投稿日:2024年12月29日

網羅性を確保した「機能展開型FMEA」と品質問題の未然防止への応用

はじめに

製造業における品質問題は、多くの場合、予防策が十分に講じられていないことで発生します。
そこで、製造現場の品質問題の未然防止のための強力な手法として「機能展開型FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)」があります。
本記事では、機能展開型FMEAがどのように品質問題の未然防止に寄与するのか、その基本概念や応用事例について詳しく解説します。

FMEAとは何か

FMEAは、潜在的な故障モード(不具合の原因)を体系的に分析し、その影響を評価するプロセスです。
これにより、リスクのある領域を特定して予防策を立てることができます。
FMEAには2つの主要なバリエーションがあります:設計FMEA(DFMEA)とプロセスFMEA(PFMEA)です。

設計FMEA(DFMEA)

設計FMEAは、製品や部品の設計における潜在的な故障モードを評価し、それが製品全体の性能に与える影響を分析します。
設計段階での不具合を未然に防ぐため、設計変更や追加対策の必要性を検討します。

プロセスFMEA(PFMEA)

プロセスFMEAは、製造プロセス内で発生しうる潜在的な故障モードを特定し、その影響を評価します。
これにより、製品の製造中に発生する可能性がある品質問題を未然に防ぐための手段を講じることができます。

機能展開型FMEAの特長

機能展開型FMEAは、製品やプロセスの「機能」に基づいて故障モードを評価する手法です。
これにより、従来のFMEAよりも包括的に潜在的な問題を見つけることができます。

機能に焦点を当てた分析

機能展開型FMEAは、製品やプロセスの各機能が正常に働かないシナリオを体系的に分析します。
この視点をもつことで、想定外の故障モードやリスクを取りこぼすことなく捉えることができます。

広範な視野での問題特定

FMEA分析において、故障モードの発見はシステム全体を俯瞰した広範な視野が重要です。
機能展開型FMEAは、システム全体を多角的に眺めることで、より包括的な問題特定が可能になります。

多職種協働による知見の集約

機能展開型FMEAは、設計者、工程管理者、品質管理者など多職種が協働で行うことが推奨されています。
異なる視点を持つ専門家の知見を集約することで、より正確で多角的な分析を実現します。

機能展開型FMEAの実践ステップ

具体的な実践として、機能展開型FMEAを行う際のステップを以下に示します。

1. チームの編成

まず、適切な専門知識を持ったメンバーでチームを編成します。
設計部門、製造部門、品質管理部門など、関係者全員が参加します。

2. 分析対象の定義

次に、分析対象となる製品やプロセスの機能をリストアップします。
これにより、どの部分を重点的に分析するのかを明確にします。

3. 故障モードの特定

各機能に対して、考えられる潜在的な故障モードを特定します。
ここでは、過去のトラブルデータや専門的な知識を活用します。

4. 故障モードの影響分析

特定された故障モードが発生した場合にどのような影響があるのかを評価します。
影響の大きさや頻度などを定量化することが求められます。

5. 予防策の策定

影響が大きい、または発生頻度が高い故障モードに対して、予防策や対策を策定します。
これには設計変更やプロセス改善が含まれることがあります。

6. 結果の評価とフィードバック

最終的に、実施した対策が有効であったかを評価し、必要に応じて再評価を行います。
結果は関係者にフィードバックし、次の計画に活用します。

実践的な応用事例

機能展開型FMEAは、様々な製造業の場面でその効果を発揮しています。

自動車産業における品質向上

自動車産業では、部品点数が多く複雑なため、機能展開型FMEAが非常に有効です。
設計段階から機能ごとのリスク分析を行い、製造プロセスにフィードバックすることで、リコールの発生を大幅に低減しています。

電子機器製造プロセスの最適化

電子機器製造業では、微細な故障モードも重大な問題に発展することがあります。
機能展開型FMEAを活用することで、プロセス中の微細な不良を未然に発見し、品質管理の精度を向上させています。

まとめ:未然防止の重要性とFMEAの可能性

製造業における品質問題の未然防止は、企業の信頼性向上やコスト削減に直結します。
機能展開型FMEAは、その潜在的な故障モードを広範かつ体系的に分析することにより、リスクを最小限に抑えるための強力なツールです。

製造業の現場では、問題発生後の対応よりも、未然の防止が圧倒的に重要視されます。
それゆえに機能展開型FMEAの実践が、製品の品質と企業全体の競争力を高める鍵となるでしょう。
この機会にぜひ、機能展開型FMEAを取り入れて、品質問題の未然防止にお役立てください。

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