投稿日:2024年10月25日

設備技術部門の新任リーダーが学ぶべきTPM活動の基礎と設備保全のアプローチ

TPM活動とは何か?

TPM(Total Productive Maintenance)は、日本語で「全員参加の生産保全」を意味し、1971年に日本で生まれた概念です。
この活動は、設備の総合的な効率性を追求し、無駄を省き、故障を未然に防ぐことを目的としています。
TPMは製造業における設備保全に多大なる影響を与え、現在も多くの企業で積極的に取り入れられています。

TPM活動の核心は「全員参加」というところにあります。
製造現場のみならず、設備保全、管理、生産管理など、全ての部門が協力して業務を遂行することが重要です。
この協力により、設備の稼働率を高め、コスト削減と生産性向上を目指します。

TPM活動の8本柱

TPM活動は、基本的に8本の柱から構成されています。
これらの柱は企業の規模や業界に応じて微調整されることもありますが、以下の点に基づいて活動をします。

1. 自主保全

自主保全は、現場のオペレーター自身が日常的に設備の点検や簡単な保守を行うことで、予期せぬ故障を未然に防ぐ活動です。
オペレーターが設備の状態に注意を払い、異常を早期に発見することで、設備のダウンタイムを最小限に抑えられます。

2. 計画保全

計画保全は、設備の寿命を最大限に活用するための活動です。
予防保全、改良保全、事後保全などを組み合わせ、効率的なメンテナンスを実施します。
これにより、設備の故障を事前に防ぎ、計画的な生産を維持します。

3. 教育訓練

教育訓練の目的は、設備保全に必要な知識や技術を従業員に提供することです。
従業員が設備について深く理解することで、自主保全の効果が向上し、全体的な保全体制も強化されます。

4. 品質保全

品質保全は、設備の故障が製品の品質に悪影響を与えることを未然に防ぐ活動です。
設備の設計段階から品質を考慮し、不具合を発生させない設備づくりを進めていきます。

5. 開発保全

開発保全は、新しい設備や技術導入時に、その設備の設計から保全性を考慮する活動です。
設備のライフサイクル全体を見通し、構築段階から効率的なメンテナンス計画を取り込むことが重要です。

6. 安全・環境管理

安全・環境管理活動は、作業員の安全を確保し、環境への配慮を行うことを重視します。
安全設備の導入や環境負荷の低減に向けた活動を通じて、持続可能な生産活動を目指します。

7. 間接部門効率化

間接部門効率化は、間接部門(事務、調達、物流など)の作業効率を向上させる活動です。
製造現場だけでなく、組織全体として効率化を促進することによって、会社全体の生産性を向上させます。

8. 事務管理(TPAM)

TPAM(Total Productive Administration Maintenance)は、製造現場の外で発生する業務も含めて管理し、生産性の向上を目指す活動です。
特に効率的なオフィスワークの実現や、業務プロセスの見直しなどを通じて、全体的な生産性を高めます。

設備保全のアプローチ

設備保全はTPM活動の柱の一つであり、設備の稼働を安定させるために欠かせない役割を果たします。
具体的には次のようなアプローチが考えられます。

予防保全

予防保全とは、設備の定期点検や定期的なメンテナンスを通じて、故障を未然に防ぐ手法です。
その活動には、部品交換や潤滑などがあり、計画的に行います。
予防保全を行うことで、予期せぬ故障による生産中断を避け、生産計画を安定させます。

事後保全

事後保全は、実際に設備が故障した際に修復する活動です。
この活動は、予防保全の背後に位置付けられ、故障が発生した後に迅速に対応するための体制を整備します。
問題の原因を突き止め、再発防止策を講じることも重要です。

改良保全

改良保全は、既存の設備を改良して稼働率を向上させる活動です。
故障の原因分析から設備の設計改善、新技術の導入などを行います。
これにより、設備の性能向上とともに長期的な信頼性を確保します。

予知保全

予知保全は、設備の状態を常に監視し、故障の兆候を事前にキャッチすることで問題発生を防ぐ手法です。
センサー技術やビッグデータ解析を活用し、設備の異常を自動で検出するシステムを導入します。
こうした先進技術を駆使することで、潜在的な問題を見逃すことなく対応できます。

新任リーダーとしての心得

設備技術部門の新任リーダーは、以上のTPM活動と設備保全アプローチを理解し、チームをリードする役割を担います。
ここでは、新任リーダーが具体的に取り組むべきことをいくつか挙げます。

コミュニケーションの強化

TPM活動を成功させるためには、チーム内外での円滑なコミュニケーションが不可欠です。
人と人とのつながりを大切にし、情報が正しく伝わる仕組みをつくりましょう。
特に、日常のミーティングなどでオープンな意見交換を推進します。

データに基づく判断

設備保全においては、データに基づいた判断が重要です。
センサーやモニタリングシステムで収集したデータを活用し、設備の状態を把握しましょう。
この情報を基にして、保全計画を立て、改善策を実施することが求められます。

メンバーのスキルアップ

メンバー全員が設備保全の知識を持ち、効率的に作業を進めるための教育機会を提供します。
定期的な研修や現場でのOJTを通じて、技術者としてのスキルアップを支援しましょう。

変化への柔軟な対応

製造業では、新たな技術や市場環境の変化が日常的に発生します。
新任リーダーとして、こうした変化に柔軟に対応し、チームをリードすることが重要です。
改善活動を進める中で、常に新たな知識を取り入れ、変化を捉え続けてください。

まとめ

設備技術部門の新任リーダーとなった際には、TPM活動と設備保全の基本を理解し、実践することが求められます。
全員参加のTPM活動を通じて、設備の信頼性を高め、企業の競争力を向上させましょう。

具体的なアプローチとして、予防保全、事後保全、改良保全、予知保全があります。
これらの方法を駆使し、効率的に設備を管理していくことが重要です。

コミュニケーション強化、データ活用、メンバーのスキルアップ、変化対応の4つの心得を基に、チームを効果的に指導し、持続的に成長を目指してください。
これにより、設備技術部門は更なる発展を遂げることができます。

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