投稿日:2024年9月26日

通信機器で使われるBGA(ボールグリッドアレイ)の加工技術

はじめに

通信機器において、高密度で高性能な電子部品のニーズが急増しています。
その中でも、BGA(ボールグリッドアレイ)は、高密度実装が可能なパッケージ方法として注目されています。
本記事では、BGAの基本概念や加工技術、最新の業界動向を現場目線で解説していきます。

BGAとは何か

BGAの基本概要

BGAは、ICチップを基板に接続するためのパッケージ形態の一つです。
従来のリード形パッケージとは異なり、底面にボール状の接点(ソルダーボール)を配列することで、接続面積を増加させています。
これにより、高電流処理や高周波数に対応できるようになります。

BGAの構造

BGAの構造は、以下のように理解できます。
基板の底面に多数のソルダーボールが等間隔で配置されており、これらがプリント基板(PCB)に直接接続されます。
ソルダーボールは、一般的に錫(Sn)と鉛(Pb)を主成分とする合金で作られますが、環境規制の強化により、鉛フリーの材料も普及しています。

BGAの加工技術

リフローはんだ付け

BGAをPCBに搭載する際、リフローはんだ付けが主流です。
この方法では、プリント基板にペースト状のはんだを塗布し、その後BGAを配置します。
その後、リフローオーブンで加熱し、はんだペーストを溶融させて接続を形成します。
このプロセスは、自動化が進んでおり、安定した接続品質を実現しています。

リワーク技術

BGAの配置がずれたり、接続不良が発生した場合、リワーク技術が求められます。
リワークには専用の装置を使用し、不良部分を再加熱・再配置します。
この際、熱ダメージを最小限に抑える技術が重要で、高精度な温度管理と機器制御が求められます。

スクリーン印刷

スクリーン印刷技術は、リフローはんだ付けの前段階で使用されることが多いです。
はんだペーストをプリント基板上に均一に塗布するために使用され、高精度なパターン形成をサポートします。
この工程の精度がBGAの接続品質を大きく左右します。

品質管理

検査技術の進化

BGAの接続品質を確保するためには、高度な検査技術が不可欠です。
X線検査は、BGAの接続状態を非破壊で確認するための最もポピュラーな方法です。
これにより、内部のボール接続状態やはんだのボイド欠陥などを検出することができます。

自動光学検査(AOI)

自動光学検査(AOI)は、BGAの位置ズレや表面欠陥を検知するために使用されます。
高解像度カメラと画像処理技術を活用し、秒速で大量の検査を行います。
AOIの精度向上により、製品不良の早期検出と修正が可能となっています。

微小欠陥の検出

従来の検査技術だけでは微小な欠陥の検出が難しいため、AI(人工知能)や機械学習を活用した新しい検査方法が開発されています。
これにより、今まで検出が難しかった微小欠陥や異常の予兆を高精度で検出することが可能です。

最新の業界動向

5GとIoTの普及

5G通信とIoT(モノのインターネット)の普及により、BGAの需要はますます増加しています。
高速通信が求められる5G端末や、膨大なデータ処理を行うIoTデバイスにおいて、高性能かつ高信頼性のBGAが欠かせません。

鉛フリーハンダの導入

環境規制の強化に伴い、鉛フリーハンダの導入が進んでいます。
鉛フリー化により、はんだの融点が上昇し、加工プロセスが難易度を増すことが課題となっていますが、技術革新によりこれを克服しつつあります。

自動化とAIの進化

工場自動化(FA)とAIの進化により、BGAの加工精度と生産性が大きく向上しています。
最新のロボット技術とAIによるデータ解析を組み合わせることで、リアルタイムの品質管理やプロセス最適化が可能となっています。

結論

BGAは、高性能通信機器の鍵となる技術です。
その加工技術から品質管理、最新の業界動向に至るまで、理解と適応が求められます。
現場での経験と最新技術の知識を組み合わせることで、より高い品質と性能を実現することができます。
今後も進化するBGA技術に注目し、製造業の発展に寄与していきましょう。

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