製造業の購買担当者がAIにかわることってあり得るの?
今回は「食品スーパーに学ぶ在庫管理」ということでお話をしていきます。
トヨタのかんばん方式とはリーン生産における在庫ゼロという考え方の背景にあるもので元となった考え方です。
実はトヨタが学んだのは食品スーパーなんですね。
品揃え、欠品をしない、お客様がいつ来てお店に行って買い物しても必要なものが全て揃っているという状況。
これが自動車の生産における原材料、部品が常に揃っているという状況。
なかなか食品スーパー全ての商品がいつも揃うというのは非常に難しいです。
私がテスコ、後にイオンエブリというところで購買の仕事をしていましたけれども、私の役目はメインの食材ではなくてそこで使われるレジ袋だとか、プラスチックトレーだとか、お箸とかスプーンとかっていう消耗品から始まって、いろんなケース、食材を入れるボックス、ポップいろんな備品こういったもの。
ありとあらゆる備品、消耗品を担当していたわけですけれども、これ、一つでも欠品しているとお店、成り立たないですね。
今でこそレジ袋有料化になりましたけれども、私がいた当時から既に実は一部有料化をしようということとか、環境対策のために土に返るプラスチックにするとか、いろんな取り組みをしていました。
コスト削減のためにはMADE IN CHINAのレジ袋も実際に使ってみました。
品質が悪くて破れるという事故もありました。
やっぱり行き過ぎたものはなかなか難しいんですけれども今回の話題である欠品しない在庫管理。
スーパーは日々お客様が買い物に来ていろんなものを買っていきます。
毎日同じものが同じ量だけ売れるわけではないですね。
季節による変化あります。
曜日による変化があります。
それから朝、昼、夕方、閉店前、何回も何回も品だし、棚に食材、商品を並べるという作業が待っています。
それから納品。
メーカーごと、それから食品流通。
それから野菜などは直接の買い付けとかいろんなところがあっていろんな所からバラバラに届きます。
それをバックヤードに入れて綺麗に処理をしたり、並べ替えて店頭に出すという作業が待っているんですけども、バックヤードにあっても店頭に並んでいなければお客さんとしては欠品ですよね。
そういうことがならないように常に補充をしていくということがあります。
これがトヨタの工場でいけば、次から次へと流れていく生産ラインの中で、商品がどんどんロボットによって組み立てられていくというふうにラインは変わりましたけど、それでも時間差で必要な部品、必要な時間で届けられるとジャストインタイムの考え方でこうやっています。
実際本当に欠品していないかどうか。実際に欠品してることもあるんですね。
なんで欠品しちゃうか?
もう在庫ゼロっていうギリギリのところまで絞っちゃって、サプライヤーである下請けの会社、代替のサプライヤーがないのでそこに何か問題がある、事故があったりする、途中の道路で渋滞するとか、いろんなトラブルがあったりすると時間単位で納品がちょっとでも遅れればもうすぐ欠品というリスクをはらんだぎりぎりのところで回してる訳ですよね。
これ食品スーパーって一番肝心な食材が欠品していればお客様からのクレームものすごいですよね。
トヨタだったら直接お客様からこの部品がないというクレームはないですけれど、食品スーパーだとダイレクトに店長のところにお客様が来て
なんでこれないの?
っていう話になってしまいます。
そのようなことがないように食材を確保する、ないしは品出しをするスタッフ、全ての流通過程において全スタッフがもう集中して神経尖らして状況、現物管理ですからコンピュータ上
在庫これだけありますって言ったって通用しないです。
現場の店舗の棚に物がなければ欠品ですからっていうようにいくらデータで、オンラインで、POSデータで、バーコードで読み取ったデータが倉庫へ行ってくれたから次出荷します、という仕組みを作っていようが最終的にはまだまだ。
品出しの作業は完全自動のロボット化じゃないので人手に頼っているので常に欠品のリスクがあるんですね。
この欠品のリスクをなくす。
日々の変化、季節の変化。
今日も台風が来る来ないでお店を開けるのかどうか。
それから交通機関が通常通り動くの動かないのというリスクをはらみながら、店長は昨日の晩からドキドキしながらいろんなことを考えるわけですよね。
お客さん来なかったらどうしようと、もう生物は廃棄するしかないよね。
だから大量に仕入れるかどうかっていうのは迷うよね。
というようなこともありますし、
レトルト食品だとか、加工食品だったりすればお客様が台風に備えてちょっと多めに買おうとか、予備を買うとか水をどうしようとか。
いろいろ考えて通常より多く出るのであればその分を多めに仕入れて店頭に並べていかないとさらに欠品するというようなことが毎日毎日起きます。
それも朝昼晩でどんどん刻々と変わっていくんですよね。
ここまでやっている食品スーパー、それは当たり前のようにみんながやってます。
セブンイレブンだろうが、ローソンだろうが、イオンだろうが、ヨーカドーだろうがどこでもみんな普通に当たり前のことにやってる。
このかんばん方式で在庫ゼロ。
実際ゼロじゃなく少しあるんですけど、非常に省スペースの中でたくさんの商品を扱っていてその中で回していかなきゃいけないっていうことは、データに頼りすぎない。
現物、見た目、こまめにやっぱりチェックしていかないとだめですよね。
お客様が買っていっちゃうと春先のこのウイルス対策でマスクが欠品しちゃったように、その後トイレットペーパーがなくなると。
いろんな事態が起きてますけれど、そういったことを防ぐためにある程度、需要予測を見ながらやっていくということ。
それもコンピュータの予測を超える人の動きがあるわけで、どこまでそれに対応できるかということになります。
どんどん自動化、無人化になって益々リスクは逆に高まるんですね。
人の勘だとか経験によらない形でMassで、オンラインで、ネットで人がごそっと動くと想定を超える欠品はもう日常茶飯事で起きてしまうという時代になってしまいました。
だからそれを防ぐということはできないので、どうやってそのリスクを最小限に食い止めるか。
リカバー、代替プランを用意しておくか、というようなことになっていきます。
そういった工夫をしていかないと、いつまで経ったってこの欠品のリスクっていうのはなくなっていかないですよね。
だから食品流通スーパーで当たり前にやってることをメーカーができないはずがないので、そういったものを見ながら工業製品を作ってる工場でも自動発注と言いながら、全てオンラインの人工知能だとかそういったものに頼り切らないある程度頼っていいと思うんですけど、頼りきらない知識と経験というものは捨てないでおきたいと思うんですね。
そういったことを考えながら仕事をしていく。
これが理想的な欠品しない在庫管理です。
スーパーに学ぶ、かんばん方式ということになるんですけれども、要は結局は完全な自動化、無人化、知能化は人が介する限り無理なので、全てをコンピュータに頼らない、だけども必要最低限のところは人がカバーするけれど、できるところはどんどん自動化して省力化していいと思います。
そういった考え方で仕事をしていけば少しでも今のこの状況が改善するということを信じていますので、ぜひそういった取り組みをしていってほしいなと思います。
調達購買業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた購買情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。