投稿日:2024年7月6日

失敗しない品質保証の考え方と進め方

失敗しない品質保証の考え方と進め方

品質保証は、製品の品質を確保し、顧客に満足してもらうための不可欠なプロセスです。
しかし、その重要性からくるプレッシャーや、誤ったアプローチにより品質保証が不十分な場合、重大なリスクや損害を生じることがあります。
本記事では、製造業の現場で失敗しない品質保証の考え方と進め方について、具体的な方法と最新の技術動向を交えながら解説します。

品質保証の基本的な考え方

品質保証とは何か

品質保証とは、製品やサービスが定められた品質基準を満たしていることを確認し、顧客に提供するための体系的なプロセスです。
品質保証は製造業だけでなく、さまざまな業界で重要な役割を果たしており、企業の信頼性やブランド価値を高める決定的な要素です。

品質保証の目的

品質保証の主な目的は、お客様に対して一貫して高品質の製品を提供することであり、これにより企業の信頼性を築くことです。
また、品質保証は以下のような目的も持っています。

– 製品の欠陥や不具合を事前に防ぐ
– 法的・規制要件を満たす
– 製品の市場投入を迅速化する
– コスト削減に寄与する
– 持続性可能なビジネスを実現する

品質保証の基礎要素

品質保証は、多くの要素で構成される包括的なプロセスです。
その基礎要素を理解することが、品質保証の成功につながります。

1. **品質方針と目標**: 組織の品質方針と具体的な目標を明確にすることが重要です。
これに基づいて、全社員が一貫した品質意識を持つことができます。

2. **品質マニュアルと手順書**: 品質マネジメントシステム(QMS)に基づき、品質マニュアルや手順書を整備し、全従業員が遵守することが求められます。

3. **教育とトレーニング**: 品質に対する理解を深め、適切なスキルを身に付けるための教育とトレーニングを定期的に実施します。

4. **監査と評価**: 内部監査や外部監査を通じて、品質マネジメントシステムが適切に機能しているかを評価し、必要に応じて改善を行います。

品質保証の進め方

品質保証のプロセス

品質保証のプロセスは、一連の計画的な手順により進められます。
ここでは、その基本的なステップについて詳しく解説します。

1. **計画(Plan)**: まず、品質目標を設定し、品質保証の計画を策定します。
品質基準や管理方法、必要なリソースなどを明確にします。

2. **実行(Do)**: 計画に基づいて、製品の設計・製造プロセスを実行します。
品質管理手法を導入し、工程の各段階で品質をチェックします。

3. **確認(Check)**: 製品が設定された品質基準を満たしているかを確認します。
品質監査やテストを通じて、欠陥や不具合がないかをチェックします。

4. **改善(Act)**: 確認結果に基づき、必要な改善策を講じます。
不具合が発見された場合は、原因を特定し、再発防止策を実施します。

品質保証の具体的な方法

品質保証を進める具体的な方法として、以下のような手法が一般的に活用されています。

1. **統計的品質管理(SQC)**: データ解析を通じて、製品の品質を管理する手法です。
統計的手法を用いて製品のばらつきを抑制し、品質を安定させます。

2. **品質機能展開(QFD)**: 顧客の要求を具体的な製品設計に反映させる手法です。
顧客のニーズを抽出し、それを設計・製造プロセスに組み込みます。

3. **失敗モード効果解析(FMEA)**: 潜在的な故障モードを特定し、それが引き起こす影響を評価する手法です。
この解析により、前もって故障原因を探し出し、予防措置を講じます。

4. **統合品質マネジメントシステム(QMS)**: ISO 9001などの国際規格に基づく品質マネジメントシステムを導入することにより、一貫した品質管理を実現します。

最新の技術動向

IoTと品質保証

IoT(Internet of Things)は、製造業においても大きな変革をもたらしています。
IoTにより、製品の製造過程におけるデータをリアルタイムで収集・解析し、品質を全体的に管理することが可能になります。

例えば、センサーを用いて機械の状態や製造環境を監視し、異常が発生した場合には即時に対応することができます。
これにより、不良品の発生を未然に防ぐことができるため、品質保証の効率化が図れます。

AIと品質保証

人工知能(AI)を活用することで、品質保証の精度をさらに向上させることができます。
AIは大量のデータを解析し、パターンを認識することで、潜在的な不良品の発見や、品質問題の原因解析を支援します。

例えば、画像認識技術を用いて製品の外観検査を自動化し、人間の視覚では見逃すような微細な欠陥も高精度に検出することが可能です。
また、機械学習を活用して、異常検知システムを構築し、リアルタイムで製造工程の監視と品質管理を行います。

ブロックチェーンと品質保証

ブロックチェーン技術は、品質保証分野でも注目されています。
ブロックチェーンは分散型台帳技術を利用し、データの改ざんを防ぎ、高度なトレーサビリティを実現します。

これにより、製品の生産履歴や品質情報を不可欠な形で記録・管理し、サプライチェーン全体で共有することができます。
例えば、食品や医薬品などの厳格な品質管理が求められる業界において、ブロックチェーンを利用することで、一貫した品質保証とリスク管理が可能となります。

品質保証の成功事例

トヨタ自動車の品質管理

トヨタ自動車は、「トヨタ生産方式(TPS)」と呼ばれる独自の生産システムを導入し、品質管理を徹底しています。
TPSの基本原則は「ジャストインタイム」と「自働化(Jidoka)」です。

– **ジャストインタイム**: 必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産することで、無駄を削減し、品質を維持します。

– **自働化**: 人間の介入を最小限に抑えながらも、異常が発生した場合には自動的に停止する仕組みを導入し、品質を確保します。

トヨタはこれらの手法を用い、高品質な製品を一貫して提供しています。

本田技研工業のFMEA活用例

本田技研工業(Honda)は、FMEAを積極的に活用することで品質保証を強化しています。
FMEAにより、エンジンなどの重要部品の設計段階から潜在的な故障モードを特定し、予防措置を講じています。

また、製造過程でもFMEAを導入し、品質リスクを継続的に評価・管理しています。
これにより、製品の信頼性を高め、顧客満足度を向上させています。

まとめ

品質保証は、製造業において欠かせないプロセスであり、高品質な製品を顧客に提供するための重要な要素です。
徹底した計画立案、適切な実行、確認および改善のサイクルを回し続けることで、品質保証の成功に繋がります。

また、最新技術の活用により品質管理の精度と効率をさらに高めることができます。
例えば、IoTやAI、ブロックチェーンなどの技術は、品質保証の新たな可能性を切り開くツールとなります。

品質保証の基本理念と具体的な進め方を理解し、現場で実践することで、企業全体の競争力を向上させることができます。
豊富な事例や最新技術を参考にしながら、自社の品質保証体制を強化し、持続的な成長を実現しましょう。

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