投稿日:2024年8月21日

ステッピングモータ・ドライバの選定と製造業での利用方法

ステッピングモータ・ドライバの基礎知識

ステッピングモータは、電動機の一種で回転角度を精密に制御できる特徴を持っています。
これにより、特定の位置や速度を正確に管理する必要があるアプリケーションに広く利用されます。
一方、ステッピングモータを適切に動作させるためにはドライバが不可欠です。
ドライバはモータに供給する電気信号を生成し、回転動作を制御します。
まずは、ステッピングモータとドライバの基礎知識について説明します。

ステッピングモータの種類

ステッピングモータには主に以下の3つの種類があります。

1. **パーマネントマグネット型(PM型)**:
磁石が回転するローター部に装備されており、主に低速、高トルクに適しています。

2. **バリニアブルリラクタンス型(VR型)**:
鉄心のみで作られたローターを使用し、高速動作が可能ですが、トルクが低めであることが特徴です。

3. **ハイブリッド型(HB型)**:
PM型とVR型の特性を併せ持ち、精密な制御や高トルクが要求される場面で多く使用されています。

ステッピングモータの基本動作と制御方法

ステッピングモータの基本動作は、入力されたパルス信号に応じて一定角度ずつ回転します。
この特性を利用して、特定の位置まで正確にモータを動かすことが可能です。
制御方法としては、以下の項目が挙げられます。

– **フルステップ駆動**:
1ステップごとにコイルを通る電流が逆転し、最も基本的な駆動方法です。

– **ハーフステップ駆動**:
コイルの励磁を途中で切り替えることで、より細かいステップでモータを動かす方法です。

– **マイクロステップ駆動**:
コイルに流れる電流を連続的に変化させることで、非常に滑らかな回転制御が可能になります。

モータドライバの選定指針

ステッピングモータを適切に制御するためには、対応するドライバの正しい選定が重要です。
以下に、モータドライバを選定する際のポイントを紹介します。

モータの駆動電圧と電流

ステッピングモータには対応する駆動電圧と電流が定義されています。
選定するドライバが、モータの定格に対応している必要があります。
これにより、モータの最大性能を引き出すことが可能です。
また、過電流や過電圧がかかるとモータやドライバの寿命を縮める原因となるため、最適な設定範囲内で使用することが重要です。

制御方式の確認

使用するアプリケーションによって、モータの制御方式は変わります。
フルステップ、ハーフステップ、マイクロステップなどの制御方式に対応しているかを確認することが求められます。
特に、マイクロステップ制御に対応したドライバは、より精密な制御や滑らかな回転が要求される場合に適しています。

通信インターフェース

ドライバと外部機器、もしくは制御システムとの通信インターフェースも重要な要素です。
一般的なインターフェースとしては、RS-232、RS-485、USB、CANなどがあります。
制御システムとの互換性を確認し、適切なインターフェースを備えたドライバを選択しましょう。

保護機能の有無

ドライバには、モータやシステムの保護機能が備わっているものがあります。
例えば、過電流保護、過熱保護、短絡保護などです。
これらの保護機能はシステムの安全性を高め、トラブル発生時のリスクを軽減します。

サイズと取り付け方法

ドライバの物理的なサイズや取り付け方法も考慮するポイントです。
使用する現場や装置のスペースに適合する形状のドライバを選ぶことが求められます。
また実装方式がDINレールやパネルマウントであるかも重要な確認事項です。

製造業でのステッピングモータとドライバの利用方法

製造業において、ステッピングモータとドライバは多くのアプリケーションで活用されています。
その具体的な利用方法について見ていきましょう。

半導体製造装置での利用例

半導体製造装置では、高精度な位置決めが重要視されます。
ステッピングモータとドライバは、フォトリソグラフィー工程やエッチング工程での微細な位置決めに用いられています。
マイクロステップ駆動を活用することで、サブミクロン単位の精度が求められる作業においても、安定した制御が可能です。

組立ラインの自動化

自動化された組立ラインでは、搬送や部品の位置決めにステッピングモータが利用されます。
例えば、プリント基板への部品装着や、ボルトの締め付け作業といった手作業を省力化するために用いられます。
ドライバのインターフェースを活用して制御システムと連携することで、効率的な自動化プロセスが実現します。

ロボティクス分野での応用

ロボットアームや小型の自律走行装置には、精密な動作制御が求められます。
ステッピングモータとドライバは、ロボットの関節部分の駆動や、移動プラットフォームのホイール駆動に使用されます。
マイクロステップ制御による滑らかな動作が、ロボットの性能を向上させます。

ステッピングモータ・ドライバ選定時の注意点

モータとドライバの選定には注意が必要な要素が多くあります。
以下に、選定時の注意点を挙げます。

トルクと速度への要求

アプリケーションによって求められるトルクや速度は異なります。
選定する際には、モータのカタログデータを細かく確認し、必要な性能を満たしているかどうかを確認します。
また、負荷の変動を考慮した安全率を設定し、余裕を持った選定が推奨されます。

環境条件への配慮

使用環境の温度、湿度、振動、塵埃などはモータやドライバの性能に影響を与えます。
例えば、高温環境下での使用や防塵・防水性が求められる場合は、それに対応した製品を選定する必要があります。

電源供給の安定性

モータやドライバに供給される電源の安定性も重要です。
特に、電圧や電流が不安定な環境では、安定化電源やフィルタを設置して、安定した電力供給を確保することが求められます。

最新技術動向と未来の展望

ステッピングモータとドライバの技術は、日々進化しています。
最新の技術動向と今後の展望について見ていきましょう。

高精度制御技術の進化

近年では、より高精度な制御が可能なドライバの開発が進んでいます。
マイクロステップの精度が向上し、微細な動作もスムーズに行えるようになっています。
また、フィードバック制御を取り入れることで、従来のオープンループ制御に比べて、より安定した動作が実現されています。

省エネルギー化の進展

製造業全体で持続可能性が求められる中、省エネルギー性に優れたモータとドライバの開発が進んでいます。
効率的なエネルギー使用と熱管理技術の向上により、環境負荷を軽減する製品が増えています。

IoT・スマートファクトリーへの対応

モータとドライバもIoT対応が進んでいます。
ネットワークに接続し、遠隔からの監視や制御が可能な製品が増えています。
これにより、スマートファクトリーの実現が進み、生産効率のさらなる向上が期待されます。

今後もステッピングモータとドライバの技術は進化を続け、製造業の発展に貢献する役割を果たしていくでしょう。
最適な選定と使用方法を理解し、最新技術を取り入れることで、より高い生産性と品質を実現することが可能です。

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