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バリューエンジニアリング講座
目次
バリューエンジニアリングとは
バリューエンジニアリング(Value Engineering: VE)は、製品やサービスのコスト削減と機能向上を同時に実現するための手法です。
バリューエンジニアリングは、1940年代にアメリカで開発され、今日では多くの企業で採用されています。
その基本理念は、製品やサービスの価値を最大化することにあります。
一般に、価値は「機能」÷「コスト」で表されます。
ここで言う機能とは、製品やサービスが提供する目的や役割を指し、コストはその機能を実現するために必要な支出を意味します。
バリューエンジニアリングは、機能を維持または向上させながら、コストを削減することで、製品やサービスの価値を最大化することを目指します。
バリューエンジニアリングのステップ
バリューエンジニアリングは、以下の基本的なステップを持っています。
1. 情報収集
まず、プロジェクトの現状を正確に把握するために、必要な情報を収集します。
製品やサービスの詳細、関連するデータ、現場の実態や問題点を洗い出し、情報を整理します。
このステップは、問題解決のための基礎となるため非常に重要です。
2. 機能分析
次に、製品やサービスの主要な機能を洗い出し、それらの機能がどのようにして現状維持されているのかを分析します。
これには、各機能の分解と徹底的な理解が必要です。
製品やサービスの「何を実現するか(目的)」と「どのように実現するか(手段)」を明確にすることで、改善の方向性を見つけやすくなります。
3. 創造的代替案の提案
機能分析が完了したら、次に代替案を考えます。
ここでの目標は、現行の手段よりもコスト効率の良い方法を見つけることです。
ブレインストーミングなどを活用し、多様なアイディアを出し合い、多くの代替案を検討します。
4. 評価と選定
出された代替案を評価し、最も効果的な方法を選定します。
このステップでは、各代替案がどれほどのコスト削減と機能向上をもたらすかを細かく検討します。
定量評価と定性評価の両方を行い、最終的な意思決定をします。
5. 実施と追跡
選定された代替案を実際に実施します。
この段階では、計画通りに進行するように管理し、問題が発生した場合には迅速に修正します。
また、実施後も効果を追跡し、目標通りの成果が得られているかを確認します。
バリューエンジニアリングの具体例
製造業におけるバリューエンジニアリングの具体例をいくつか紹介します。
材料代替
ある自動車部品メーカーでは、製品のコスト削減を目的に、使用していた金属材料を再評価しました。
その結果、同じ強度と耐久性を持ちながら、価格が低い合金に替えることで、製品のコストを大幅に削減することができました。
このような材料代替は、コスト削減と機能維持の両方を達成するための典型的なバリューエンジニアリングの例といえます。
プロセス改善
ある電子機器メーカーでは、製造プロセスを再検討し、無駄の多い工程を削減することで効率化を図りました。
例えば、自動化技術を導入し、人手による作業を減らすことで、生産コストを削減しながら、製品の品質を向上させることができました。
このようなプロセス改善も、バリューエンジニアリングの重要な一環です。
設計変更
ある家電メーカーでは、製品の設計を再度見直し、部品数を削減することで製造コストを大幅に抑えました。
特に、複雑な部品をよりシンプルで安価なものに替えることで、製造時間とコストを縮小できました。
設計段階での工夫は、後工程のすべてのプロセスに影響を与えるため、非常に効果的です。
最新技術動向とバリューエンジニアリング
バリューエンジニアリングは長い歴史を持つ方法論ですが、最新の技術動向を取り入れることによって、さらに効果を高めることができます。
デジタルツイン技術
デジタルツイン技術は、物理的な製品やプロセスのデジタルモデルを作成する技術です。
これにより、実際の製品やプロセスを仮想空間でシミュレーションし、最適な設計やプロセスを見つけることができます。
デジタルツインを活用することで、製品のコスト削減や機能向上のための検討をより迅速に行うことができます。
AIと機械学習
AI(人工知能)や機械学習を活用することで、莫大なデータから最適な改善案を見つけることが可能になります。
特に、生産データや品質管理データを解析することで、コスト削減や品質向上のためのインサイトを得ることができます。
AIは代替案の評価や選定においても強力なツールとなります。
IoTとスマートファクトリー
IoT(Internet of Things)技術を活用したスマートファクトリーは、工場内の全ての機器や工程をネットワークで繋ぎ、リアルタイムでデータを収集し管理します。
これにより、製造プロセスの最適化や異常検知が容易になり、コスト効率の向上が期待できます。
IoTはバリューエンジニアリングにおける情報収集やプロセス改善のための重要なツールです。
バリューエンジニアリングの将来展望
バリューエンジニアリングは、多岐にわたる業界で実践されており、多くの企業がそのメリットを享受しています。
今後も、技術の進化とともにバリューエンジニアリングの手法も進化していくでしょう。
以下にその将来展望をいくつか紹介します。
サステナビリティの重視
環境への影響を最小限に抑えることがますます重要になってきています。
バリューエンジニアリングの手法を使って、製品のライフサイクル全体を通じての環境負荷を削減することが重要です。
これには、リサイクル素材の活用やエネルギー効率の向上などが含まれます。
グローバル競争力の強化
国際的な競争が激化する中、バリューエンジニアリングは企業のグローバル競争力を強化するための重要なツールです。
例えば、異なる市場に適応した製品をコスト効率良く提供するためには、各市場のニーズに合わせたバリューエンジニアリングが求められます。
イノベーションの促進
バリューエンジニアリングは、単なるコスト削減手法ではなく、イノベーションを促進するための手法でもあります。
新しい技術やアイディアを積極的に取り入れ、製品やサービスの価値を高めることで、長期的な成長が期待できます。
まとめ
バリューエンジニアリングは、製品やサービスの価値を最大化するための強力な手法です。
コスト削減と機能向上を同時に実現することができ、多くの業界で活用されています。
情報収集、機能分析、創造的代替案の提案、評価と選定、実施と追跡というステップを経ることで、具体的な成果を得ることが可能です。
さらに、最新のデジタルツイン技術、AI、IoTなどの技術を取り入れることで、バリューエンジニアリングの効果を一層高めることができます。
今後も、企業はバリューエンジニアリングを活用し、環境への配慮やグローバル競争力の強化、そしてイノベーションの促進を図ることで、持続可能な成長を目指していくでしょう。
読者の皆様も、この手法を学び、実践することで、自社の製品やサービスの価値を最大化していただけたら幸いです。
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