投稿日:2024年5月13日

製造業の品質トラブル予防に役立つFMEA(故障モード影響解析)の実践

製造業において、品質トラブルを予防することは非常に重要です。
品質トラブルが発生すると、生産性の低下や納期遅延、コストの増加などにつながります。
そのため、品質トラブルを未然に防ぐための取り組みが求められています。
そこで注目されているのが、FMEA(故障モード影響解析)です。
本記事では、製造業の現場で培った知識や経験をもとに、FMEAの概要や実践方法について解説します。

FMEAとは

FMEAは、製品や工程の潜在的な故障モードを特定し、その影響を評価することで、品質トラブルを予防する手法です。
故障モードとは、製品や工程が意図した機能を発揮できない状態のことを指します。
FMEAでは、故障モードを特定し、その発生原因や影響度、検出方法などを分析します。
そして、リスクの高い故障モードに対して、予防措置や検出方法の改善を行うことで、品質トラブルのリスクを低減するのです。

FMEAの実践方法

FMEAを実践するためには、以下のようなステップが必要です。

1. チームの編成
FMEAは、設計、製造、品質管理など、様々な部門の専門家で構成されたチームで行います。
チームメンバーには、製品や工程に関する知識と経験が求められます。

2. 故障モードの特定
製品や工程を分析し、起こり得る故障モードを洗い出します。
過去の品質トラブルの事例や、類似製品の故障事例なども参考にします。

3. 影響度の評価
特定した故障モードが、製品の性能や安全性、顧客満足度などに与える影響を評価します。
影響度は、通常、10点満点で数値化します。

4. 発生原因の分析
故障モードが発生する原因を分析します。
設計上の問題、製造工程の問題、部品の品質問題など、様々な角度から原因を探ります。

5. 検出方法の評価
故障モードを検出する方法を評価します。
検査方法の有効性や、検出難易度などを考慮します。

6. リスク優先度数(RPN)の算出
影響度、発生頻度、検出難易度の3つの指標を掛け合わせ、リスク優先度数(RPN)を算出します。
RPNの高い故障モードから優先的に対策を講じます。

7. 対策の立案と実施
RPNの高い故障モードに対して、予防措置や検出方法の改善策を立案します。
そして、対策を実施し、その効果を確認します。

FMEAの実践事例

FMEAは、自動車産業や電機産業など、様々な製造業で活用されています。
例えば、自動車部品メーカーでは、FMEAを用いて、エンジン部品の潜在的な故障モードを特定し、対策を講じることで、品質トラブルを大幅に削減したそうです。
また、電子部品メーカーでは、基板の故障モードを分析し、はんだ付け工程の改善を行うことで、不良率を低減したという事例もあります。

最新の技術動向

近年、AIやビッグデータ分析などの技術を活用したFMEAの高度化が進んでいます。
例えば、AIを用いて、過去の品質トラブルデータから故障モードを自動的に特定する技術や、センサーデータをリアルタイムで分析し、異常を検知する技術などが開発されています。
これらの技術を活用することで、FMEAの効率化や精度向上が期待できます。

 

FMEAは、製造業の品質トラブル予防に欠かせない手法です。
現場の知識と経験を活かしながら、FMEAを実践することで、品質トラブルのリスクを低減し、お客様に高品質な製品を提供することができます。
また、最新の技術動向にも注目し、FMEAの高度化に取り組むことが重要です。
製造業に携わる皆様には、ぜひFMEAを活用し、品質トラブルゼロを目指していただきたいと思います。

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