二酸化炭素貯蔵による果実の呼吸抑制と鮮度保持

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二酸化炭素貯蔵とは何か

二酸化炭素貯蔵は、貯蔵庫や包装内の気体組成を通常の大気(酸素約21%、二酸化炭素約0.04%)とは大きく変え、酸素を低減させつつ二酸化炭素濃度を高める技術です。
Controlled Atmosphere(CA)貯蔵とも呼ばれ、果実の呼吸を抑制し、熟度進行と品質劣化を遅らせる目的で広く利用されています。
二酸化炭素濃度を上げることで生体内の代謝酵素活性が低下し、呼吸速度が低下するため、追熟や軟化、色変化などの劣化反応が遅延します。

果実の呼吸作用と品質劣化のメカニズム

果実は収穫後も呼吸を続け、糖や有機酸を酸化してエネルギーを得ています。
この呼吸過程で蓄積養分が消費され、柔軟性を保つ細胞壁のペクチンも分解が進むため、果肉が軟化します。
さらに、エチレンという植物ホルモンが生成されると、呼吸が加速するクライマクテリックピークが発生し、短時間で急速に劣化が進行します。
酸素が十分に存在し、温度が高いほど呼吸は活発化するため、低温や酸素制限は鮮度保持の基本戦略となります。

二酸化炭素貯蔵が果実に与える影響

呼吸抑制の仕組み

高濃度二酸化炭素環境では、呼吸鎖の末端における酸素の取り込みが競合的に妨げられます。
これにより電子伝達系が停滞し、ATP合成速度が低下してエネルギー需要が抑えられます。
結果として代謝速度全体がスローダウンし、呼吸熱発生も減少するため、低温維持が容易になる副次効果も得られます。

エチレン生成抑制

エチレン生合成経路では、ACCオキシダーゼが酸素を必要とします。
酸素が制限され、さらに二酸化碳素が直接的に酵素活性を阻害することでエチレン生成量が大幅に低下します。
エチレン感受性の高いキウイやバナナでは、貯蔵中のエチレン濃度が数ppm高まるだけで追熟が始まるため、二酸化炭素貯蔵は非常に有効です。

鮮度保持技術としてのCA貯蔵

CA貯蔵の運用方法

密閉倉庫に果実を収納後、窒素ガスで急速に酸素を2~3%まで下げ、二酸化炭素を5~10%に調整します。
以降はO₂とCO₂センサーを用いて自動制御し、空気を補充したり吸着剤でCO₂を除去したりしながら設定値を維持します。
包装単位ではMAP(Modified Atmosphere Packaging)が利用され、透過性フィルムと小型CO₂発生剤の併用で同様の効果を得ます。

具体的な濃度条件

りんご:O₂ 1~2%、CO₂ 2~3%。過剰なCO₂は褐変障害を招くため注意が必要です。
柑橘類:O₂ 5%前後、CO₂ 5~10%。苦味障害を抑えながらカビ発生を抑制します。
いちご:O₂ 2~5%、CO₂ 10~20%。高CO₂によりBotrytis cinereaの発生が抑制されますが、過度だと風味低下を招きます。

果実別の適用事例

りんご

1960年代からCA貯蔵が確立し、常温1~2か月の貯蔵寿命が、0℃・CA条件で半年以上に延長されました。
特にふじでは蜜入りの保持率が高まり、販売機会を冬季から初夏まで広げることで価格安定に寄与しています。

ぶどう

種無しぶどう「トンプソンシードレス」では、CO₂ 15%下で貯蔵するとベリー脱粒が抑制され、灰色かび病の発生も50%以上低減します。
乾燥を防ぐためにSO₂パッドと併用するケースも多く、複合的な品質保持体系が進んでいます。

いちご

いちごは呼吸速度が高く水分蒸散も大きいため、流通過程での損耗が課題です。
CO₂ 15%環境では表面のカビ発生がほぼゼロになり、糖酸比や色調も維持されます。
ただし渋みが出やすいため、輸送24時間以内など短期用途での利用が推奨されます。

導入のメリットと課題

メリット

・常温より低温貯蔵でも劣化進行がさらに遅れ、販売期間を大幅に延長できる。
・微生物増殖が抑えられ、農薬や防かび剤を削減できる。
・輸送中の呼吸熱が減少し、冷蔵エネルギーコストが低減する。

課題

・高CO₂感受性品種では褐変や組織障害が起こる可能性がある。
・設備導入コストが高く、密閉性能の維持と定期点検が必要。
・CO₂リーク時の作業安全対策、労働衛生基準への適合が求められる。

今後の展望と研究動向

近年は、ガス制御精度を高めるIoTセンサーやAI解析によるリアルタイム品質予測システムが実用化しつつあります。
また、1-MCPなどエチレン作用阻害剤との併用で、さらに鮮度保持期間を延ばす複合技術が研究されています。
持続可能性の観点からは、バイオガス由来CO₂の活用や再生可能エネルギーを組み合わせた低炭素型CA倉庫が注目されています。

まとめ

二酸化炭素貯蔵は、果実の呼吸とエチレン生成を同時に抑制し、鮮度保持期間を大幅に延長できる有力な技術です。
りんごや柑橘、ぶどう、いちごなど多様な果実で効果が実証され、流通ロス削減と収益向上に貢献しています。
一方で品種特性に応じた最適ガス条件の設定、安全管理、設備投資といった課題も伴います。
今後はIoT制御やエチレン阻害剤との併用などで運用効率が高まり、低炭素社会にも資する技術としてさらなる普及が期待されます。

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