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ホワイトオーク材は高い強度と美しい木目を兼ね備え、家具や建築、ウイスキー樽など幅広い用途で利用されます。
しかし酸、アルカリ、有機溶剤に長期間さらされると、木質成分が分解し、色調変化や機械的強度の低下が生じます。
近年、化学工場やバイオマスプラントなど木材が薬品に接触する場面が増え、耐薬品性能の向上が急務となっています。
そこで注目されているのがナノポリマー含浸技術です。
ナノポリマー含浸とは、平均粒径100nm以下のポリマー粒子を溶媒中に分散させ、真空加圧などで木材細胞壁内に浸透させる処理です。
細孔径が数十ナノメートルの細胞壁内部にまでポリマーが入り込むため、従来の表面塗布では得られなかった耐薬品性や寸法安定性が期待できます。
含浸後、還元剤や熱処理によってポリマーを架橋させることで、高分子ネットワークが木材内部に形成されます。
これにより化学薬品の侵入経路を物理的に遮断し、木質成分を保護します。
ホワイトオーク材の含浸に用いられる代表的なナノポリマーは以下のとおりです。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:酸・アルカリどちらにも安定し、イオン交換能を持つ。
ポリアクリル酸系:水分散性が高く、架橋密度を制御しやすい。
ポリシロキサンナノ粒子:無機骨格を持ち、耐熱性、耐溶剤性に優れる。
これらをブレンドすることで、目的の薬品耐性に合わせた設計が可能になります。
処理は大きく前処理、含浸、硬化の三段階で構成されます。
まずホワイトオーク材を乾燥させ、含水率8%以下に調整します。
次にエタノール洗浄で抽出成分を除去し、細孔に薬剤が入りやすい状態をつくります。
減圧500Paで15分間脱気し、そのままナノポリマー分散液を注入します。
続いて0.8MPaまで加圧し、30分保持して深部まで浸透させます。
分散液の粘度は10mPa·s以下に調整し、毛細管浸透を妨げないようにします。
含浸後、80℃で2時間プレキュアし、その後120℃で4時間ポストキュアします。
これによりポリマー間で架橋反応が進行し、ネットワーク構造が固定されます。
耐薬品試験ではJIS K 7201に準拠し、酸性溶液(10%硫酸)、アルカリ溶液(10%水酸化ナトリウム)、有機溶剤(アセトン)に24時間浸漬しました。
評価項目は質量変化率、曲げ強度保持率、色差ΔEです。
未処理材は硫酸で+7.2%、水酸化ナトリウムで+5.9%の吸液が確認されました。
ナノポリマー含浸材はすべての薬品で+1.0%以下に抑えられ、薬液侵入が著しく低減しました。
未処理材はアセトン浸漬後に70%まで低下しました。
一方、含浸材は95%以上を維持し、機械的劣化を効果的に防いでいます。
硫酸処理で未処理材はΔE=8.4と顕著な褐変が起きましたが、含浸材はΔE=2.1にとどまり、外観品質も保持されました。
細胞壁内部に形成されたナノスケールのポリマーネットワークは、化学薬品の拡散経路を閉塞します。
さらにポリマーとリグニン、セルロース間で水素結合や疎水相互作用が生じ、界面強度が向上します。
これが溶解や分解を抑制し、曲げ強度を保持する要因と考えられます。
ポリシロキサンを混合した系では無機Si–O–Si骨格が追加のバリア層となり、特に有機溶剤に対する耐性が向上しました。
化学プラントの薬液タンク内張りとしてナノポリマー含浸ホワイトオークが採用され、従来のFRPライニングを置き換えました。
設置後3年間でpH1〜13の洗浄サイクルを200回以上経験しましたが、表面の削れは0.05mm以下にとどまりました。
これによりメンテナンスコストが年20%削減されています。
またクラフトビール醸造所では、酸性洗浄剤による樽の劣化を防止するために含浸処理が施され、香味への影響もないことが確認されています。
従来の防腐剤や重金属系薬剤とは異なり、ナノポリマーは揮発性有機化合物をほとんど含まず、労働安全衛生上のリスクが低減します。
木材を長寿命化できるため、伐採量削減による森林保全にも寄与します。
ライフサイクルコストでも、未処理材を5年ごとに交換する場合と比較し、含浸材は10年以上使用可能で総コストを30〜40%低減できます。
一方でナノポリマー分散液の取り扱いには高度な分散技術が必要で、製造設備コストが高いという課題があります。
またポリマー成分のリサイクル手法が未確立のため、廃材処理におけるLCAの確立が求められます。
将来的にはセルロースナノファイバーやバイオベースポリマーを用いた含浸技術の研究が進展し、さらに環境性能を高める見込みです。
AIによる含浸シミュレーションを活用すれば、樹種や部材形状ごとに最適な処理条件を迅速に設計できるようになります。
ナノポリマー含浸はホワイトオーク材の耐薬品性能を飛躍的に高め、酸・アルカリ・有機溶剤による劣化を大幅に抑制します。
質量変化率の低減、曲げ強度保持、外観維持といった実験データが示すとおり、化学プラントや食品産業など過酷環境下での木材利用を可能にします。
環境負荷低減やライフサイクルコスト削減の面でも優位性があり、今後の木材高機能化技術の主流になると期待されます。
製造コストやリサイクルの課題を克服し、循環型社会に適合した材料としてさらなる発展が望まれます。

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