投稿日:2024年6月6日

協働ロボット搭載AMRの安全確保の考え方

協働ロボット搭載AMRの安全確保の考え方

製造業の現場では、自動化や効率化が進むなかで協働ロボットや自律移動ロボット(AMR)が導入される機会が増えています。
これらのロボットは人間と共同で作業を行うため、安全性の確保が最重要課題となります。
この記事では、協働ロボット搭載AMRの安全確保の考え方について詳しく説明します。

協働ロボットとAMRの基本的な理解

協働ロボットとは

協働ロボットは、人間と同じ作業空間で共に作業を行うことができるロボットを指します。
従来の産業用ロボットとは異なり、協働ロボットはフェンスや隔離空間なしでも安全に動作することが求められます。
そのため、協働ロボットはセンサーやカメラを搭載し、人間との衝突を回避する機能が組み込まれています。

AMR(自律移動ロボット)とは

AMRは、決められたルートを自動で移動する従来のAGV(無人搬送車)と異なり、自律的に周囲の状況を判断し動くことができるロボットです。
センサーやカメラ、LiDAR(ライダー)などの技術を用いて、障害物を避けながら目的地に到達することができます。
AMRは多くの業界で物流や材料搬送の効率化に寄与しています。

協働ロボット搭載AMRによる安全性の考慮事項

リスクアセスメントの実施

安全性を確保するためには、まずリスクアセスメントを実施することが重要です。
リスクアセスメントは、作業環境における潜在的な危険を特定し、それに対するリスクを評価するプロセスです。
協働ロボット搭載AMRの場合、以下のようなリスクが考えられます。

1. 人間との衝突
2. 動作障害による誤動作
3. 外部環境の影響(湿度や温度、埃など)
4. 電気的または機械的な故障

これらのリスクを洗い出し、リスクレベルを評価することで適切な対策を講じることができます。

センサー技術の活用

協働ロボット搭載AMRの安全性を高めるためには、センサー技術の活用が欠かせません。
以下のようなセンサー技術が活用されます。

衝突回避センサー

赤外線センサーやウルトラソニックセンサー(超音波センサー)は、ロボットの動作範囲内に人や障害物があるかを検知します。
この情報をもとに、ロボットは動作を停止したりルートを変更したりします。

LiDAR(ライダー)

LiDARはレーザーを使用して周囲の物体を検知し、その距離を測定する技術です。
LiDARは高精度なマッピングが可能で、リアルタイムでロボットの周囲環境を把握することができます。

カメラ

画像認識技術を組み合わせたカメラは、複雑な場面でも人間や物体を正確に認識できます。
カメラの映像データをもとに、ロボットがより賢く判断を下すことが可能になります。

ソフトウェアの安全管理

ハードウェア的なセンサーだけでなく、ソフトウェアの安全管理も重要です。
協働ロボット搭載AMRの制御システムには常に最新のセキュリティ対策が施されている必要があります。

更新とパッチ

制御システムのソフトウェアは定期的に更新し、セキュリティパッチを適用することで脆弱性を減らします。
これにより、外部からの不正アクセスやマルウェア攻撃などのリスクを軽減できます。

異常検知システム

リアルタイムで異常を検知するシステムを導入することで、動作の異常や予期せぬ事象が発生した際に即時に対応できます。
異常が検知されると、自動的に動作を停止し安全を確保します。

現場での安全教育

操作者の教育

ロボットの操作者や監督者に対する教育も欠かせません。
ロボットの操作方法や緊急時の対応方法、さらには基本的なメンテナンス方法を徹底的に教育することが必要です。
教育の一環として、次のような項目が含まれます。

1. ロボットの安全操作手順
2. 緊急停止の方法
3. 定期点検とメンテナンス方法
4. 異常時の対応手順

安全講習の実施

定期的に安全講習を実施し、最新の安全対策を従業員に周知します。
また、実地トレーニングを行うことで、従業員が実際の環境でどのように対応すべきかを体験的に学ぶことができます。

最新の技術動向とその応用

AI技術の導入

最近の技術動向として、AI技術の導入が挙げられます。
AIはロボットの制御システムに組み込まれ、リアルタイムで最適な動作を判断し、安全性をさらに向上させることができます。

深層学習技術

深層学習技術を活用することで、ロボットは環境の変化や新しい状況に対策を自動的に学習することができます。
これにより、ロボットはより柔軟に、そしてより安全に動作することが可能となります。

画像認識技術

高精度の画像認識技術を用いることで、ロボットは人間の動作や表情を正確に認識し、安全な動作を行います。
特に混雑した作業環境では、この技術は非常に有効です。

IoTの活用

IoT(モノのインターネット)技術を使うことで、ロボットの稼動状況をリアルタイムでモニタリングし、リモートからの管理が可能になります。
これにより、異常が発生した場合でも迅速に対応することができます。

データ収集と分析

センサーから収集したデータをクラウド上で分析することで、予防保全や効率的なオペレーションが可能になります。
この情報をもとに、ロボットの運用を最適化し、安全性をさらに高めることができます。

安全性向上のための連携

社内外の連携

ロボットの導入と運用においては、社内外の連携が重要です。
社内では生産管理、品質管理、IT部門が協力し、ロボットの安全な運用を支援します。
また、外部のベンダーや専門家との連携も欠かせません。
定期的に技術サポートを受けたり、最新情報を交換することで、安全性を向上させることができます。

標準規格の遵守

国際的な安全標準規格に則ったロボットの設計と運用を行うことが重要です。
IECやISOの規格に従い、認証を取得することで、ロボットの安全性をグローバルな視点で保証することができます。

まとめ

協働ロボット搭載AMRの安全確保は、リスクアセスメントの実施、センサー技術とソフトウェアの活用、操作者の教育、最新技術の導入、そして社内外の連携と標準規格の遵守が鍵となります。
安全性を確保することで、ロボットの効率的な運用が可能となり、製造業の発展に大きく寄与することができます。
今後も技術の進化と共に、さらなる安全対策を講じることが求められるでしょう。

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