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各種固体材料の熱伝導率測定法と先端材料測定のポイント
目次
はじめに
固体材料の熱伝導率は、製造業における材料選定や製品設計において極めて重要な要素の一つです。
実際の製品が市場で期待通りの性能を発揮するためには、材料の熱伝導特性を正確に把握することが求められます。
この記事では、各種固体材料の熱伝導率測定法についてご紹介するとともに、先端材料の測定におけるポイントについても触れていきます。
熱伝導率の基本概念
まずは熱伝導率の基本概念について説明します。
熱伝導率とは、物質が持つ熱を伝える能力を示す物理量です。
一般に、単位時間に単位温度差で流れる熱量を単位面積当たりで表したもので、単位はW/(m·K)で表されます。
高い熱伝導率を持つ材料は、効率的に熱を移動させることができるため、冷却が重要なデバイスや熱交換器のような用途に適しています。
メインの熱伝導率測定法
熱伝導率の測定法は大きく分けて定常法と非定常法に分類されます。
以下で、各測定法の特徴や適用範囲について詳しく解説します。
定常法
定常法は、連続的に熱を供給し、その過程での温度勾配を測定する方法です。
1. ホットプレート法
– 試料の一方の面を一定温度に保ちながら、反対面の温度を測定し、そこから熱伝導率を算出します。
– 比較的簡単な装置で測定が可能ですが、試料が十分に厚く、一定の温度勾配が確保できる必要があります。
2. ガードリング法
– ホットプレート法に似ていますが、試料周囲にガードリングを設け、熱流の外部への漏れを防ぎます。
– 正確さに優れ、標準的な測定法として広く用いられています。
非定常法
非定常法は突発的な温度変化を与え、その応答を解析することにより熱伝導率を算出する方法です。
1. パルス法
– 試料にパルス状の熱を与え、その後の温度変化を時系列で解析します。
– 高速に測定が可能で、高温や高圧条件下でも適応できます。
2. プレートパルス法
– 薄いプレート状の試料に瞬時に熱を入力し、表面温度の変化を測定する方法です。
– 薄型材料や複合材料の測定において優れた手法です。
先端材料測定のポイント
新たな材料の開発に伴い、従来の熱伝導率測定法だけでは不十分なケースも増えてきました。
以下に、先端材料の測定で考慮すべきポイントを紹介します。
高精度な測定
先端材料は多くの場合、微細構造を持っていたり、非常に薄かったりするため、従来の方法では精度不足が問題となります。
そのため、ナノスケールでの精密な測定が必要となり、レーザーや赤外線など高感度な計測器が利用されることがあります。
異方性の考慮
特に複合材料や単結晶材料などの先端材料は、異方性、つまり方向依存性を持つことがあります。
このため、熱伝導率の測定においても材料の各方向での特性をしっかり測定し、それに基づいて材料を評価することが求められます。
環境条件の影響
材料は温度や湿度、圧力などの環境条件に大きく影響を受けることがあります。
先端材料の場合、これらの影響がより顕著に現れることがあるため、実使用環境に近い条件下での試験も重要になります。
新たな測定技術とその活用
ハイエンドな熱電製品からエネルギー効率化デバイスまで、最新技術に対応した熱伝導率の測定技術も注目されています。
レーザーフラッシュ法
レーザーフラッシュ法は、試料の一方の面に瞬時にレーザーパルスを照射し、その熱応答から熱拡散率を測定する方法です。
この方法は非破壊で極めて短時間での測定が可能なため、先端材料の開発において重宝されています。
フォトアコースティック法
フォトアコースティック法は、光照射により生成される音波の伝播を解析することで材料内部の熱的特性を評価する方法です。
材料内部まで非接触で分析が可能であることが特徴です。
まとめ
固体材料の熱伝導率の測定は、製品の品質向上や新たな材料の開発、さらにはエネルギー効率改善に欠かせない技術です。
従来の定常法、非定常法に加え、高精度かつ多角的な情報を得るため、レーザーフラッシュ法やフォトアコースティック法などの先端技術を活用していくことが重要です。
また、異方性や環境条件に適した測定も考慮することで、より実用的かつ信頼性の高いデータの取得を目指しましょう。
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