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定常モデル、非定常モデル(ARIMAモデル、GARCHモデル)
目次
定常モデルとは
定常モデルとは、時間が経過しても平均、分散、共分散が安定している統計モデルのことを指します。
特に、時系列データの解析ではデータが定常であることは重要です。
定常性を持っていることで、観察されたデータを元に予測を行う際に、その予測が過去のデータに依存してブレが少なくなるため、より信頼性の高い結果を導き出すことができます。
定常モデルの典型的な例として、自己回帰移動平均モデル(ARMAモデル)があります。
ARMAモデルは自己回帰(AR)過程と移動平均(MA)過程を組み合わせたもので、定常性の条件を満たす範囲で過去のデータから未来を予測します。
自己回帰過程(AR過程)
自己回帰過程は、現在の値が過去数期のデータ値の線形結合として表現されるモデルです。
例えば、AR(1)モデルでは、直前のデータをもとに現在の値を予測します。
移動平均過程(MA過程)
移動平均過程は、現在の値が過去の誤差項(ランダムノイズ)の線形結合として表現されるモデルです。
MA(1)モデルでは、過去の誤差項に基づいて現在の値を予測します。
非定常モデルとは
非定常モデルは、その名の通り平均、分散、共分散が時間とともに変化するモデルです。
つまり、時間の経過に伴いデータの特性が変化します。
多くの現実のデータは非定常性を示すことが多く、これに対応するためには非定常性を考慮したモデルを使用する必要があります。
ARIMAモデル
ARIMAモデルは、自己回帰(AR)過程、差分(I:積分)、移動平均(MA)過程から構築されるモデルで、非定常性を持つ時系列データを解析、予測するために非常に広く使われています。
非定常データを差分を取ることで定常データに変換し、ARMAモデルを適用することができます。
GARCHモデル
GARCH(Generalized Autoregressive Conditional Heteroskedasticity)モデルは特に金融時系列データにおいて使用されることが多いモデルです。
このモデルは、時変的な分散(ボラティリティ)を考慮できるため、株価や為替、商品の価格変動などのボラティリティが高いデータを解析するのに適しています。
定常モデル、非定常モデルの適用例
製造業や流通業界では、需要予測や供給計画の策定が非常に重要です。
例えば部品の在庫管理を行う場合に過去の販売データを基に需要を予測することは常態です。
定常モデルでの予測が適用できる場合もありますが、外部要因や季節性の影響により非定常性があるデータには、ARIMAモデルを活用することでより精度が高い予測を行えるでしょう。
また、製品の市場価格の変動分析にはGARCHモデルを用いることが効果的であります。
輸出入業者にとって、為替レートの予測はリスク管理の要となり、このようなケースではGARCHモデルによるボラティリティの予測が非常に有用です。
まとめ
製造業、流通業など、データ分析を行う現場において、定常モデル、非定常モデルを適用することで一層の効率化が見込めます。
時系列データの特性を理解し、適切なモデルを選ぶことで、より信頼性のある予測を行うことが可能です。
特に、外部要因の影響を受けやすい製造業の現場では、両者を的確に使い分けることによって、需要予測や供給計画の策定を高度化し、競争力を高めることができるでしょう。
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