投稿日:2024年12月17日

リチウムイオン電池の基礎と劣化診断・残存性評価技術

はじめに

リチウムイオン電池は、我々の日常生活において欠かせないエネルギー源となっています。
スマートフォン、ノートパソコン、電気自動車など、多岐にわたる製品で使用され、その性能と寿命が重要視されています。
今回は、リチウムイオン電池の基礎から、その劣化診断と残存性評価技術について解説します。

リチウムイオン電池の基礎

リチウムイオン電池は、充電と放電を繰り返すことでエネルギーを供給する二次電池です。
その基本構造は、正極、負極、電解液、セパレーターから成り立っています。
正極と負極の間でリチウムイオンの移動が行われ、これが電流の発生につながります。

構成要素と原理

正極にはリチウム塩を含む材料(リチウムコバルト酸化物など)が使用され、負極には一般的にグラファイトが用いられます。
充電時にはリチウムイオンが正極から負極へ移動し、放電時には逆の動きになります。
電解液はリチウムイオンの移動をスムーズにする役割を果たし、セパレーターは正極と負極を物理的に隔てることでショートを防ぎます。

リチウムイオン電池の劣化メカニズム

リチウムイオン電池の劣化は、時間の経過や使用サイクルにより様々なメカニズムによって進行します。
これには、容量劣化、内部抵抗の増加、活物質の劣化などがあります。

容量劣化の原因

容量劣化の主要な原因はサイクル寿命とカレンダ寿命です。
サイクル寿命は充放電の繰り返しによる劣化であり、リチウムイオンのトラップや、SEI(固体電解質界面相)の形成によるものです。
カレンダ寿命は、時間経過による劣化であり、主に高温環境での暴露や保管条件が影響します。

内部抵抗の増加

内部抵抗の増加は、電池のエネルギー効率を低下させ、熱の発生を増加させます。
これには、電極材料の劣化、電解液の分解、セパレーターの劣化が影響します。
特に、高温環境や急速充電がこれを促進する要因となります。

劣化診断技術

リチウムイオン電池の劣化を適切に診断することは、寿命予測や安全性確保の観点から重要です。

電気的診断

電気的診断では、主に電圧、電流、内部抵抗の変化をモニタリングします。
容量測定による診断は一般的ですが、最近ではインピーダンス測定による非破壊診断も注目されています。
これにより、電池の内部状態をより正確に把握することが可能です。

化学的診断

化学的診断は主に電池の分解を伴うため、試験用のセルで行われます。
X線回折、SEM(走査型電子顕微鏡)、FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)などを用いて、電極材料や生成物の状態を分析します。

残存性評価技術

電池の残存性を評価する技術は、予防保全や再利用、リサイクルの観点から重要です。

劣化モデルの活用

劣化モデルを活用することで、電池の残存容量や寿命を予測することが可能です。
このモデルには、データ駆動型モデルと物理駆動型モデルがあり、AI技術の進化により、ますます精度が向上しています。

実使用条件でのテスト

電池の残存性は実使用条件下でのテストにより評価することが理想です。
特に、電流の負荷特性、温度変化、使用パターンを考慮したテスト設計が求められています。

結論

リチウムイオン電池の基礎から劣化診断、残存性評価技術について解説しました。
改善が進む技術を活用し、電池の性能を最適化することが求められます。
また持続可能な環境を実現するため、再生可能で効率的なエネルギー活用が今後重要です。
製造業に携わる方々には、これらの技術と知識を活かし、更なる発展に寄与してほしいと願っています。

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