投稿日:2025年1月25日

DRとFMEA

DR(デザインレビュー)とは

デザインレビュー(Design Review、以下DR)は、製品開発プロセスの各段階で設計や仕様を評価し、意図した品質や性能を確保するための重要な工程です。
開発チームや利害関係者が集まり、設計の健全性、リスク、改善点を議論し、課題を解決する機会です。

DRの目的は、設計上の問題を早期に検出し、修正することであり、これにより製品の信頼性や市場投入までの時間を短縮します。
設計段階でのミスは、後々の製造段階での大きな問題やコストにつながるため、DRはことさら重要です。

DRのプロセス

DRは、設計ステージごとに異なる焦点を持つ複数のレビューを含むことが一般的です。
開発ライフサイクルの各ステージで行われ、要求仕様、コンセプト設計、詳細設計などが対象となります。

各DRは、以下のプロセスを経て進められます。

1. **準備**:レビューチームの編成、資料の準備、検討課題の明確化。
2. **実施**:設計者からのプレゼンテーション、参加者からの質疑応答、問題及びリスクの洗い出し。
3. **フォローアップ**:抽出した課題の対応策の検討、実行計画の立案、次回レビューへの準備。

DRを成功させる要素

DRを効果的に行うためには、以下のポイントが重要です。

– **多様な視点**:異なる専門分野のエキスパートを参加させ、幅広い視点で設計を評価する。
– **明確な目的**:各DRの目的を明確にし、全員が共有することで、レビューの焦点を明確にする。
– **オープンなコミュニケーション**:ミーティング内で自由に意見を述べられる環境を作り、潜在的な問題を隠さず洗い出す。
– **フォローアップ体制**:問題点の洗い出しだけでなく、その後のフォローアップが機能する体制を整える。

FMEA(故障モード影響解析)とは

FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)は、製品やプロセスの故障モードを特定し、それが結果に与える影響を評価する手法です。
リスクの高い故障モードを特定し、優先順位をつけて対策を講じることで、品質と信頼性を向上させます。

FMEAは製造業界のみならず、多くの産業で採用されており、特に自動車業界での規格であるISO 26262に基づいた開発に欠かせない手法となっています。

FMEAのプロセス

FMEAは通常、次のようなステップで行われます。

1. **システムの理解**:製品やプロセスの構造を理解し、分析対象を明確化する。
2. **故障モードの特定**:過去のデータや経験、理論に基づいて潜在的な故障モードを洗い出す。
3. **影響の評価**:各故障モードがシステムや顧客に与える影響を評価する。
4. **リスクの優先順位付け**:故障の可能性、影響度、検出の難しさを基にリスクを定量化し、優先順位をつける。
5. **対策の実行**:高リスクの故障モードに対して対策を講じ、実行する。
6. **再評価とフォローアップ**:対策後の状況を再度評価し、必要に応じて改善を継続する。

FMEAの成功ポイント

FMEAを効果的に実施するには、以下の要素が重要です。

– **包括的な参加**:設計者、製造者、品質管理者など関連するすべての部門からの参加が重要です。
– **過去のデータの活用**:過去の問題事例や統計データを用いて、潜在的リスクをより正確に予測する。
– **リスク評価の一貫性**:定量的な手法を用いてリスクを評価し、客観性を持たせる。
– **持続的なフォローアップ**:一度の解析で終わらせず、継続的にフォローアップしプロセスを改善する。

DRとFMEAの相関関係

DRとFMEAは、異なるアプローチで製品の品質を向上させますが、互いに補完し合う関係にあります。

– **DRの中でのFMEA活用**:DRのプロセスでFMEAを利用することで、設計段階からリスク管理を取り入れ、より深い議論と具体的な対策が可能になります。
– **プロアクティブな問題解決**:FMEAで発見されたリスクは、DRの中で議論され、事前に対策が立てられることで、製品ライフサイクルの早期段階で問題を回避できます。
– **フィードバックループの確立**:DRでの指摘事項を基にFMEAのリスク評価を更新し、次回の設計プロジェクトにフィードバックすることで、設計手法の継続的改善が図れます。

これらの手法を組み合わせることで、開発期間の短縮、製品の信頼性向上、コスト削減につなげることができます。

伝統的な製造業における課題と解決策

昭和から続く日本の製造業は、保守的な側面を持ちつつも、近年ではデジタル化やグローバル化の影響を受け、変革を迫られています。

デジタル化への移行

多くの製造業では、未だに紙ベースの管理や手動によるプロセスが残っています。
これが故に、情報の共有や確認に時間がかかるケースが見受けられます。
デジタルツールを導入し、DRやFMEAのプロセスでの効率性を向上させることが必要です。

– **デジタルツールの導入**:Cadデータや仕様書をクラウドベースで管理し、必要な情報に迅速にアクセスできる環境を整備する。
– **データのリアルタイム共有**:モバイル機器やタブレットを活用して、現場での情報収集や指示を即時に行う体制を構築。

グローバル化への対応

グローバル市場での競争激化は、日本国内市場だけに頼らないビジネス戦略を求めています。
これにより、DRやFMEAのプロセスも国際規格に準拠し、海外のパートナーとも円滑に協働できる体制作りが求められます。

– **国際規格の理解と適用**:ISO/TS 16949やISO 26262など国際的な規格を理解し、製品開発プロセスに取り入れる。
– **異文化理解の促進**:海外拠点とのコミュニケーションスキルを強化し、グローバルチームでのDR/FMEAを可能にする。

まとめ

DRとFMEAは、製造業における品質管理の中核を担うプロセスです。
早期段階での設計上の問題発見とリスク予測は、製品の品質を大きく向上させる鍵となります。

昭和の伝統を持つ日本の製造業も、デジタル化やグローバル化の流れを取り入れることで、自社の競争力を強化し続けることができます。
これからの製造業界において、DRとFMEAという2つの手法の理解と活用は必須であり、その成功の鍵は、文化や従来の慣習を超えた柔軟な考え方にあります。

製造業に関わる全ての方が、これらの方法論を活かし、ますます複雑化する市場環境に対応し続けることを期待します。

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