投稿日:2024年7月31日

エンジニアリングプラスチック(Engineering plastic)の特性と製造業での活用

エンジニアリングプラスチックとは

エンジニアリングプラスチック(Engineering plastics)は、高性能なプラスチック素材であり、高い機械強度、熱耐性、耐薬品性などを備えています。
これにより、通常のプラスチックが耐えられない過酷な環境下でも使用できるため、製造業をはじめとする様々な分野で広く活用されています。
一般的なエンジニアリングプラスチックにはポリアミド(ナイロン)、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィドなどが含まれます。

エンジニアリングプラスチックの主要な特性

機械的強度

エンジニアリングプラスチックは、高い引張強度や曲げ強度を持っているため、機械的な圧力や衝撃に対して非常に強いです。
そのため、構造部品や機械部品に用いられることが多いです。
例えば、自動車のエンジン部品やガードレールの部品に使われることがあります。

耐熱性

高温耐性を持つエンジニアリングプラスチックは、広範囲の温度で安定した物性を発揮します。
たとえば、ポリイミドは300度以上の高温にも耐えることができ、電子部品や航空宇宙分野で重要な役割を果たしています。

耐薬品性

多くのエンジニアリングプラスチックは、酸やアルカリ、溶剤に対する耐性が高いです。
これにより、化学工業や医療機器製造などの分野で、安全性と耐久性を持った部品を作るために使われます。

寸法安定性

温度や湿度の変化に対しても、エンジニアリングプラスチックは膨張や縮小が少なく、寸法安定性が高いです。
これにより、高精度が求められる機械部品や電子部品の製造に適しています。

電気特性

エンジニアリングプラスチックの中には、優れた絶縁性を持つものもあり、電子機器分野での応用が広がっています。
特に、プリント基板や絶縁シートに使用されることが多いです。

製造業におけるエンジニアリングプラスチックの活用

自動車産業

エンジニアリングプラスチックは、自動車部品の軽量化やコスト削減に大きく寄与しています。
とくにエンジンルーム内の高温部品や燃料系統など、高い耐熱性が求められる場所での利用が一般的です。
また、軽量化は燃費向上や二酸化炭素の排出削減にも直結するため、環境性能の向上にも貢献しています。

電子・電気機器

エンジニアリングプラスチックは、電気絶縁性が高く、耐熱性も優れていることから、電子機器の内部構造部品やコネクタ、スイッチなどに広く使われています。
また、寸法安定性が高いことから、回路基板や精密な部品にも適しています。

医療機器

医療機器分野では、エンジニアリングプラスチックの耐薬品性と生体適合性が求められています。
例えば、ポリカーボネートやポリフェニレンエーテルは、医療機器や手術器具の製造に使用されています。
さらに、これらの材料は軽量であるため、医療従事者の負担も軽減します。

工業用機械

工業用機械や設備にもエンジニアリングプラスチックは頻繁に用いられています。
高強度と耐久性を持ち、摩耗に強いことから、ギアやベアリング、ベルトなどの機械部品に適しています。
これにより、メンテナンスコストの削減や機械の長寿命化が図れます。

その他の分野

航空宇宙産業や建設業、スポーツ用品など、さまざまな分野でもエンジニアリングプラスチックは利用されています。
特に航空宇宙産業では、軽量で強度の高い材料が求められるため、エンジニアリングプラスチックは重要な素材となっています。

最新技術動向

バイオベースエンジニアリングプラスチック

持続可能な社会への移行の一環として、従来の石油ベースでないバイオベースエンジニアリングプラスチックが注目されています。
これらの材料は、再生可能な天然資源から製造され、環境負荷を低減すると同時に、高性能を維持しています。
例えば、トウモロコシやサトウキビから作られるポリ乳酸(PLA)は、その一例です。

ナノコンポジット技術

ナノテクノロジーを応用したエンジニアリングプラスチックの改良が進んでいます。
ナノ粒子をプラスチックマトリックスに分散させることで、機械的強度や耐熱性、導電性など、さまざまな物性を向上させることが可能です。

リサイクル技術の進展

エンジニアリングプラスチックのリサイクル技術も進んでいます。
従来は難しかったエンジニアリングプラスチックのリサイクルが、新技術により実現されつつあります。
これにより、資源の有効利用と廃棄物の削減が期待されています。

エンジニアリングプラスチックの選定ポイント

エンジニアリングプラスチックを選定する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

性能要件

部品や製品の具体的な性能要件を明確にすることが最初のステップです。
必要な機械強度、耐熱性、耐薬品性、電気特性などを基準に、最適なエンジニアリングプラスチックを選定します。

コスト

コストも重要な要素です。
エンジニアリングプラスチックは高性能な反面、比較的高価な材料です。
必要性能とコストのバランスを見極めることが大切です。

加工性

加工の容易さも考慮に入れる必要があります。
エンジニアリングプラスチックの中には、特別な加工技術や設備を必要とするものもあります。
加工コストや時間も含めて検討します。

供給の安定性

供給の安定性も見逃せないポイントです。
必要な材料が常に安定して供給されることを確認するために、信頼性の高い供給元と連携することが重要です。

まとめ

エンジニアリングプラスチックは、その高性能と多様な特性から多岐にわたる分野で活用されています。
製造業においては特に、自動車産業、電子・電気機器、医療機器、工業用機械などで重要な役割を果たしています。
最新の技術動向としては、バイオベース素材やナノコンポジット技術、リサイクル技術の進展が注目されています。
エンジニアリングプラスチックを選定する際には、性能要件、コスト、加工性、供給の安定性を考慮することが重要です。

今後もエンジニアリングプラスチックの発展と進化により、製造業をはじめとする様々な分野での新たな応用が期待されます。
そのため、常に最新情報にアンテナを張り、適切な素材選定と技術導入を行うことが求められます。

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