投稿日:2024年8月19日

炭素繊維複合材の技術と製造業での利用方法

炭素繊維複合材の技術と製造業での利用方法

炭素繊維複合材とは

炭素繊維複合材は、炭素繊維と樹脂を組み合わせた材料です。
通常、強度に優れた炭素繊維を、エポキシ樹脂やポリアミドなどの樹脂で硬化させ、強力な一体構造を形成します。
その特徴は、非常に軽量でありながら高強度・高剛性を持つことです。
また、耐熱性や耐腐食性にも優れているため、航空宇宙産業や自動車産業、スポーツ用品など様々な分野で広く利用されています。

炭素繊維複合材の製造プロセス

炭素繊維複合材の製造プロセスは以下の通りです。

1. 繊維の製造

まず、炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)などの原料から製造されます。
原料を引き伸ばして細かい繊維状にし、高温で酸化、次いでカーボン化させます。
この過程で、炭素繊維の特性である高強度と軽量性が生まれます。

2. 予備成形

繊維が完成すると、それを含浸樹脂で包み込む「プリプレグ」や、繊維を織り込む「ファブリック」といった形で準備されます。
これにより、次の製造プロセスでの取り扱いがより容易になります。

3. 成形

成形方法には、オートクレーブ成形、熱プレス成形、樹脂注入成形 (RTM) などさまざまな方法があります。
例えば、オートクレーブ成形では、プリプレグをモールドにセットし、高温・高圧下で硬化させることで高品質な部品を作成します。

4. 加工および仕上げ

成形後の部品は、必要に応じて切削、穴あけ、研磨などの加工が行われます。
最後に、表面処理や塗装などの仕上げ作業を行い、製品が完成します。

炭素繊維複合材の利点と挑戦

炭素繊維複合材には多数の利点がありますが、それに伴う挑戦も存在します。

利点

高強度・軽量性

炭素繊維複合材は、金属材料に比べて非常に軽量でありながら、同等あるいはそれ以上の強度を持つため、構造部材として非常に優れています。
自動車の車体や航空機の主要構造部材に利用されることが多いです。

耐腐食性・耐熱性

炭素繊維複合材は、耐腐食性に優れており、錆びにくい特徴があります。
また、耐熱性にも優れているため、高温環境下での使用にも適しています。

設計自由度

炭素繊維複合材は成形性が良いため、複雑な形状の部品にも対応可能です。
これにより、デザインの自由度が高まり、効率的な構造設計が可能となります。

挑戦

コスト

炭素繊維複合材の製造コストは依然として高く、大量生産が難しいため、コスト削減が大きな課題となっています。

製造プロセスの課題

製造プロセスが複雑であり、一貫した品質管理が求められます。
特に大規模な部品製造においては、高度な技術と経験が必要です。

リサイクルの難しさ

炭素繊維複合材はその構造上、リサイクルが難しいと言われています。
持続可能な製造プロセスの実現には、新たなリサイクル技術の開発が求められます。

炭素繊維複合材の製造業での利用方法

炭素繊維複合材は、その優れた特性から、様々な製造業で広く利用されています。

自動車産業

炭素繊維複合材は自動車産業において、軽量化を図るための重要な材料です。
例えば、車体のフレームや、ドア、ボンネットなどの外装部品に使用されます。
軽量化することで燃費の向上や二酸化炭素排出量の削減が可能となり、環境負荷の低減にも貢献しています。

航空宇宙産業

航空機や宇宙機において、重量を減らすことは非常に重要です。
炭素繊維複合材は、軽量でありながら強度も持つため、主翼や機体の構造部品、内装部品に広く使用されています。
結果として、燃費効率の向上や運行コストの削減、さらには航続距離の延長が実現されています。

スポーツ用品

ゴルフクラブ、テニスラケット、自転車フレームなど、スポーツ用品分野でも炭素繊維複合材の利用が進んでいます。
軽量で高強度という特性により、使用者のパフォーマンス向上が期待できるためです。

エネルギー産業

風力発電のブレードや、石油・天然ガスのパイプラインにも炭素繊維複合材が利用されています。
特にブレードは長く大きいがゆえに、軽量化と強度の両立が求められるため、炭素繊維複合材はその要件を満たすのに最適です。

最新技術動向と未来展望

炭素繊維複合材の技術は日々進化しています。以下はその最新動向と未来の展望です。

3Dプリンティング技術

炭素繊維複合材と3Dプリンティング技術の融合が進んでいます。
これにより、複雑形状の部品がより迅速かつ正確に製造され、カスタマイズ性も向上します。
特に航空宇宙や自動車産業では、この技術の導入が加速しており、生産効率の大幅な向上が期待されています。

スマート材料技術

局所的に特性を変えるスマート材料技術も注目されています。
例えば、センサーやアクチュエーターを炭素繊維複合材に組み込むことで、定量的な状態監視やリアルタイムのフィードバックが可能となります。
これにより、メンテナンスの効率化や部品の寿命予測が向上し、製造過程の最適化が図られます。

持続可能性とリサイクル

持続可能な社会の実現に向け、炭素繊維複合材のリサイクル技術にも注力されています。
例えば、熱可塑性樹脂を用いた複合材は、熱した状態で形状を変えることが可能で、リサイクル性が高いとされています。

鉱工業への応用

最新の鉱工業分野では、高性能な機械部品や工具への応用が進んでいます。
超高性能な耐摩耗性や耐腐食性の特性を活かすことで、より高い生産効率や製品寿命の延長が期待されています。

まとめ

炭素繊維複合材は、その高強度・軽量性という優れた特性から、製造業の数多くの分野で利用されています。
自動車産業や航空宇宙産業、スポーツ用品からエネルギー産業まで、その応用範囲は広がり続けています。
また、3Dプリンティング技術やスマート材料技術との融合、持続可能なリサイクル技術の進展により、今後の炭素繊維複合材の展望は非常に明るいです。
持続可能な社会の実現に向け、炭素繊維複合材の技術革新とその応用範囲の拡大に期待が寄せられています。

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