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投稿日:2025年2月17日

材料力学の基礎とプラスチック製品強度設計への応用

材料力学の基礎とは?

材料力学とは、物体に加わる力がどのように作用し、その物体を変形させるか、またその力がどのように物体内で伝わるかを研究する学問です。
構造物の設計や製品の耐久性を確保するためには、材料力学の知識が欠かせません。

材料力学の基本的な概念には、応力、ひずみ、弾性、および塑性変形などがあります。
応力とは、部材の内部に生じる力のことを指し、ひずみはその応力による変形の度合いを示します。

弾性は、外力が取り除かれた場合に元の形状に戻る性質を示し、塑性変形は元に戻らない永久的な変形のことです。

このような基本概念を理解することで、どのように材料を選定し、設計に反映させるかが見えてきます。

応力とひずみの関係

応力とひずみは、材料の変形挙動を理解する上で最も重要な指標です。
応力(σ)は力(F)を部材の断面積(A)で割ったものとして表され、σ = F / A という式で表されます。
一方、ひずみ(ε)は材料の長さの変化量(ΔL)をもとの長さ(L0)で割ることで求められ、ε = ΔL / L0 となります。

これらの関係を理解することで、どれほどの力を材料が受け入れつつ耐えることができるのかが見えてきます。

また、応力とひずみの関係は、材料の特性(例えば弾性率や降伏強度)によっても変わりますので、材料選定時の指標として重要です。

プラスチック製品における強度設計の重要性

プラスチック製品は、軽量かつ加工が容易であるため、多くの産業で使用されています。
しかし、金属に比べて強度や耐久性に劣るとされています。
そのため、プラスチック製品の強度設計には特に材料力学の知識を応用することが重要です。

強度設計では、特に材料の選定が重要です。
プラスチックには、多様な種類があり、それぞれ異なる機械的特性を持っています。
適切な材料を選ぶことで、製品の性能や寿命を向上させることが可能です。

また、デザインや形状に工夫を凝らし、応力集中を避けるなどの対策も必要です。

プラスチックの種類と特性

プラスチックは大きく分けて、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の二つに分類されます。
熱可塑性樹脂は、加熱すると軟化し、冷却すると固化するという性質を持っているため、再加工が可能です。
ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)などがこのカテゴリーに属します。

一方、熱硬化性樹脂は、一度硬化すると再加熱しても戻らないという特性を持っています。
エポキシ樹脂やフェノール樹脂などがその例です。

これらの特性を考慮し、例えば耐熱性が求められる部分や、再加工が頻繁に行われる製品など、それぞれに適したプラスチックを選定することが製品設計には不可欠です。

応力集中と形状設計

応力集中は、構造物の特定部分に応力が集中し、破壊が発生しやすくなる現象です。
特にプラスチックのような脆性材料では、この現象が起こりやすく、製品寿命に大きく影響します。

応力集中を避けるためには、形状設計にも工夫が必要です。
急激な断面変化やシャープなエッジを避け、滑らかな曲線やラウンドエッジを採用することで、応力を均等に分散させることができます。

また、リブや補強材を適切に配置することで、応力集中を緩和し、製品の全体的な強度を向上させることも可能です。

材料力学のプラスチック製品への応用事例

材料力学の知識を応用したプラスチック製品の設計の具体例を紹介します。
これにより、どのように理論が実践に結びつくのかを理解することができるでしょう。

車両部品の軽量化設計

自動車産業において、プラスチックは主に軽量化を目的として多用されます。
車両部品の軽量化は、燃費向上やCO2排出削減に貢献するため、近年ますます重要視されています。

例えば、車の内装部品などで用いられるプラスチック材料は、強度を維持しながらも軽量化が求められます。
この場合、材料力学の視点から、強度を保ちつつ薄肉化するのであれば、適切なリブ配置や材料選定がカギです。

また、部品の形状を最適化することで、同じ強度を維持しつつ軽量化を図ることが可能です。

食品容器のデザイン

食品業界では、プラスチック製の容器が非常に広く利用されており、その多くは一度使用されて廃棄されるため、コストと環境負荷の観点からも軽量化が求められています。

容器の軽量化を行う際でも、内容物をしっかりと保護するための強度は必須です。
材料力学の観点から、応力を均等に分布させるために、容器の底面に凸凹のデザインを取り入れることで、効率的に材料を減らしながら強度を確保することが可能です。

また、複層構造を利用し、内外の素材を使い分けることで、減量効果と同時にバリア機能を兼ね備える工夫も行われています。

電子機器のハウジング

電子機器のハウジング(外装ケース)もプラスチック製品として多く見られます。
電子機器は耐久性や耐衝撃性が求められるため、強度設計が欠かせません。

材料力学を応用し、たとえばラティス構造を採用することで、軽量化しつつも高い強度を確保したケース設計が可能です。
ラティス構造により、最小限の材料で最大限の剛性を実現できます。

このような設計手法により、電子機器全体の重量を減らすと同時に、耐久性の高い製品が生まれます。

まとめ

材料力学の知識は、プラスチック製品の設計、特に強度や軽量化を考慮した設計において非常に重要です。
応力とひずみの基本的な関係や材料の選定、応力集中を避けるための形状設計など、多くの要素が製品の性能に直結します。

自動車や食品容器、電子機器など様々な分野で、材料力学を応用することで、効率的な製品設計が可能となります。
これにより、製品の性能を向上させつつ、環境負荷の低減にも寄与できるのです。

製造業に従事する皆様には、ぜひこの知識を日々の業務に応用していただき、より効率的で持続可能な製品設計を進めていただければと思います。

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