投稿日:2025年1月24日

めっきの品質管理・膜厚のコントロール

めっきの品質管理の重要性

めっきは多くの製造業で使用される重要なプロセスであり、その品質管理は製品全体の信頼性に大きく寄与します。
例えば、自動車部品や電子機器の回路基板、防食処理を施した金属部品など、さまざまな製品においてその表面特性や耐久性を担っています。
めっきの品質が不十分であれば、製品自体の品質が低下し、顧客の信頼を失う原因にもなります。
そのため、めっき工程における膜厚のコントロールや品質管理は極めて重要です。

めっきの工程と膜厚の影響

めっき工程では、基材に金属層を付着させることにより、その表面性質を改善します。
この金属層の厚さ、すなわち膜厚は、製品の性能や耐久性に直接的な影響を及ぼします。
膜厚が不均一であれば、電気的な抵抗値が変わったり、腐食に対する耐性が弱くなったりする可能性があります。
このような問題が発生すると、最終製品の品質が確保できず、市場での競争力を失うリスクがあります。

膜厚の測定方法

膜厚を適正に管理するためには、正確な測定方法が必要です。
めっきの膜厚を測定する一般的な方法には、渦電流法、X線蛍光法、膜厚計法などがあります。
これらの方法は、それぞれ測定原理や用途が異なるため、対象となるめっきの種類や基材によって最適なものを選択することが求められます。

渦電流法

渦電流法は、非接触で膜厚を測定できるため、特に表面がデリケートな製品に適しています。
この方法では、導体に交流電流を流すことで、内部に渦電流を発生させ、これにより生じる磁場の変化を測定することにより膜厚を算出します。
ただし、渦電流法は非磁性金属の上にめっきされた非磁性金属や、磁性金属の上にめっきされた非磁性金属の場合のみに適用可能です。

X線蛍光法

X線蛍光法は、めっきの膜厚を非破壊で高精度に測定できる方法として広く利用されています。
この方法では、X線を対象物に照射すると、特定の波長の蛍光X線が発生します。
この蛍光X線の強度を測定することで、膜厚を算出することができます。
X線蛍光法は、多層のめっきを測定する場合や、さまざまな金属組成を持つめっきでも正確に測定可能です。

膜厚計法

膜厚計法は、物理的に膜を分解して測定する破壊的な方法です。
特に、断面を顕微鏡で観察し、膜の厚みを測定する方法が知られています。
この方法は、より正確な膜厚データを得たい場合や、複数の組成を持つ複合めっきを測定する際に使用されますが、製品の一部を破壊するという欠点があります。

膜厚のコントロール方法

膜厚を精密にコントロールすることは、めっきの品質を一定に保つための重要な要素です。
膜厚のコントロールには、次のような方法が考えられます。

電流効率の調整

電流効率は、めっき工程での電流がめっき生成に利用される割合を指します。
適切な効率を保つためには、槽内の攪拌状態や電流密度を管理する必要があります。
これにより、むらのない均一なめっきを実現し、膜厚を安定させることが可能です。

温度と化学薬品濃度の管理

めっき槽の温度と化学薬品の濃度は、膜厚に大きな影響を与えます。
温度が変動したり化学薬品の濃度が過不足していると、反応速度が変わり、膜厚が不均一になる可能性があります。
これを防ぐためには、定期的な溶液の分析と機械の校正を行い、槽内の環境を適切に保つことが求められます。

めっき時間の管理

めっき時間の調整も膜厚の制御に重要です。
長すぎるめっき時間は膜が厚くなりすぎ、逆に短すぎる時間では十分な膜が形成されません。
生産スケジュールや品質基準に応じて、効率的なめっき時間を設定することが重要です。

品質管理の実践例

ここでは、具体的なめっき工程での実践的な品質管理の方法について触れましょう。

統計的プロセス制御(SPC)の活用

SPC(Statistical Process Control)は、工程中に発生するばらつきを常にモニタリングし、管理図を用いて異常を早期に発見する方法です。
めっきの膜厚についてもSPCを適用することで、異常値を素早く検知し対策を講じることができます。
これにより品質の安定化を図り、不良品率の低減に繋がります。

トレーサビリティの確立

トレーサビリティとは、生産工程における材料や部品の履歴を追跡できる仕組みです。
めっき工程に関しては、使用した薬品のロット番号や電流密度、めっき時間を記録し、後で問題が発生した際に迅速に原因を特定することが重要です。
トレーサビリティを確立することで、生産効率の向上と不良品の原因解明が容易になります。

定期的な設備のメンテナンス

めっき工程では、使用する機械設備の状態も品質に影響を及ぼします。
ポンプや撹拌装置の故障や、電圧の不安定さは膜厚の不均一につながる可能性があるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
メンテナンスを計画的に実施することで、設備の故障を未然に防ぎ、品質の安定を図ることができます。

めっき工程の未来展望

デジタル化や自動化が進む中、めっき工程の管理にも革新が求められています。
例えば、IoT技術を活用したモニタリングシステムの導入により、リアルタイムで膜厚の変化を捉えることが可能になります。
また、AIを用いたデータ解析により、めっき条件の最適化を自動で行い、人為的なミスを最小限に抑えることができるようになるでしょう。

製造業の現場で培った知識と経験を活かし、これからのめっき工程における品質管理の向上に貢献することが、業界全体の発展に寄与する鍵となるのではないでしょうか。

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