投稿日:2024年6月21日

ムダ取りの基本:余力創出型アプローチ

製造業の現場では、生産性の向上や品質管理の強化が常に求められます。
そのため、多くの企業が「ムダ取り」に注力してきましたが、ムダ取りに加えて「余力創出型アプローチ」を採用することで、より効率的に成果を上げることが可能です。
本記事では、基本的なムダ取りの手法と、新たなアプローチである余力創出について詳しく解説します。

ムダ取りの基本概念

ムダ取りとは、製造プロセスにおける無駄な作業や時間、資源を削減する活動を指します。
徹底的なムダ取りは、生産性向上の基本です。
以下に、ムダ取りの主要なポイントを挙げます。

7つのムダ

1. 過剰生産のムダ:需要以上の生産は在庫の増加を招きます。
常に顧客の需要に合った生産計画を立てることが必要です。

2. 待ちのムダ:設備の故障や材料の入荷遅れが生産ラインを止めてしまいます。
予防保全やサプライチェーンの強化が求められます。

3. 運搬のムダ:無駄な運搬は時間と労力を消費します。
レイアウトを見直すことで運搬距離を短縮することが可能です。

4. 加工のムダ:必要以上の加工や工程はコストを増大させます。
適切な工程設計でムダを削減します。

5. 在庫のムダ:過剰な在庫は保管コストや保管スペースを圧迫します。
適正在庫を維持するためのJIT(Just In Time)方式の導入が効果的です。

6. 動作のムダ:無駄な動作や動線は作業効率を低下させます。
作業動線の見直しや工具の配置を最適化することが重要です。

7. 不良のムダ:不良品は検査やリワークの手間がかかります。
品質管理の強化とともに、工程内での品質チェックを徹底しましょう。

余力創出型アプローチとは

余力創出型アプローチは、効率化と同時に「余力=余裕」を生み出すことを目指した新しい考え方です。
単なるムダ取りに終始せず、余力を生むことによりさらなる改良や新しいビジネスチャンスに活かす方法です。

人材の多能工化

多能工化とは、一人で複数の技能を持つ多能工(マルチスキル)を育成することです。
これにより、人手不足の際にも適応できる柔軟な生産体制が築かれます。
また、多能工化は従業員のスキルアップとモチベーション向上にも繋がります。

自動化とデジタル化

現代では、AIやIoTを活用した自動化やデジタル化が進んでいます。
これにより、従来の手作業のムダを削減し、リアルタイムでのデータ取得と分析が可能です。
例えば、設備の稼働状況や生産データをAIが解析し、生産ラインの効率を最適化することができます。

予知保全の導入

従来の予防保全から一歩進んで、予知保全を導入することで余力を生み出します。
センサーやAIを用いて設備の状態を常に監視し、異常を予知することで大規模な故障を未然に防ぎます。
これにより、計画的なメンテナンスが可能となり、突発的なダウンタイムを削減できます。

余力創出型アプローチの実践方法

ここでは、実際に余力創出型アプローチを現場に適用する方法を解説します。

1. 現場の分析

まず、現場の現状を詳細に分析します。
ムダの発見はもちろんのこと、余力を生み出すためのポテンシャルを探ります。
現状を正確に把握することで、どこに手を加えるべきかが明確になります。

2. 改善計画の策定

次に改善計画を策定します。
ムダを削減するための具体的な施策と、余力を創出するための新しい取り組みを計画に盛り込みます。
具体的には、多能工の育成計画や自動化技術の導入計画などを詳細に記載します。

3. Pi(パイ)評価法の活用

Pi(パイ)評価法は、プロセス改善のための評価法として有効です。
各工程や作業を「時間」「コスト」「品質」の三軸で評価し、改善の効果を数値として測定します。
これにより、具体的な成果を確認しつつ、さらなる改善点を発見することができます。

4. PDCAサイクルの徹底

Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)のPDCAサイクルを徹底することが、継続的な改善に大いに役立ちます。
これにより、一過性の改善ではなく、持続的かつ進化するプロセス改善を実現します。

最新技術を活用した余力創出の事例

最新技術を駆使した余力創出の成功事例は数多く存在します。
以下にいくつかの取り組みを紹介します。

AIとビッグデータの解析

ある自動車部品メーカーでは、AIとビッグデータを活用して生産ラインの最適化を図りました。
設備の稼働状況や品質データを収集・解析し、リアルタイムで生産ラインを調整することで大幅な生産効率の向上と余力の創出に成功しました。

IoTによるリアルタイムモニタリング

食品加工業では、IoTデバイスを活用して生産ラインのリアルタイムモニタリングを行いました。
機器の振動や温度、湿度などを常に監視し、異常が発生した際には即座に対応できる体制を整えました。
これにより、ダウンタイムの大幅な削減と生産の安定化を図りました。

AR(拡張現実)を用いた技能伝承

電機メーカーでは、ARを用いた技能伝承の取り組みを行いました。
ベテラン社員の技術やノウハウをARで可視化し、新入社員へ効果的に伝えることで、早期のスキル習得と即戦力化を実現しました。

 

ムダ取りの基本は、製造現場における生産性向上の第一歩です。
さらに、余力創出型アプローチを取り入れることで、単なる効率化だけでなく、持続的な成長と競争力の強化を目指すことができます。
多能工化、自動化とデジタル化、予知保全の導入などを通じて、現場に余力を生む仕組みを構築しましょう。
これにより、現場の改善活動が一層進化し、製造業の発展に大きく貢献することができるでしょう。

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