非鉄金属製品の表面欠陥検査技術：磁粉探傷法とその応用

はじめに

非鉄金属製品は、アルミニウムや銅、チタンなどの金属材料を基にした製品であり、航空機や自動車、電気機器など、さまざまな産業で利用されています。
これらの製品の品質は、製造プロセスにおける表面欠陥の有無に大きく依存します。
表面欠陥は、製品の強度や耐久性を損ない、最終製品の信頼性に悪影響を与える可能性があります。
そのため、非鉄金属製品の表面欠陥検査は非常に重要です。

この中で注目される技術の一つに「磁粉探傷法」があります。
磁粉探傷法は、金属製品の表面や近表面部の欠陥を検出するための非破壊検査技術の一つです。
本稿では、磁粉探傷法の基本的な原理や応用方法、また製造現場での実践例などを詳しく説明します。

磁粉探傷法の基本原理

磁粉探傷法は、磁化される金属部品において、磁区の移動によって生じる漏洩磁束を利用して表面欠陥を検出する方法です。
簡単に言うと、部品が磁場にさらされると、表面や近表面に存在する欠陥部分で磁場が変化し、そこで漏洩磁束が発生します。
この現象を利用して、漏洩磁束に磁粉（一般的には鉄粉）を付着させ、欠陥の位置を視覚的に明示することが可能です。

磁粉探傷法は、特に貫通孔や亀裂など線状の欠陥の検出に優れており、欠陥の大きさや位置を高精度で確認できます。
また、検査対象が磁性材料であれば、様々な形状や大きさの部品に対して応用が可能であるため、非常に汎用性の高い検査法といえます。

磁化方法

磁粉探傷法では、部品を磁化することが重要です。
その磁化方法にはいくつかの種類があります。
一般的な方法としては以下の二つがあります。

1. **直流電流による磁化**
直流電流を導電体に流すことで磁化する方法です。
電流の方向と並行に磁場が形成されるため、表面に垂直（またはほぼ垂直）の欠陥が効果的に検出されます。

2. **交流電流による磁化**
交流電流を使って磁化することで、表面付近の欠陥を検出します。
交流電流は通常の導電体内を流れず表面近くに集中する（表皮効果）ため、表面に平行な欠陥の検出に適しています。

磁粉探傷法の実際の応用

磁粉探傷法は、その特性から多くの産業で採用されています。
具体的には、以下のような状況で活用されています。

航空宇宙産業

航空機の部品は、高い安全性と信頼性が求められます。
特に、エンジンブレードや構造材などの重要部品では、表面に目視できないような微細な亀裂であっても大きな危険をはらんでいます。
磁粉探傷法は、こうした微細な亀裂の検出に非常に適しており、製造工程および定期保守において重要な検査技術とされています。

自動車産業

自動車部品もまた、安全性が要求される中で、製造時に表面欠陥のないことが前提となります。
特にエンジンやトランスミッションの部品、サスペンション部品など、高い耐久性が求められる部分については、磁粉探傷法による厳格な品質検査が行われています。
生産ラインに直接組み込まれることもあり、精度の高い欠陥検出が連続的に行われています。