- お役立ち記事
- 疲労・破壊の基礎と寿命予測・強度設計
疲労・破壊の基礎と寿命予測・強度設計
目次
はじめに
製造業では、さまざまな部品や製品が長期間にわたって使用されます。
そのため、疲労や破壊がどのように進行するかを理解し、適切な寿命を予測することが重要です。
さらに、強度設計を通じて製品の安全性と信頼性を確保することも欠かせません。
この記事では、疲労と破壊の基礎を紹介し、それに基づく寿命予測や強度設計のポイントを解説します。
疲労・破壊の基礎知識
疲労とは何か
疲労とは、部品や材料が繰り返し荷重を受けることで、その強度が徐々に低下し、最終的に破壊に至る現象です。
多くの場合、疲労破壊は目に見えない部分から進行し、事前に気づきにくいため予期せぬ事故を引き起こすことがあります。
疲労には主に低サイクル疲労と高サイクル疲労という2つの種類があります。
低サイクル疲労は、大きな変形を伴うドライビングフォースが繰り返される際に発生し、高サイクル疲労は小さい応力が何百万回も繰り返される状況で発生します。
破壊のメカニズム
破壊には脆性破壊と延性破壊があり、材料や使用条件によって異なるメカニズムが支配します。
脆性破壊は急激で破断面が平滑であることが特徴で、一方の延性破壊はゆっくりとした塑性変形を伴い、破断面が粗い特徴があります。
破壊が進行する過程は、疲労クラックの発生、クラックの成長、最終破壊という段階に分かれます。
クラックの成長は通常、材料の応力集中部に沿って進行し、疲労寿命を決定する要因となります。
疲労寿命の予測手法
S-N曲線法
S-N曲線は、材料の応力(Stress)と繰り返し回数(Number of cycles)との関係を示すグラフであり、疲労寿命予測に用いられます。
一般に、応力が小さくなるほど疲労寿命が長くなるという関係が見られます。
この曲線は実験データから得られ、材料や荷重条件によって大きく異なります。
設計段階での疲労寿命予測には、実験所での試験結果や経験的なデータの蓄積が欠かせません。
損傷累積理論
パルミュエール=マイナー則に代表される損傷累積理論は、疲労破壊の進行を複数の荷重によって蓄積される損傷として捉える手法です。
この理論では、それぞれの荷重サイクルがわずかながら累積して全体の疲労損傷を形成すると仮定されます。
このアプローチは、実際の使用条件において複雑な荷重条件にさらされる部品や材料に適しています。
強度設計のポイント
適切な材料選択
強度設計において最初に考慮すべきは、適切な材料選択です。
材料の選択は、使用環境や荷重条件を考慮して行う必要があります。
例えば、高温での使用が予想される場合には、耐熱性の高い材料が求められます。
また、材料の強度だけでなく、加工性、耐食性、コスト等の要素も設計段階でバランスをとって考慮することが重要です。
構造設計と応力集中の回避
構造設計では、応力集中を最小限に抑えるデザインが求められます。
たとえば、急な断面変化は応力集中の原因となり、疲労破壊を引き起こす可能性があります。
設計時にフィレットやリブを導入することで応力分布を均一にし、疲労寿命の延長が図られます。
3D CAD等を用いた有限要素解析(FEA)も、応力集中の高い箇所を特定し、補強案を検討するために有効です。
現場での応用と実践
疲労試験の実施とデータ活用
製造現場では、材料や製品の疲労特性を把握するために疲労試験を実施することが求められます。
この試験から得られるデータを用い、実際の製品設計や改善に活かすことが不可欠です。
疲労試験の結果は、材料の選択や設計基準の見直し、さらには予防保全計画の策定に活用されるべきです。
予防保全と適切なメンテナンス
どれだけ強度設計を行っても、疲労破壊を完全に防ぐことは困難です。
そのため、予防保全として定期的な点検や適切なメンテナンスが重要です。
特に、負荷がかかる部品や重要な機構には耐久検査や非破壊検査を計画的に実施し、異常が発生する前に対応策を講じていくことが製品の信頼性を高めることにつながります。
まとめ
疲労・破壊のメカニズムを理解し、それに基づいた寿命予測や強度設計を行うことは、製造業において非常に重要です。
適切な材料選択と構造設計、予防保全を通じて、製品の安全性と信頼性を確保し続けることが求められます。
これは、企業の競争力を維持し、顧客満足を高めるための不可欠なステップであり、私たちの製造現場での経験と知識が大いに役立つ領域です。
製造業に従事する方々、またバイヤーを目指す方々に向けて、今後もこれらの知見が役立つことを期待します。
資料ダウンロード
QCD調達購買管理クラウド「newji」は、調達購買部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の購買管理システムとなります。
ユーザー登録
調達購買業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた購買情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
オンライン講座
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(Β版非公開)