投稿日:2024年8月21日

QC7つ道具(Seven QC tools)を活用して製造品質を向上させる方法

QC7つ道具(Seven QC Tools)とは?

QC7つ道具(Seven QC Tools)は、製造現場での品質管理や問題解決に大いに役立つツール群です。
日本発祥の品質管理手法で、問題を定量的に捉えるために用いる7種類の基本的な手法を指します。
これらのツールを用いることで、製品の品質向上はもちろん、生産効率の向上やコスト削減にもつながります。

QC7つ道具の一覧

QC7つ道具には以下の項目があります:

1. チェックシート
2. パレート図
3. ヒストグラム
4. 特性要因図
5. 散布図
6. 管理図
7. 層別

これらのツールは各々の特性に応じて、問題に対する具体的なアプローチを提供しています。
では、それぞれのツールについて詳しく見ていきましょう。

チェックシートの使い方

チェックシートは、データ収集の標準化や異常の早期発見に役立つツールです。
あらかじめ定めた項目に対して、観察や検査結果を記録し、データを集計します。
例えば、不良品の発生状況や設備の稼働状態を記録することで、問題の発生原因を見える化します。

チェックシートの実践例

ある製品ラインで不良品率が上昇している場合、以下のようにチェックシートを使います。

1. 不良品の種類(傷、色ムラ、寸法不良など)を項目として設定します。
2. 各種別に不良品の発生数を記録します。
3. 週ごと、月ごとに集計し、傾向を分析します。

これにより、どの種類の不良品が多発しているのかが明確になります。
要因の特定が容易になり、改善策の具体化に役立ちます。

パレート図の使い方

パレート図は、問題や課題の優先順位を視覚的に表現するためのツールです。
発生頻度の高い順に並べ、累積比率を表示することで、主要な問題に焦点を当てることができます。

パレート図の実践例

例えば、生産ラインで発生する不良品をパレート図で分析します。

1. 不良品の種類ごとに発生件数を集計します。
2. 発生件数の多い順に並べ替え、累積比率を計算します。
3. パレート図を作成し、主要な不良品種別を特定します。

これにより、全体の70%の不良品が特定の2種類で発生していることが分かれば、その部分に焦点を当てて改善策を立てることができます。

ヒストグラムの使い方

ヒストグラムは、データの分布状況を視覚的に示すツールです。
データを区間ごとに分け、その頻度を柱状グラフで表現します。
製品の寸法や重さなど、連続したデータのばらつきを把握するのに適しています。

ヒストグラムの実践例

製品の寸法管理において、以下のようにヒストグラムを利用します。

1. 寸法データを取得し、適切な区間に分けます。
2. 各区間ごとに発生頻度を計算し、ヒストグラムを作成します。
3. データの分布状況やばらつきを分析します。

これにより、寸法のばらつきが大きいことが判明した場合、公差の見直しや製造プロセスの改善が必要とされる点を発見できます。

特性要因図の使い方

特性要因図(フィッシュボーン図)は、問題の原因を整理し、体系的に分析するためのツールです。
特性(問題)とそれに関連する要因を魚の骨のように整理し、視覚的に表現します。

特性要因図の実践例

製品品質の低下が問題となっている場合、特性要因図を用いて原因を特定します。

1. 中心に「製品品質の低下」と記載します。
2. 大きく「人」「機械」「材料」「方法」「環境」の5つの主要要因を記入します。
3. 各主要要因に対して細分化された要因を枝分かれさせて記入します。

これにより、品質低下の原因が「人」に関連する操作ミスであることが判明した場合、操作手順の教育やマニュアル改訂が必要とされることが分かります。

散布図の使い方

散布図は、2つの変数間の関係性を視覚的に示すツールです。
横軸と縦軸にそれぞれの変数を取り、データポイントをプロットすることで、相関関係を確認します。

散布図の実践例

工程内の温度と製品の寸法に相関関係があるかを調べる場合、散布図を作成します。

1. 温度を横軸、寸法を縦軸としてデータをプロットします。
2. 全データポイントを描き、関係性を確認します。

これにより、温度が高いと寸法が大きくなる傾向が見られる場合、温度管理の徹底が重要となります。

管理図の使い方

管理図は、工程の安定性を監視し、異常を早期に発見するためのツールです。
時間経過とともにデータを記録し、その変動を管理図として視覚化します。

管理図の実践例

製品の寸法が規定範囲内にあるかを管理する場合、管理図を利用します。

1. 規定範囲の上下限を設定します。
2. 時間ごとに寸法データを記録し、管理図を作成します。
3. データが上下限を超えた場合、異常として対処します。

これにより、異常が発生した時点で即座に対処し、綿密な品質管理が可能となります。

層別の使い方

層別は、データをカテゴリごとに分けて分析するツールです。
製品の特性や工程の条件などによってデータを区分し、それぞれの特性を明らかにします。

層別の実践例

異なる作業シフトごとに不良品が発生しているかどうかを調べる場合、以下のように層別を行います。

1. 作業シフト(例えば、朝・昼・夜)ごとに不良品データを収集します。
2. 各シフトの不良品発生率を計算し、比較します。

これにより、特定のシフトで不良品が多発していることが分かった場合、そのシフトの作業手順や教育内容に問題がある可能性を探ります。

まとめ

QC7つ道具は、製造現場における品質管理の基礎を築く重要なツールです。
各ツールを効果的に活用することで、問題の原因を的確に特定し、具体的な改善策を講じることができます。
これにより、製品の品質向上、生産効率の向上、コスト削減など、製造業の発展に寄与することが可能です。

製造現場での実践を通じて、QC7つ道具を適切に使いこなし、一層の品質改善を図りましょう。

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