製造業の購買担当者がAIにかわることってあり得るの?
今日は購買部門における部長、課長、担当者のそれぞれの役割についてお話をします。
私が最初に経験した新入社員で購買業務、初めて行った三菱電線工業の事例を参考にしながらお話をさせていただきます。
私が入社して、工場実習の後に配属された資材部で初めて購買の仕事をやったわけなんですけれども、それぞれ部長、私の直属の上司の課長、それから自分、本人の役割が明確に分かれていました。
一つ具体的な例を挙げれば、電線会社で一番の購入量が多い銅地金、電線の原料と言われる導体、銅やアルミのうちの特に銅、これについては部門長、資材部長とそれから購買課長、そして担当者それぞれで役割が分かれていました。
資材部長の下に課長が3人いたんですけど、1人が銅、アルミの導体を購入する原料の課長、もう1人が副資材と言われる被覆、プラスチックやゴム、化成品、こういった金属材料以外のものを購入する課長、そしてもう1人が設備、機器と言って工場の生産設備、工具、機械、様々な施設など、要は原材料や部品以外の購買を司る課長、この3人がいました。
私は原料を担当する銅、アルミの買い付けをしていたわけなんですけれども、
日々変動する銅地金、アルミなどは国際科学 London Metal Exchange、LMEというところと New York Commodity Exchange 、CX、
ここで取引される毎日変動する価格のなかで値段を決めるということをしていたんですけれども、私の役目は毎日上がったり下がったりする相場の中でいかに安い値段で価格を決めるかでした。
ある程度ルールがあって毎月毎月値段が決まるわけなんですけれども、その決め方が、
第1週目2週目3週目4週目、それぞれで1/4ずつ変動する中で、この日の価格、この日の価格というふうにとっていく。
いろんなルールがあります。
4週間の中で今ひと月の中で1週間で取れるのは最大2回まで、その量が最大月間の購入数量の半分までなので、最大1か月で8回値段を決められる。でも、最小でも4回で決められることもある。
いろんなルールがあって、1回に最大1/4、最小でも1/8。
だから組み合わせで、今日1/4、次回はじゃあ1/8、1/8、みたいな形で分けていく訳ですけれど、
私がそうやって変動する中でいかに安いところを拾えるかというのは、為替相場だとか経済指標を見ながら商社の人とコミュニケーションをとりながら判断していました。
その月の傾向、月末に向かって価格が上がっていくのか下がっていくのかによって、月の前半で値段を決めてしまうのか後半に集中させるのか、こういった読みをしながら買っていく、それが担当者です。
課長は月間としてアベレージ、平均価格にするとしても今度はどこから買うかを決めます。
基本的に私がいたのは三菱グループなので、三菱マテリアルや三菱商事から買うというのが基本なんですけど、それで100パーセントではなくてスポットとして三菱グループ以外からも調達します。
リストマネジメントという観点で、リスクを分散させるということから三菱グループ以外から買うということをやっていました。
課長の仕事としてはそのグループ外を含めてどこから買うんだというような話、それをどれだけ増やしたり減らしたり、注文に応じて在庫のスペースを考えながら、今回は見送りますとか今回はまとめてここから買いますとか、常に先々、市場の在庫を見ながら、それから受注量を見ながら契約をしていくという仕事です。
そして部長は何をしてるかと言うと年間契約です。
1年間を通じて毎月どのくらいを買うのか、トータル×12か月でこれだけ買うのかとか、それをどこから買うのか、どこの商社から買うのか。
当然三菱グループだから三菱商事から買うというのがメインですけれども、三井物産や、住友商事、様々な日商岩井とかいろんな大手商社から年間契約をするのかしないのか。
当然グループ内が最大取引なるんですけれども、それ以外はどうするんだという年間契約。
これを見てて後は月々、課長がどういう契約してるんだ、というのを承認する。
さらには課長が承認する日々の変動の中で買うというものを常に見ている。
部長が担当者の仕事を見ている中で、問題があれば課長を通じてこうしろと、ないしは先へ遅れとか、今週は見送れとかいろんな指示を出していきます。
ただ自分の判断でこうだということで、提言してもそれが受け入れられるとは限らない。
最初の年はやっぱりなかなか見通しが立たなくて、経験もないということから平均よりも高くかかってしまう。
それでも叱られながらもしょうがないねということで見てるわけですけれど、2年目3年目とだんだん実績が積まれ安く買えるようになってくると、もう部長も任せたと思う通りにやらせてもらえ、実際に結果が出れば結果に伴った評価を受けるということがありました。
実際にやっぱり平均よりも高くなってしまえばじゃあ平均で契約した方がよかったじゃんとはやはり言いません。
いろいろな経験を積んだ上で、この時何で平均より高くなってしまったのか、なんでこの時は逆に安く買えたのかという分析をさせて部下を育てるということをしていました。
こういう経験が大事なんです。
ある程度責任を持たせてやる気を持たせて、真剣にやるということで会社の損益に直接関わるんだということを示し、仕事ってこれだけ真剣にやれば成果が表れ、その分評価されるし、もしそうじゃなかった場合にどれだけみんなの会社の利益に影響するんだということを感じさせる。
肌身、身を持って体験させることで、その後の仕事の責任というものを学びました。
こういう形でそれぞれ担当者、課長、部長の役割ってある訳で、
私も最初の3年間でそういったことを学ばせてもらったからこそ、その後の購買の仕事三十何年も続いていろんな知識、経験それから責任、不正をしないから始まってリスクを回避するために何をしたらいいかということが身につきました。
出来るだけ早い時期にそれぞれ購買担当者でも課長のレベルでも部長のレベルでも、やるべき事を出来だけ早いうちに経験してそれをその後の業務に活かすということが大事だと思います。
このように企業によってはそういった組織になっていないところもありますし、それは様々だと思うんですけれども少しは参考になる部分もあるのではないかなと思います。
是非この役割分担に関して、ポジションによってどれだけの責任があるかということは是非皆さんのご意見、質問、承りたいと思います。
本日は以上になります。
調達購買業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた購買情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。