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自動車業界の設備保全部門の中堅社員が押さえるべきTPM活動での設備保全の進め方
目次
はじめに
自動車業界は競争が激しく、絶えず技術革新が求められる分野です。
その中で、設備保全部門が担う役割は非常に重要です。
特に、中堅社員として、TPM(Total Productive Maintenance)活動における設備保全を理解し、実践することは、業務を円滑に進める上で欠かせません。
この記事では、TPM活動における設備保全の進め方について解説し、現場で役立つ知識を提供します。
TPM活動とは
TPM活動は、生産性の向上を目的とした全員参加型の設備管理手法です。
Total Productive Maintenanceの略で、「全員参加の生産保全」とも呼ばれます。
生産現場の効率を高め、設備の信頼性を向上させることで、トータルコストの低減を図ります。
TPMは、次の8つの柱で構成されています。
1. 自主保全
現場の作業員が日常的に行う保全活動を指します。
設備の基本点検や清掃、異常発見といった作業を通じて、作業員が設備を熟知し、異常を早期に発見できるようにします。
2. 設備保全
専門の保全スタッフが計画的に設備の点検・修理を行います。
設備の故障を未然に防ぐことを目的とし、予防保全や定期保全、予知保全などを行います。
3. 設備管理
設備の寿命を延ばすために、設備のライフサイクル全体を通じて管理します。
設備の導入から廃棄までの一貫した方針を持ち、最適な状態で稼働させることを目指します。
4. 教育訓練
作業員や保全スタッフが必要な知識と技術を身につけるための教育訓練を行います。
これにより、現場のスキルアップとともに、設備の稼働率向上を図ります。
5. 品質保全
生産プロセスにおいて、設備が原因で発生する品質不良を防ぐための活動です。
データを活用して問題の根本原因を特定し、改善策を講じます。
6. 間接部門の効率化
生産現場だけでなく、設計や生産技術、調達部門などの間接部門における効率化も進めます。
全社的な視点でムダを排除し、生産性の向上を図ります。
7. 環境改善
職場環境や作業環境を改善し、安全で快適な職場を実現する活動です。
設備の使用状況に応じた環境対策を講じ、従業員の安全を確保します。
8. 新製品早期成熟化
新製品の立ち上げ時において、設備トラブルを未然に防ぎ、早期に安定稼働させるための管理を行います。
設備保全の基本プロセス
設備保全における基本的な業務プロセスは、計画立案、予防保全、修理対応、改善活動の4つに分類されます。
計画立案
設備保全の業務を適切に管理するためには、まず計画立案が重要です。
設備の使用状況やメーカーの推奨する保全方法をもとに、設備ごとに適した保全スケジュールを設定します。
これは、保全活動が無理なく実施されるようにするための基盤となります。
予防保全
予防保全は、設備の故障を未然に防ぐために計画的に行われる保全活動です。
定期的な点検やオーバーホール、油脂の交換などを通じて、設備が最適な状態を維持できるようにします。
故障の兆候を早期に発見し、適切な処置を施すことが求められます。
修理対応
予防保全を行っていても、設備の故障は避けられない場合があります。
その際には、迅速かつ的確な修理対応が必要となります。
故障原因の特定と修理方法の選定を的確に行うことで、設備ダウンタイムを最小限に抑えることが求められます。
改善活動
設備保全においては、現状に満足することなく、改善活動を継続的に進めることが重要です。
設備の運用データを分析し、問題点を特定して改善策を講じます。
これにより、設備の信頼性を向上させ、長期間にわたって安定稼働させることが可能となります。
現場での実践ポイント
設備保全を進めるにあたり、現場で実践する際のポイントをいくつか紹介します。
コミュニケーションの強化
設備保全はチームでの協力が欠かせません。
作業員、保全スタッフ、管理職の間での良好なコミュニケーションが求められます。
定期的な会議やミーティングを通じて情報を共有し、共通の目標に向かって進むことが重要です。
データの活用
設備の状態を的確に把握するためには、データの活用が必要です。
設備の運用履歴や故障履歴を記録し、分析を行うことで、故障の原因を明確にすることができます。
また、データをもとに改善活動を進めることで、より効果的な保全活動が可能となります。
技能の向上
設備保全には高度な技能が求められます。
中堅社員として、先輩社員や保全専門のスタッフからの指導を受けるほか、研修会や講習会に積極的に参加し、スキルアップを図ることが重要です。
自らの技能が向上することで、設備保全活動の質も向上します。
改善提案の推進
現場で働く社員からの改善提案を積極的に受け入れることが求められます。
現場の最前線で働く作業員は、日々の業務を通じて多くの問題や改善点を見つけることができます。
その声を取り入れ、設備保全に活かすことで、より良い現場環境を実現することができます。
最新の業界動向
自動車業界における設備保全は、技術の進化とともに変化を続けています。
以下に最新の業界動向を紹介します。
IoTとビッグデータの活用
設備保全において、IoT(モノのインターネット)技術が注目されています。
設備にセンサーを取り付け、リアルタイムで稼働状況を監視することで、従来よりも高精度な予防保全が可能となります。
ビッグデータを活用し、設備の運用データを分析することで、故障予知や最適な保全スケジュールの立案が行えるようになります。
AIの導入
AI(人工知能)を活用した設備保全も進んでいます。
AIは大量のデータを処理し、故障の予兆を検知することができます。
これにより、予知保全が実現し、設備の稼働率をさらに高めることが可能となります。
リモート保全
遠隔での設備保全が可能になる技術も進化しています。
リモート保全を活用することで、専門の保全スタッフが現場に赴くことなく、設備の状態を診断し、必要な対策を指示することができます。
このような技術の活用は、緊急時の対応時間を短縮し、効率的な保全活動を実現します。
まとめ
自動車業界の設備保全部門において、中堅社員が押さえておくべきTPM活動での設備保全の進め方について解説しました。
TPM活動における設備保全は、単に故障を修理するだけでなく、故障を予防し、設備の信頼性向上を図ることを目的としています。
コミュニケーションの強化、データの活用、技能の向上、改善提案の推進を重視することで、現場での設備保全活動を効果的に進めることができます。
また、IoT、AI、リモート保全といった最新の技術を活用することで、より高効率な保全活動を実現します。
常に新しい情報をキャッチし、現場での実践に生かしていくことが、今後の自動車業界で求められる中堅社員の重要な務めとなります。
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