投稿日:2024年11月29日

購買部門が取り組む調達パフォーマンス向上のためのKPI設定法

はじめに

製造業において、購買部門は企業のコスト構造や競争力を大きく左右する重要な役割を担っています。

そのため、調達パフォーマンスの向上は企業の全体的なパフォーマンスにも直結します。

購買部門が効率的かつ効果的にその役割を果たすためには、適切なKPI(Key Performance Indicators)の設定が不可欠です。

本記事では、購買部門が取り組むべき調達パフォーマンス向上のためのKPI設定法について、現場目線から深掘りし、実践的なアプローチを解説します。

KPIとは何か?購買部門における役割

KPIは「キー・パフォーマンス・インディケーター」の略で、組織やチームの業績を測定するための指標です。

プロセスが設定された目標に対して、どの程度効果的に進んでいるかを評価するために用いられます。

購買部門におけるKPIは、調達活動の効率や効果を計測し、パフォーマンスを向上させるための重要なツールとなります。

購買部門の主要なKPIの例

購買部門が設定すべき代表的なKPIには、以下のようなものがあります。

– サプライヤー納期厳守率:納入予定日に対する実際の納入率を測定し、サプライヤーの信頼性を評価します。

– 資材費削減率:資材費を前期比でどの程度削減できたかを示す数値です。コスト意識の向上や交渉力の客観的な指標となります。

– 調達リードタイム:注文から納入までの時間を測定し、調達プロセスの効率性を評価します。

– 不良品率:納入された資材・製品の品質を測定し、サプライヤーの品質管理意識を評価します。

KPI設定のポイント

効果的なKPIを設定するためには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

スマート原則を適用する

KPIの設定において、SMARTの原則を適用するのは非常に有効です。

SMARTは以下の頭文字を持つ指針です。

– Specific(具体的):明確で具体的に設定すること。

– Measurable(測定可能):数値で具体的に測定できること。

– Achievable(達成可能):現実的で達成が可能であること。

– Relevant(関連性):組織やプロジェクトに関連し、重要であること。

– Time-Bound(期限付き):期限が設定されていること。

これらの要素を考慮することで、合理的かつ実行可能なKPIが設定可能となります。

現場の意見を取り入れる

購買部門のKPIを設定する際には、現場の声を反映することが大切です。

実際に業務を遂行する担当者の意見を取り入れることで、実情に即したKPIを設定でき、組織全体の目標達成に近づくことができます。

これにより、従業員の動機付けも向上し、KPI達成へのコミットメントが強まります。

定期的な見直しと調整

KPIは一度設定したら終わりではありません。

市場環境や企業の戦略、業務の進捗状況に合わせて定期的に見直し、必要に応じて調整を行うことが重要です。

KPIの見直しは、通常、四半期や年度ごとに行いますが、ビジネスの変化が激しい場合はより頻繁に行うこともあります。

KPIを活用した調達パフォーマンス向上の実践例

KPIを効果的に活用することで、購買部門の調達パフォーマンスを飛躍的に向上させることができます。

以下に、購買部門がKPIを活用した実践例を紹介します。

ベンチマーキングによる標準化

KPIを他社や業界平均と比較することにより、自社の強みと弱みを明確化するベンチマーキングが有効です。

これにより、標準化や改善が必要な領域を特定し、より効率的な体制を構築することが可能です。

ダッシュボードによるリアルタイム管理

KPIを可視化するためのダッシュボードを構築することで、リアルタイムに状況を把握し、迅速な意思決定を行うことが可能です。

これにより、経営層や上位管理職に対しても強力なアピールが可能になり、戦略的な意思決定を支えるツールとしてのKPIの価値を最大化します。

サプライヤーとの協働強化

KPIを基にサプライヤーとの協働を強化することで、サプライヤーのパフォーマンス改善を促します。

不良品率や納期厳守率を共有し、改善策を共に探ることが、長期的な良好な関係構築につながります。

KPIの落とし穴とその回避法

KPIを導入することで得られる利点は多いですが、慎重に設計されていない場合、さまざまな落とし穴により逆効果となる可能性があります。

ここでは、その代表的な落とし穴と回避法を紹介します。

偏った指標設定

KPIが偏った指標設定となると、本来促進したい領域への影響力が薄れてしまいます。

例えば、コスト削減だけに注力しすぎると品質や納期など他の重要な要素が犠牲になることもあります。

多様な側面をバランスよく測定する指標を設定することが必要です。

過大な数値目標

KPIが現実的でない数値目標になると、従業員にとって逆効果となります。

不適切なプレッシャーの元で業務が行われると、モチベーションが下がり、生産性が向上しない可能性があります。

KPI設定時には、組織の成長段階や市場動向を考慮しながら、達成可能な範囲で設定することが求められます。

コミュニケーションの不足

KPIの意図や目的について、従業員全体に理解させるためのコミュニケーションが不足していると、個人やチームの方向性が曖昧になりやすいです。

KPIが持つ意味やゴールに到達するための評価体系について、適切な教育や説明を行い、全員が納得の上での取組みを促すことが重要です。

まとめ

調達パフォーマンス向上のためのKPI設定は、購買部門の戦略的な成長に欠かせない要素です。

適切なKPIを設定することで、業務の効率化や競争力の向上につながり、企業全体の目標達成に大きく寄与します。

SMARTの原則を押さえ、現場の声を尊重しつつ、適宜KPIを見直すことが重要です。

また、落とし穴を避けながら、KPIを活用した実践的な施策を実行していくことで、より高い次元での調達活動が実現できるでしょう。

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