投稿日:2024年8月2日

二酸化炭素回収 (Carbon Capture) の技術と製造業での利用方法

はじめに

製造業は長年にわたり地球環境に多大な影響を与えてきました。
特に二酸化炭素(CO2)排出は気候変動の主要な要因の一つとされており、その削減が急務とされています。
その一環として、二酸化炭素回収 (Carbon Capture) の技術が注目を浴びています。
本記事では、二酸化炭素回収技術の基本から最新動向、製造業における具体的な利用方法について詳しく解説します。

二酸化炭素回収技術の基本

二酸化炭素回収技術とは

二酸化炭素回収技術は、大気や排出ガスからCO2を効率的に捕集し、隔離または再利用する技術です。
主に化石燃料の燃焼や工業プロセスから排出されるCO2をターゲットにしています。
この技術は温室効果ガスの排出を削減し、気候変動の進行を遅らせるための重要な手段とされています。

主な二酸化炭素回収技術の種類

二酸化炭素回収には主に以下の3つの方法があります。

1. ポストコンバッション(後燃焼捕集):燃焼後に排出されるガスからCO2を分離・捕集します。
化学吸収法が一般的で、水酸化ナトリウムやアミン系溶液を用います。

2. プリコンバッション(前燃焼捕集):燃焼前に燃料を変換し、CO2と水素を生成します。
この方法では、主にガス化技術や蒸気改質法が用いられます。

3. オキシコンバッション(酸素燃焼捕集):燃焼時に純酸素を使用し、排気がCO2と水蒸気のみになるようにします。
この方法では、水蒸気を凝縮させることでCO2を簡単に捕集できます。

最新技術動向

吸収・吸着材の進化

近年では、吸収・吸着材の性能向上が注目されています。
特に、高性能なアミン系溶液やナノ素材を用いた新素材が開発されています。
これにより、CO2捕集効率が大幅に向上し、コストも削減されています。

直接空気キャプチャー(DAC)技術

直接空気キャプチャー(Direct Air Capture, DAC)は、大気中から直接CO2を回収する技術です。
この手法は、既存の工業排出ガスからの回収とは異なり、広範囲にわたるCO2削減が可能です。
現在、カナダのCarbon Engineering社やスイスのClimeworks社などがこの技術の商業化に取り組んでいます。

炭素再利用技術

捕集したCO2を再利用する技術も進展しています。
例えば、CO2をポリマーや燃料などに変換する技術があります。
これにより、二酸化炭素回収が単なる環境保護手段にとどまらず、経済的価値を持つ資源になる可能性があります。

製造業における活用方法

プロセスエミッションの削減

製造業では、プロセスエミッションという産業工程から直接排出されるCO2が問題となります。
例えば、セメントや鋼鉄の製造プロセスでは大量のCO2が排出されます。
これらの排出源に対して二酸化炭素回収技術を導入することで、CO2の削減が可能となります。

ボイラーや炉の改良

製造業では、ボイラーや高温炉などの設備からもCO2が多く排出されます。
これらの設備に対して、オキシコンバッション技術を導入することで、捕集が容易となり、CO2削減が期待できます。

二酸化炭素の再利用によるコスト削減

捕集したCO2を再利用することで、製造業のコスト削減も図れます。
例えば、CO2を利用して産業ガスを生成することで、原材料費を削減することができます。
また、CO2を炭酸カルシウムやメタノールなどの化学製品に変換する技術も進展しており、これにより新たな収益源を生み出すことが可能です。

事例紹介

セメント産業における取り組み

セメント業界はCO2排出の大きな源です。
一部の企業では、二酸化炭素回収技術を用いて、プロセスエミッションを削減する取り組みを進めています。
例えば、スイスのLafargeHolcim社は、カナダのCarbon Clean社と協力して、セメント工場からのCO2捕集プロジェクトを実施しています。

鋼鉄産業における取り組み

鋼鉄業界でもCO2排出削減のための取り組みが進んでいます。
日本の新日鉄住金(Nippon Steel)では、炭素捕集と貯留(CCS)技術を導入し、CO2排出削減を目指しています。
さらに、捕集したCO2を水素と結びつけてメタンを生成する研究も行われています。

化学工業における取り組み

化学工業でも、二酸化炭素回収が進んでいます。
例えば、ドイツのBASFは、自社の化学プロセスで排出されるCO2を捕集し、化学製品の原材料として再利用しています。
これにより、環境負荷を低減しつつ、製品の競争力を高めることに成功しています。

まとめ

二酸化炭素回収技術は、地球環境保護の鍵となる技術です。
製造業においても、この技術の導入は不可欠であり、CO2排出削減のみならず、経済的価値の創出も期待されています。
最新の技術動向を常にチェックし、二酸化炭素回収技術の導入を積極的に進めることが、今後の持続可能な発展に寄与するでしょう。

以上のように、二酸化炭素回収技術は、製造業の未来を切り開く重要なソリューションです。
企業はこれを機に、持続可能な製造業を目指してさらなる技術革新と環境保護に取り組んでいくべきです。

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