投稿日:2024年9月16日

工程設計と作業設計の違い

工程設計とは

工程設計は、製品を製造する際の一連の作業ステップやプロセスを計画・管理するプロセスです。
主に製品の品質、コスト、納期に影響を与えるため、非常に重要な役割を果たします。
工程設計には、製造プロセスの各ステップを最適化し、効率と生産性を最大化するための詳細な計画が含まれます。

例えば、エンジン部品を製造する工程では、素材の選定から始まり、加工、組み立て、仕上げ、検査といった一連のプロセスが含まれます。
各ステップは詳細に計画され、どのようにして一貫して高品質な製品を迅速かつコスト効率良く生産するかを決定します。

作業設計とは

作業設計は、従業員が具体的にどのようにして製品を製造するかを定義するプロセスです。
作業者の動作や使用する工具、機械の操作方法など、細かい部分に焦点をあてます。
作業設計は工程設計の一部であり、実際の現場での生産活動を具体化するための重要な要素です。

例えば、エンジン部品の組み立て作業では、作業者がどの順番で部品を組み立てるか、どの工具を使うか、作業手順の標準化が求められます。
これにより、一貫した品質と生産性の向上が期待できるわけです。

工程設計と作業設計の違い

工程設計と作業設計は互いに補完し合う関係にありますが、アプローチや目的が異なります。

工程設計の役割

工程設計は以下の要素に焦点を当てます。

1. **プロセスのフロー:**
製造工程全体の流れを設計し、どの順番で作業が進行するかを決定します。
例えば、素材の準備、加工、組み立て、検査といった主要な工程を最適化します。

2. **リソースの最適化:**
人員、機械、材料などのリソースを効果的に使用するための計画を立てます。
これには、使用すべき機械の選定や配置、作業スペースの最適配置が含まれます。

3. **品質管理:**
工程全体で一貫した品質を確保するための手法を決定します。
これには検査ポイントの設定や工程内検査方法の策定が含まれます。

4. **コスト管理:**
製造コストを最小化し、同時に収益を最大化するように工程を設計します。

作業設計の役割

一方、作業設計は以下の要素に焦点を当てます。

1. **作業手順の標準化:**
特定の作業タスクをどのように実施するかの詳細な指示を策定します。
これにより、作業者間での作業方法のばらつきを減少させます。

2. **作業環境の設計:**
作業者が快適かつ安全に作業できる環境を整えます。
これにはエルゴノミクス(人体工学)を考慮した作業台やツールの配置が含まれます。

3. **技能訓練:**
作業者が必要な技能を取得するための訓練プログラムを作成します。
これにより、作業者の効率性と製品品質が向上します。

4. **品質管理:**
個々の作業タスクで品質を確保するための具体的な方法を設定します。
これにはチェックリストや作業手順書の配布が含まれます。

工程設計と作業設計の連携

工程設計と作業設計の連携は、製造プロセス全体の効率を大幅に向上させるために極めて重要です。
例えば、工程設計で決定されたプロセスフローを基に、作業設計では具体的な作業手順や使用するツール、作業者の動きが詳細化されます。

この連携によって、以下のようなメリットがあります。

1. **生産性の向上:**
工程全体が効率的に流れるように設計され、作業者の動きや使用するツールも最適化されることで、生産性が向上します。

2. **品質の一貫性:**
一貫した作業手順が設定されることで、製品の品質が常に一定に保たれるようになります。

3. **コスト削減:**
最適化された工程と作業手順により、ムダが排除され、コスト削減が実現します。

4. **作業者の満足度向上:**
安全かつ効率的な作業環境が整備され、作業者の満足度が向上します。

最新技術の導入

現代の製造業では、技術の進歩に伴い、工程設計と作業設計にも最新技術が導入されています。
以下にいくつかの技術を紹介します。

IoT(Internet of Things)

IoT技術を導入することで、工場内の機械や設備がインターネットに接続され、リアルタイムでデータを収集・分析できます。
これにより、工程設計や作業設計において、より正確なデータに基づいた意思決定が可能となります。
例えば、機械の稼働状況や故障予兆をリアルタイムで監視することで、メンテナンスのタイミングを最適化し、生産性を向上させます。

AI(人工知能)

AIを活用したデータ解析により、工程設計や作業設計の効率化が図られています。
例えば、製造過程でのデータをAIが分析し、最適な工程フローや作業手順を自動的に提案することができます。
これにより、人間の手では見落としがちな最適化ポイントを発見しやすくなります。

ロボティクス

ロボティクス技術の進化により、人間と協働するコボット(協働ロボット)が普及しています。
これにより、作業者の負担を軽減しつつ、高精度な作業を行うことが可能です。
例えば、重い部品の移動や繊細な組み立て作業などをロボットが担当することで、作業者の疲労を軽減し、作業効率を向上させます。

VR(バーチャルリアリティ)

VR技術を利用することで、作業設計の段階で仮想空間上でのシミュレーションが行えます。
これにより、実際の作業環境を再現し、作業手順や動作を最適化することができます。
また、新人作業者の訓練にもVR技術が活用され、リアルな環境でのトレーニングが可能です。

まとめ

工程設計と作業設計は、製造業の効率と品質を最大化するためには欠かせないプロセスです。
それぞれの役割を理解し、適切に連携させることで、生産性の向上やコスト削減、品質の一貫性を実現することが可能です。
また、最新技術を積極的に導入することで、さらなる最適化が図れます。

今後も技術の進化とともに、工程設計と作業設計の方法も進化し続けるでしょう。
そのため、常に最新の動向をキャッチし、現場に適用することが重要です。

これにより、製造業の現場がより効率的に、そして高品質な製品を生産する環境が整うことを期待しています。

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