投稿日:2024年9月28日

TPM(全員参加の生産保全)を成功させるための設備選定

TPM(全員参加の生産保全)の基本概念

TPM(Total Productive Maintenance)は、日本の製造業を中心に始まり、現在では世界中で導入されている生産保全の手法です。
TPMの大きな特徴は、全員参加という理念に基づいています。
すなわち、工場のすべての従業員が協力して設備の効率を最大化することを目指します。
これは単なる設備保全にとどまらず、生産全体の改善を目指す体制を構築することを意味します。

TPMの柱となる8つの活動

TPMの活動は大きく8つの柱に分けられます。

1. 自主保全

現場のオペレーター自身が設備のメンテナンスを行うため、この活動は生産現場の意識改革を促します。
日常の点検や清掃、潤滑などをオペレーターが責任を持って行うことで、機械の故障を未然に防ぎます。

2. 計画保全

設備の保全を計画的に行うことで、予防保全や予知保全を通じて故障を未然に防ぐことを目的とします。
計画的な保全活動により、無駄な時間やコストの発生を抑え、設備の寿命を延ばします。

3. 初期管理

新しい設備の導入時に、その設計や設置、初期試運転の段階から適切な管理を行うことです。
初期の段階での適切な設定が、後々の保全活動の効率を大きく向上させます。

4. 品質保全

品質管理と保全活動を連携させることで、設備のトラブルが製品品質に与える影響を最小限に抑えます。
故障や不良発生の原因を分析し、対策を講じることが主な取り組みです。

5. 活動部門の効率化

生産と保全の活動を効率化し、生産性の向上を図ります。
作業の標準化や手順の見直しを行い、ムダを排除します。

6. 教育訓練

従業員が必要な知識と技術を持つようにするための訓練を行います。
保全のスキルだけでなく、改善の手法についても学ぶことで、全体の意識を高めます。

7. 安全・環境管理

安全で快適な職場環境を維持することもTPMの重要な活動の一つです。
安全対策や環境保全の取り組みも含まれています。

8. TPM事務局の運営

TPM活動を推進するための中枢となる組織として、事務局が設置されます。
この事務局が各部門の活動をサポートし、全体の統括を行います。

成功するTPMの設備選定基準

TPMを成功させるためには、適切な設備選定が不可欠です。
次に、TPMの観点から設備選定時に考慮すべき基準について詳しく解説します。

1. 耐久性と信頼性

選定する設備は、長期間安定して使用できることが重要です。
耐久性の低い設備を選定すると頻繁に故障し、保全コストが増大します。
そのため、過去の実績やメーカーの信頼性を基に選ぶことが求められます。

2. メンテナンス性

設備がメンテナンスしやすい設計であることも重要です。
部品の交換が容易で、点検がしやすい設計かどうかを確認します。
これにより、自主保全活動が円滑に行え、設備の稼働率を高めることができます。

3. 省エネ性能

エネルギー効率の高い設備を選定することで、長期的に運用コストを削減することが可能です。
また、環境負荷を低減することができるため、社会的にも評価されます。

4. 故障診断機能

最新の設備には、故障診断機能が搭載されていることが多いです。
この機能により、発生する前に問題を予見し、早期に対策を講じることが可能となります。

5. 汎用性と拡張性

将来的な生産ラインの変更や拡張に対応できる汎用性と拡張性のある設備を選定することも大事です。
予測不能な変動にも対応できるように、柔軟な設計が求められます。

6. 生産性の向上

設備自体が高性能であり、生産性を向上させるための機能を持っていることも見逃せません。
生産スピードや精度の改善、オペレーターの作業負担を軽減する機能が含まれているかどうかを評価します。

具体的な設備選定のステップ

設備選定の具体的なステップについて説明します。

1. 要件定義

まず、自社の生産工程においてどのような機能や性能が求められるのかを明確にします。
現場の従業員や管理者と協力して詳細な要件を洗い出します。

2. 市場調査

次に、各メーカーの設備を比較検討します。
カタログスペックだけでなく、実際のユーザーの評判やサポート体制も考慮に入れます。

3. 試運転・評価

候補となる設備が絞り込まれたら、実際に試運転を行い、性能や操作性を確認します。
必要に応じて試用期間を設けることも有効です。

4. 導入計画の策定

設備の選定が完了したら、導入計画を立てます。
導入に伴う工程変更や教育訓練の計画、メンテナンス体制の整備を行います。

設備選定で避けるべき典型的なミス

適切な設備選定が行われない場合、TPMの成功は難しくなります。以下は避けるべき典型的なミスです。

1. 初期コストだけに注目する

設備の選定時に初期コストだけに注目し、運用コストやメンテナンスコストを考慮しないと、長期的なコスト増大が懸念されます。

2. 汎用性を欠く設備選定

現時点の要件だけに焦点を当て、将来的な変更や拡張に対応できない設備を選定することは避けるべきです。

3. メンテナンス性を無視する

メンテナンスが困難な設備を選定すると、自主保全活動が滞り、結果として稼働率が低下します。

さいごに

TPMを成功させるための設備選定は非常に重要です。
そのためには、耐久性、メンテナンス性、エネルギー効率、汎用性などさまざまな観点から慎重に選定を行う必要があります。
また、現場の声を反映し、全員が納得できる設備を選定することが、TPM活動の円滑な推進に繋がります。
正しい設備選定によって、効率的かつ安定した生産体制を築き上げることができるでしょう。

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