- お役立ち記事
- 樹脂と炭素繊維の複合材料の選定と製造業での利用方法
樹脂と炭素繊維の複合材料の選定と製造業での利用方法
目次
はじめに
現代の製造業において、材料の選定は製品の品質や性能に直結する重要な工程です。
特に樹脂と炭素繊維の複合材料は、その軽量性と高強度を活かして多くの産業で利用されています。
本記事では、樹脂と炭素繊維の複合材料の選定方法と、製造業における具体的な利用方法について詳しく解説します。
樹脂と炭素繊維の複合材料とは
樹脂と炭素繊維の複合材料は、基本的に炭素繊維を補強材とし、樹脂を基材とする構造を持ちます。
炭素繊維は非常に高い強度と剛性を持つ一方で、軽量であるため、航空宇宙、スポーツ用品、自動車等、多岐にわたる分野で利用されています。
樹脂は一般的にエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が使用されます。
これらの樹脂は、炭素繊維との相性が良く、硬化後に高い耐熱性や耐薬品性を発揮します。
樹脂の種類とその特性
まずは樹脂の選定からです。
樹脂は補強材の役割を果たすため、その特性に応じた選定が必要です。
エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、高い接着力と耐熱性、耐薬品性に優れています。
航空宇宙や自動車産業で広く利用されています。
しかし、硬化時間が長く、製造に時間がかかるというデメリットもあります。
ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂は、エポキシ樹脂に比べて価格が安く、硬化時間も短いです。
そのため、大量生産に向いています。
ただし、耐熱性や耐薬品性においてはエポキシ樹脂には及びません。
ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂は、弾性があり、衝撃吸収性に優れています。
スポーツ用品や自動車の内装部品など、耐衝撃性が求められる用途に適しています。
炭素繊維の種類とその特性
炭素繊維には、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維があります。
PAN系炭素繊維
PAN系炭素繊維は、強度と剛性に優れており、広範な用途で利用されています。
特に航空宇宙産業やスポーツ用品での使用が一般的です。
ピッチ系炭素繊維
ピッチ系炭素繊維は、高温での安定性が高く、耐熱性が求められる用途に適しています。
例えばブレーキディスクなどの高温環境で使用される部品に用いられています。
樹脂と炭素繊維の複合材料の製造方法
樹脂と炭素繊維の複合材料は、さまざまな製造方法があります。
それぞれの方法には特定の特徴と利点があります。
ハンドレイアップ法
ハンドレイアップ法は、手動で炭素繊維と樹脂をレイアップする方法です。
この方法は、特に曲面や複雑な形状を持つ部品の製造に適しています。
手間がかかりますが、細かい部分まで丁寧に加工できます。
インジェクション成形法
インジェクション成形法は、樹脂を加熱して溶解し、金型に注入する方法です。
大量生産に向いており、高精度な製品を作ることが可能です。
自動車部品などの大量生産が求められる場合に適しています。
オートクレーブ成形法
オートクレーブ成形法は、高温高圧で炭素繊維と樹脂を固着させる方法です。
品質が非常に高く、航空宇宙産業での利用が多いです。
高価な設備が必要ですが、最高品質の製品を作ることができます。
RTM(レジン・トランスファー・モールディング)法
RTM法は、樹脂を真空状態で炭素繊維に浸透させる方法です。
複雑な構造の部品でも高い精度で製造可能です。
オートクレーブ成形法よりも低コストで実施できます。
製造業での具体的な利用方法
樹脂と炭素繊維の複合材料は、多様な製品に利用されています。
具体的な利用方法を以下で紹介します。
航空宇宙産業
航空機の軽量化は、燃費向上とコスト削減に直結します。
炭素繊維複合材料は、機体の強度を保ちつつ重量を削減するため、多くの部品に採用されています。
主翼や尾翼、機体パネルなどでの利用が一般的です。
自動車産業
自動車のボディーパネル、フレーム、サスペンション部品などに使用されています。
軽量化は燃費向上だけでなく、加速性能やハンドリング性能の向上にも寄与します。
電気自動車のバッテリーケースなどでも使用されており、安全性と軽量化を両立しています。
スポーツ用品
ゴルフクラブ、テニスラケット、自転車フレームなど、多くのスポーツ用品に炭素繊維複合材料が採用されています。
軽量で高強度な特性が、アスリートのパフォーマンス向上に寄与しています。
医療分野
医療機器や装具にも炭素繊維複合材料が利用されています。
人工関節や義手、義足など、軽量でありながら耐久性が求められる部品に適しています。
建築・土木分野
耐震補強材や橋梁、柱など、構造物の補強に利用されています。
炭素繊維複合材料は、耐久性や耐腐食性に優れており、長寿命化が期待できます。
まとめ
樹脂と炭素繊維の複合材料は、その軽量性と高強度を活かして多岐にわたる分野で活躍しています。
樹脂の選定、炭素繊維の選定、そして適切な製造方法を選択することが、製品の品質向上に直結します。
本記事で紹介した内容を参考にして、最適な材料と製造方法を見つけ、生産効率や製品品質の向上に役立ててください。
資料ダウンロード
QCD調達購買管理クラウド「newji」は、調達購買部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の購買管理システムとなります。
ユーザー登録
調達購買業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた購買情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
オンライン講座
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(Β版非公開)