投稿日:2024年8月26日

安全データシート (SDS) の重要性と活用方法:現場での安全を守るための必須知識

安全データシート (SDS) とは

安全データシート (SDS) とは、化学物質や混合物の安全性に関する情報を提供する書類です。
SDSは、化学製品を正しく、安全に取り扱うために必要な情報が詳細に記載されています。
日本においては、労働安全衛生法に基づき、製造者や輸入者が対象物質のSDSを提供する義務があります。

SDSの構成と内容

SDSは通常、16のセクションから構成されています。
以下に、それぞれのセクションの概要を説明します。

1. 物質または混合物の識別

このセクションには、物質や混合物の名称、製品コード、適切な使用目的などが記載されています。

2. 危険有害性の要約

ここでは、製品に関連する危険性や有害性についての情報が提供されています。
危険有害性の分類、ラベル要素、GHSピクトグラムなどが含まれます。

3. 組成、成分情報

物質の化学名、CAS番号、含有量など、製品に含まれる化学物質の情報が記載されています。

4. 応急処置の措置

このセクションには、化学物質が人体に接触した場合の応急処置方法が詳しく説明されています。
吸引、皮膚接触、眼接触、摂取時の対応が含まれます。

5. 火災時の措置

火災が発生した場合の対応方法、適切な消火剤、特殊な危険性などが記載されています。

6. 漏出時の措置

化学物質が漏れた場合の安全な収容と除去のための手順が説明されています。

7. 取扱いおよび保管上の注意

化学物質の取り扱い方法や保管条件についての詳細な指示が記載されています。

8. 暴露防止、個人保護具

作業環境内での暴露を防ぐ方法や、必要な個人保護具についての情報が提供されています。

9. 物理的および化学的性質

製品の物理的および化学的特性に関する詳細が含まれています。
例えば、沸点、融点、引火点などです。

10. 安定性および反応性

化学物質の安定性、使用上の注意事項、反応性に関する情報が記載されています。

11. 有害性情報

急性毒性、慢性毒性、発がん性など、健康への影響について詳細に説明されています。

12. 環境影響情報

化学物質が環境に与える影響、特に水生生物に対する影響についての情報が含まれています。

13. 廃棄上の注意

廃棄物の取り扱いや廃棄方法についての詳細な指示が記載されています。

14. 輸送上の注意

化学物質を安全に輸送するための指示や規制情報が提供されています。

15. 法規制に関する情報

製品に適用される国内および国際的な法規制に関する情報が含まれています。

16. その他の情報

SDSの作成日や改訂履歴、参照資料などの追加情報が記載されています。

SDSの重要性

SDSは、製造業の現場で以下の点で重要な役割を果たします。

労働者の安全確保

SDSは、化学物質を取り扱う労働者が安全に作業を行うために必須の情報を提供します。
応急処置や防護具の選択指針が明確にされているため、事故時の迅速な対応が可能となります。

法的義務の遵守

多くの国々で法的に規定されているSDSの提供義務を履行するためには、正確で最新のSDSが必要です。
法的なコンプライアンスを維持するために、企業は常に最新の情報を保持しなければなりません。

環境保護

SDSは、化学物質が環境に及ぼす影響についても情報を提供します。
適切な廃棄方法や漏出時の対応方法が記載されているため、環境への悪影響を最低限に抑えることができます。

SDSの活用方法

現場でのSDSの効果的な活用方法について説明します。

作業員教育・訓練

SDSは、作業員の教育や訓練の際に利用することが重要です。
特に新人作業員や新たに導入される化学物質に対する教育を行う場合、SDSは必携の資料となります。
各作業員にSDSの内容を理解させ、危険性や応急処置、保護具の使用方法などを周知徹底することが求められます。

日常業務での活用

SDSは、化学物質を日常的に取り扱う際の参考資料として活用されます。
例えば、取り扱い作業前にSDSを確認することで、適切な防護具を選択し、安全に作業を進めることができます。
また、緊急時にはSDSを元に迅速かつ的確な対処が可能となります。

リスクアセスメントの実施

SDSは、化学物質のリスクアセスメントを実施する際の貴重な情報源です。
製品の有害性や危険性に関するデータを元に、作業環境の評価や適切な管理措置の立案が行われます。
リスクアセスメントの結果を基に、現場の安全性を高めるための具体的な対策を講じることが可能です。

SDSの適切な管理

SDSは常に最新の状態で管理されなければなりません。
化学物質の製造者や供給者がSDSを更新した場合、速やかに現場担当者に情報を共有することが重要です。
また、現場においても定期的にSDSの内容を確認し、新しい情報が更新されていないかどうかを確認する仕組みを構築する必要があります。

最新の技術動向

化学物質の管理の分野では、最新技術が現場の安全性向上に大きく貢献しています。

デジタル化とクラウド活用

現在、SDSはデジタル化され、クラウドに保存されることが一般的になっています。
これにより、作業現場から簡単にアクセス可能となり、情報の一括管理が容易になります。
クラウドを活用することで、複数の作業場で同じSDSを共有し、一元的に管理することができます。

モバイルアプリの活用

スマートフォンやタブレットを利用したモバイルアプリは、作業員が現場で容易にSDS情報を確認する手段として活用されています。
QRコードをスキャンするだけで瞬時にSDSにアクセスできるアプリも提供されており、教育や緊急時の対応がより迅速かつ確実になります。

自動更新システム

SDSの内容が頻繁に更新される中で、自動更新システムを取り入れることで常に最新の情報を保持することが可能です。
SDS提供者が新情報を登録すると、即座に社内のシステムが更新される仕組みを導入することによって、最新のSDS情報を常に利用することができます。

まとめ

安全データシート (SDS) は、化学物質を取り扱う際の安全性を確保するために不可欠な文書です。
労働者の安全を守り、法的遵守を実現し、環境保護に貢献するために、SDSの内容を正確に理解し、現場で活用することが求められます。
最新のデジタル技術やモバイルアプリを活用することで、SDSの管理と利用がさらに効果的になります。
現場での安全を確保するために、今後もSDSの重要性を認識し、適切な管理と活用を続けていくことが重要です。

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