耐油紙の製造方法と食品包装向け紙の最新動向

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耐油紙とは

耐油紙は、油脂や水分が紙繊維の内部に浸透することを防ぐバリア性を備えた特殊紙です。
食品包装、ファストフード店のハンバーガー包装、ベーカリーの敷き紙、さらには工業用の潤滑油吸収シートなど、多岐にわたる用途で採用されています。
紙を基材に用いるため可塑性樹脂フィルムと比較して焼却処理が容易であり、リサイクル流通に乗せやすい点も評価されています。

耐油紙の製造方法の概要

耐油紙の製造は、大きく分けて「内部施薬(サイズ)」と「表面コーティング」の二つのアプローチがあります。
内部施薬は抄紙工程中に撥油剤を紙繊維の内部へ均一に浸透させる方法です。
対して表面コーティングは、抄紙後に紙の表面へバリア層を成膜することで高い耐油性を付与します。

内部施薬(サイズプレス)の仕組み

抄紙機のウェットエンドもしくはサイズプレス部で、スターチ液にフッ素系、ロジン系、アルキルケテンジマー(AKD)系などの撥水・撥油剤を分散させ、紙ウェブに含浸させます。
乾燥工程で薬品が紙繊維に定着し、紙内部に連続的な疎水相が形成されるため、油脂が繊維間へ拡散する速度を低減できます。
内部施薬はコストパフォーマンスに優れますが、高温の揚げ物油やグリースなど、浸透圧が高い媒体に対してはバリア性が不足する場合があります。

表面コーティング技術の発展

表面コーティングでは紙の表面に0.5〜4.0 g/m²程度のバリア層を付与します。
塗工方式はロッドコーター、ブレードコーター、アプリケータロールなどを使用し、ラインスピード200〜600 m/minで量産されます。
代表的なコーティング剤は以下の通りです。

ポリエチレン(PE)押出ラミネート

紙の上に溶融PEを押出し、冷却ロールで即座に固化させます。
油脂・水蒸気バリアに優れる一方、PE層がリサイクル時のマテリアル分離を阻害するため、欧州を中心に代替技術の探索が進んでいます。

水性バリアコート

アクリル系、EVOH含有、PU分散などの水性乳化体を数回積層する方法です。
溶剤レスでVOC排出量を抑えられるうえ、乾燥後は紙繊維との剥離が容易な配合設計も可能で、近年最も注目されています。
耐油性と同時に耐水・耐湿性を求める場合、無機板状フィラー(ハイドロタルサイト、タルクなど)を添加し拡散経路を長くする設計が採用されます。

生分解性ポリマーコート

PLA、PBS、PHAといった生分解性ポリエステルをエマルジョン化し、紙へ塗工する技術が商業化段階に入っています。
堆肥化条件下で分解可能なため、コンポスタブル容器向けに導入事例が拡大しています。
ただし、生分解には温度・湿度制御が必要で、常温環境での分解速度が遅い点が課題です。

シリコーン・フッ素系トップコート

微量のシリコーンやフッ素化合物をトップコートとして付与することで、接触角110°以上の超撥油面を形成できます。
食品接触用途ではフッ素系化合物のPFAS規制が強化されており、ノンフッ素化のシリコーン系やフッ素フリーの含フッ素類似ポリマーが研究されています。

品質管理と評価指標

耐油紙の性能評価はTAPPI T559法、KIT試験、GREASE RESISTANCE GR法など世界各地で標準化されています。
KIT番号は溶剤にピーナッツ油・パルミチン酸など11段階の混合液を用い、透過に要する時間で評価します。
食品包装に必要な耐油性能は一般的にKIT値6〜8以上が望まれ、フライドポテト用では10以上が求められます。

透気度、滑り性、引張強さ、耐熱シール性なども合わせて測定し、製膜条件を最適化します。
特に電子レンジ加熱対応品では、耐熱性と水蒸気バリアの両立が欠かせません。

食品包装向け紙の最新動向

脱PFAS化とEU規制動向

欧州化学庁(ECHA)はPFAS全般の使用制限案を提示しており、包装紙分野も対象に含まれます。
これにより、フッ素系撥油剤からノンフッ素系への切替が急速に進んでいます。
シリコーンハイブリッド、セルロースナノファイバー(CNF)、アルキルスルホン酸系などが実用化フェーズにあります。

紙単層構造(モノマテリアル)の拡大

リサイクル容易性を高めるため、PEやPETといった樹脂層を廃し、紙と水性コートのみでバリア性を確保するモノマテリアル設計が求められています。
日本国内では製紙メーカーが高固形分バリア乳剤を開発し、コーター改造なしで従来のPE紙を置換する案件が増えています。

デジタル印刷対応グレード

オンデマンド印刷市場の成長に伴い、インクジェット適性を有する耐油紙が注目されています。
染料や顔料インクの乾燥を妨げず、かつ油バリア性能を維持するため、コート層に微細多孔セルロースを含有させ吸液性を局所的に高める処方が採用されています。

機能統合型バリア紙

防臭性、酸素バリア、金属探知性など複数機能を一体化させた高機能包装紙が増加しています。
例として、EVOH系水性コートで酸素透過度を1cc/m²/day以下に抑えつつ、表層に撥油剤をグラデーション配置する多層コート法が挙げられます。
これにより乾燥スナック菓子やナッツの酸化劣化を防ぎながら、油脂染みも抑制できます。

サステナビリティとLCA評価

包装材料選定においては、原料調達から廃棄までのライフサイクルアセスメント(LCA)が重視されています。
耐油紙は基材が再生可能資源であり、CO₂排出量をフィルムより20〜40%低減できるケースが多いです。
しかし、PEラミやフッ素系添加剤を用いた場合、焼却時の有害フッ素化合物生成や再資源化阻害が問題視されます。
そのため、バイオマス由来バリアコートや、紙リサイクル工程で分離除去可能な熱可塑性ステアリン酸カルシウムコートなどが開発されています。

まとめ

耐油紙は内部施薬と表面コーティングによって高い撥油性を実現し、食品包装を中心に需要が拡大しています。
脱PFASやモノマテリアル化、生分解性ポリマー採用などサステナビリティを軸とした技術革新が進み、従来PEラミ紙の置換が加速しています。
品質評価ではKIT試験をはじめとする国際規格を満たすことが必須で、耐油性と印刷適性、リサイクル性のバランスが成功の鍵となります。
今後も規制動向と消費者志向を見据えた素材設計が求められ、耐油紙は食品包装の主流素材としてさらなる高機能化が期待されます。

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