いです。
また、狭いスペースでも効果的に熱を運ぶことができるため、機器のデザインに柔軟性を持たせることが可能です。

4. 放熱シート

放熱シートは、非常に薄く柔軟なシート状の放熱部材です。
主にグラフェンや導電性ポリマーなどで作られ、その高い熱伝導性と柔軟さから、機器の隙間や曲面でも効果的に使用できます。
軽量でありながらも高い放熱性能を持つため、モバイルデバイスやポータブル機器で多用されています。

5. サーマルグリス

サーマルグリス(熱伝導グリス)は、電子部品とヒートシンクの間に塗布されるペースト状の放熱部材です。
部品間の微細な隙間を埋めることで、熱伝導効率を高めます。
高熱伝導性を持ち、硬化しないためメンテナンスが容易です。

放熱部材の特性

1. 熱伝導性

放熱部材の重要な特性の一つが熱伝導性です。
熱伝導性が高いほど、効率よく熱を移動させることができます。
例えば、銅やアルミニウムは非常に高い熱伝導性を持つため、ヒートシンクやヒートパイプに広く使用されています。

2. 絶縁性

放熱部材が電気的な絶縁性を持っていることが求められる場面も多いです。
放熱部材が短絡や電気的干渉の原因となることを防ぐためです。
サーマルパッドや放熱シートは、優れた絶縁性を持ちながらも高い熱伝導性を提供しています。

3. 耐熱性

高温環境下で使用されるため、放熱部材自身が熱に強いことも重要です。
これにより、長期間にわたって性能を維持できるかが左右されます。
シリコンベースのサーマルパッドやシリカ材料の放熱シートは、高い耐熱性を持つ例です。

4. 柔軟性と設計の自由度

特にモバイルデバイスやポータブル機器では、放熱部材が柔軟であることが求められます。
柔軟な放熱シートやサーマルパッドは、狭いスペースや曲面でも効果的に利用できます。

最新の技術動向

1. グラフェンによる放熱技術

グラフェンは、炭素原子が六角形の格子構造をなす非常に薄い素材です。
その高い熱伝導率と強度から、次世代の放熱部材として注目されています。
グラフェン放熱シートは、既存の放熱シートよりもさらに高い性能を提供し、スマートフォンやノートパソコンといったモバイルデバイスでの採用が進んでいます。

2. ナノ素材の応用

ナノ素材を利用した放熱部材も研究が進んでいます。
ナノ粒子を含むサーマルグリスやナノコンポジットのヒートシンクは、高い熱伝導性と軽量性を兼ね備えており、次世代電子部品や電気自動車のバッテリー冷却において需要が高まっています。

放熱部材の選び方と応用例

放熱部材の選定においては、対象となる機器の発熱量、使用環境、取り付けスペースなどを総合的に考慮する必要があります。
例えば、高発熱のCPUにはヒートパイプや高性能のヒートシンクが適しており、狭いスペースには薄くて柔軟な放熱シートやサーマルパッドが有効です。

応用例としては、以下のようなものがあります。

1. 電子機器の冷却

パソコンのCPUやGPU、大型サーバーの冷却において、ヒートシンクやサーマルグリスが重要な役割を果たしています。
これにより、機器の性能を最大限に引き出し、安定した動作を実現しています。

2. 電気自動車のバッテリー管理

電気自動車のバッテリーは高発熱が避けられないため、ヒートパイプやナノ素材を用いた放熱技術が採用されています。
高効率な放熱管理により、バッテリーの寿命を延ばし、安全性を高めています。

3. LED照明の放熱

LED照明もまた高温になりやすいため、放熱部材が欠かせません。
アルミニウム製のヒートシンクやサーマルパッドが利用され、長寿命と高効率を実現しています。

放熱部材は、適切に選び、使用することで、電子機器や機械設備の性能を向上させ、信頼性を高める重要な要素です。
最新の技術動向を踏まえ、最適な放熱対策を講じることが求められます。
ぜひ、本記事を参考にして効果的な放熱ソリューションを見つけてください。

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