投稿日:2024年10月30日

設計部門の中堅社員が知るべきロバスト設計とパラメータ設計の応用法

はじめに

製造業における製品開発は、品質や性能だけでなく、その信頼性や再現性も求められます。
特に設計部門の中堅社員にとって、製品の信頼性を高めるための手法として「ロバスト設計」と「パラメータ設計」は知識として不可欠です。
これらの設計手法を適切に活用することで、より優れた製品を開発し、市場での競争力を高めることが可能になります。
この記事では、ロバスト設計とパラメータ設計の基本概念と、具体的な応用法について紹介します。

ロバスト設計とは

ロバスト設計は、製品やシステムが外部のノイズ(外部環境や使用条件の変動)に対して安定した性能を発揮できるようにする設計手法です。
1980年代に田口玄一が提唱した田口メソッドの要素の一つとして知られています。
ロバスト設計は、製造工程や製品寿命における不具合の低減を目指し、これにより品質コストを削減し、顧客満足度を向上させることができます。

ロバスト設計のメリット

1. 品質の向上: ノイズに対して安定した製品性能を維持することで、品質を向上させます。
2. コスト削減: 不具合が減少することで、品質管理や補修にかかるコストを減少させます。
3. 顧客満足度の向上: 製品が予測可能で信頼できる性能を持つことで、顧客の信頼を獲得し、満足度を向上させます。

ロバスト設計の実践方法

ロバスト設計は、以下のような手順で実践することができます。
1. ノイズ要因の特定: 操作条件や環境変動、材料特性のばらつきなどを洗い出します。
2. 制御因子の選定: システム設計において調整可能な因子を特定し、設計パラメータとして設定します。
3. 実験計画法 (DOE): 因子の組み合わせを計画し、最もロバストな組み合わせを見つけるための実験を行います。
4. パラメータ最適化: 実験結果から最適なパラメータを選定し、設計に反映させます。

パラメータ設計とは

パラメータ設計は、製品やプロセスのパラメータを最適化し、目標とする製品性能を安定的に達成するための設計手法です。
具体的には、実験計画法(DOE)を用いて少量のサンプルで最適化を図り、製品の性能を機能して向上させることを目指します。

パラメータ設計の応用

1. 製品開発プロセスにおける影響要因の決定: パラメータ設計を用いて、製品性能に最も影響を与える因子を明らかにし、設計の絞り込みを行うことができます。
2. 初期設計段階での不具合予防: 事前にパラメータを最適化することで、設計段階での不具合を未然に防ぎます。
3. 原価低減: 最適化された設計を用いることで、材料費や製造費を削減することができます。

パラメータ設計の具体的な方法

1. 目的関数の設定: 製品やプロセスの目標とする性能を数値化し、目的関数として設定します。
2. 因子の選定と水準の設定: 重要なパラメータと、それらの異なる水準を選定し、それに基づいて設計を行います。
3. 実験計画法の活用: 田口式実験計画法(Taguchi Methods)などを活用して、最小限の実験で最適な因子組み合わせを見つけます。
4. 最適条件の実施と検証: 確定した最適条件下で製品やプロセスを実施し、その結果を確認し、妥当性を検証します。

ロバスト設計とパラメータ設計の融合

ロバスト設計とパラメータ設計は、互いに補完し合い、製品開発において非常に効果的な手法となります。
ロバスト設計を用いて、外部ノイズへの耐性を高め、パラメータ設計を用いて、製品品質を向上させることができます。
これらを組み合わせることで、製品の信頼性と性能を両立させ、競争力のある製品を生み出すことが可能です。

実践の方法

1. 全体戦略の立案: プロジェクトの目標とする品質要件に基づき、ロバスト設計とパラメータ設計の組み合わせ方を計画します。
2. コンサルティングや社内教育の強化: 設計部門の社員に手法を理解させ、適切に適用できるようにトレーニングを実施します。
3. データ活用と継続的改善: 過去のデータを活用し、PDCAサイクルを回しながら、継続的な改善を行います。
4. 成果の共有とフィードバック: 得られた成果を全社的に共有し、改善点や新たな知見をフィードバックとして取り込みます。

まとめ

設計部門の中堅社員が知っておくべきロバスト設計とパラメータ設計は、製品の品質向上とコスト削減に寄与する基盤となる手法です。
これらを上手に活用することで、市場のニーズに応える競争力の高い製品を生み出すことができ、顧客満足度を向上させることができます。
今後の製品開発においては、これらの手法を柔軟に取り入れ、製品の信頼性と性能を両立させることが重要です。
現場での実践が豊かな成果をもたらすことでしょう。

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