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ホワイトパイン材は北米や北欧に多く分布するマツ科の針葉樹で、軽量で加工性に優れるため建築内装や家具に広く用いられています。
比重はおおむね0.35〜0.40と低く、木材としてはもともと熱伝導率が小さい素材ですが、住宅の高断熱化が進む現在ではさらなる性能向上が求められています。
ナノポーラス構造とは、1〜100nm程度の微細な空孔を内部に均一に形成した多孔質構造を指します。
シリカエアロゲルなどの超断熱材で知られる技術ですが、近年は木質材料への応用研究が進んでいます。
多数のナノ空孔が空気を閉じ込めることで、熱の移動を抑制し、同じ厚みでも大幅な断熱性能向上が期待できます。
まずホワイトパインを過酸化水素水と酢酸を主成分とした溶液に浸漬し、リグニンと一部ヘミセルロースを溶解除去します。
これにより細胞壁が開き、薬液拡散と後段のナノ細孔導入が容易になります。
続いてテトラエチルオルトシリケート(TEOS)溶液を木材内部に浸透させ、酸触媒下で加水分解・縮合反応を進行させます。
細胞壁内にシリカネットワークが成長する際、自己組織化テンプレートとして界面活性剤を添加すると、ナノレベルの均一孔が形成されます。
温和な熱処理または超臨界CO₂乾燥を用いてテンプレートと残留溶媒を除去すると、ナノポーラス網目が残ります。
この工程で体積収縮を抑えながら含水率を5%以下に下げ、木材本来の寸法安定性を保ちます。
木材の熱伝導は主にセルロース結晶と空隙中の空気伝導で決まります。
ナノポーラス化により空隙が大幅に増加する一方、孔径がクヌーセン効果の閾値(約70nm)以下になるため、気体分子の自由平均行程が制限され、気体熱伝導が低下します。
さらにシリカ骨格が赤外線を散乱し、輻射熱の寄与も減少します。
結果として熱伝導率は未処理材の0.12W/m·Kから0.028W/m·K程度まで低減することが報告されています。
・サンプル厚み15mm、密度0.27g/cm³に対する熱フロー法測定では、λ=0.028W/m·Kを示しました。
・湿潤環境(20℃、RH90%)で72時間処理後もλは0.033W/m·Kにとどまり、吸湿による劣化は小さい結果となりました。
・曲げ強度は未処理材の85%に低下しましたが、建築内装用の規格強度を十分に上回っています。
1. 低熱伝導率による断熱性能向上
2. 軽量性の維持:シリカ導入後も密度は30%程度しか増加しない
3. 木質感・調湿性の保持:細胞腔は残るため、木質特有の快適性を損なわない
4. 難燃性の改善:シリカ骨格が酸素供給を抑制し、発火点が上昇する
従来のグラスウールやポリスチレンフォームに替わる自然素材系断熱材として、壁体厚の薄型化やZEH対応住宅に適します。
金属外板との複合パネル化で軽量かつ高断熱の輸送容器が実現できます。
高温多湿環境でも寸法安定性が高く、木の温かみを生かした内装が可能です。
・コスト:化学薬品と超臨界乾燥装置が高価で、量産時のイニシャルコストがネックです。
→界面活性剤のリサイクルや常圧乾燥プロセスの開発が進められています。
・強度低下:リグニン除去による脆化が一部見られます。
→樹脂含浸やラミネート加工で補強することで実用域を確保できます。
・リサイクル性:シリカ混在により通常の木質系リサイクル工程では処理が困難です。
→サーマルリサイクル前提の設計指針を整備し、分別回収ルートを構築する必要があります。
ナノポーラス化により細胞壁がシリカで被覆されるため、腐朽菌の侵入経路が減少し、生物劣化に対して耐性が向上します。
紫外線による退色は従来材と同程度に生じるため、屋外使用時にはUVカット塗装が推奨されます。
防水処理を施せば凍結融解サイクル20回試験でも割れや剥離は認められませんでした。
セルロースナノファイバーとのハイブリッド化や、バイオベースのシリカ前駆体利用によるグリーンケミストリー化が検討されています。
また、3Dプリンタによる木材積層造形と組み合わせれば、設計自由度の高い断熱構造体の製造も期待されます。
ナノポーラス構造を施したホワイトパイン材は、軽量性と木質感を維持しながら最高クラスの断熱性能を実現できます。
高断熱住宅や冷熱産業など幅広い分野で利用価値が高く、今後の量産技術確立とコスト低減が鍵となります。
自然素材由来のサステナブルな断熱材として、脱炭素社会の実現に大きく貢献する可能性を秘めています。

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