フローリング材の違い―無垢フローリング・突き板・シートフローリングの特徴比較

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フローリング材の基本概要

住宅や店舗の床材として採用されるフローリングは、木質感の演出と掃除のしやすさを両立できる人気の仕上げ材です。
一口にフローリングと言っても、無垢フローリング、突き板フローリング、シートフローリングの三種類に大別されます。
それぞれ構造や質感、価格帯が大きく異なるため、用途やライフスタイルに合わせた選択が欠かせません。

無垢フローリング

構造と製造方法

無垢フローリングは丸太から切り出した一枚板をそのまま床材に加工したものです。
樹種ごとに木目や色合いが異なるため、天然木ならではの個性的な表情を楽しめます。
厚みは15~30mm程度が一般的で、厚いほど断熱性と遮音性が向上します。

メリット

天然木そのものを使用するため、経年変化で味わいが深まり資産価値を高めやすいです。
調湿機能が高く、室内の湿度を自然に調整してくれるため、夏はベタつきを抑え冬は静電気を軽減します。
傷が付いても削り直しやオイル塗装で再生できるため、長期的なメンテナンス性に優れます。

デメリット

材料コストが高く、施工にも高い技量が必要なため、初期費用が膨らみやすいです。
湿度変化で伸縮や反りが起こるリスクがあり、床暖房との相性は樹種選定や含水率管理が重要になります。
定期的なオイルやワックス塗布が不可欠で、メンテナンスの手間がかかります。

突き板フローリング

構造と製造方法

突き板フローリングは、合板などの基材に0.2~0.6mmほどの薄い天然木シートを貼り合わせた複合フローリングです。
基材は交互に木目方向を変えて積層しているため、無垢材より寸法安定性に優れ、床暖房対応商品も豊富です。

メリット

表面が本物の木であるため、無垢材に近い質感を比較的リーズナブルに実現できます。
含水率変化の影響を受けにくく、反りや割れの心配がほとんどありません。
UV塗装や抗菌塗装など多彩な表面仕上げが可能で、傷や汚れにも強い仕様を選べます。

デメリット

表面材が薄いため、深い傷が付くと基材が露出し補修跡が目立ちやすくなります。
再研磨できる回数が限られ、長期的な張り替え需要が想定されます。
木目の継ぎ目が均一化される傾向があり、無垢材特有の大胆な表情がやや薄れます。

シートフローリング

構造と製造方法

シートフローリングは、MDFやパーティクルボードの基材にオレフィンシートやメラミン化粧シートを貼った床材です。
木目柄はプリント技術で再現され、近年は凹凸エンボス加工により触感も向上しています。

メリット

三種類の中で最もコストが安く、量産住宅やリフォームで導入しやすいです。
耐水性・耐汚染性が高く、台所や洗面所など水回りでも採用しやすいです。
色柄のバリエーションが豊富で、石目やタイル風など木目以外のデザインも選択できます。

デメリット

表面は印刷シートのため、人工的な風合いを完全には払拭できません。
深い傷が付くと印刷層が破れて基材が見え、部分補修が難しいです。
紫外線でプリントが色褪せる可能性があり、カーペットを敷いた部分との色差が出る場合があります。

性能比較

耐久性

無垢フローリングは削り直しが可能で、理論上は半永久的に使用できます。
突き板は表面厚によりますが、二度程度の再研磨が限界です。
シートは再研磨不可のため、表面が摩耗すれば張り替えとなります。

遮音・断熱

板厚のある無垢材が最も断熱性に優れますが、マンションでは重量による遮音等級の規定に注意が必要です。
突き板とシートは中空層が少ないため踏み心地が硬く冷えやすいですが、防音マット併用で補えます。

メンテナンス

無垢材は定期的な再塗装が必要ですが、自然塗料を使えば手入れ自体も楽しめます。
突き板はワックスフリー仕様が増え、日常は乾拭きで十分です。
シートは汚れや水分に強く、掃除機と水拭きで簡単に維持できます。

コスト比較

無垢フローリングは材料費だけで1坪あたり2万~6万円、施工費も厚み調整や釘打ちで高めです。
突き板は1万~3万円程度で、施工費は無垢より抑えられます。
シートは8千円前後からあり、住宅一棟分をまとめ買いすればさらに割安になります。

用途別おすすめ材

リビングやダイニングなど来客が多い空間には、意匠性と耐久性のバランスが取れた突き板が適しています。
寝室や書斎など落ち着きを求める場所では、無垢材の温かみと調湿効果が快眠をサポートします。
キッチンや洗面室のように水や油が飛散する場所は、耐水性に優れたシートフローリングが安心です。

選び方のチェックポイント

ライフスタイルの優先順位

小さなお子様やペットがいる家庭は、傷や汚れへの耐性を重視し突き板やシートを選ぶとストレスが減ります。
天然素材志向で経年変化を楽しみたいなら無垢材がおすすめです。

床暖房の有無

床暖房を導入する場合、含水率5~8%に調整された複合フローリングが安全です。
無垢材を使うなら、ナラやカバザクラなど熱変形に強い樹種を選定し、メーカー保証の有無を確認します。

メンテナンス負荷

日々の掃除に時間を割けない方は、ワックスフリー塗装やシート材で手間を軽減できます。
長期的に床を育てる趣味性を重視するなら、無垢材とオイルフィニッシュの相性が抜群です。

よくある質問

Q. 無垢フローリングは湿気が多い地域でも使えますか

A. 可能ですが、施工前に含水率を適正値まで下げ、床下換気を確保することが重要です。

Q. ペットの爪傷が心配です。おすすめはどれですか

A. 突き板やシートフローリングのハードコート塗装品を選ぶと傷が目立ちにくいです。

Q. 賃貸物件でも張り替えられますか

A. はめ込み式のフロアタイルや置き敷きタイプを検討すれば、原状回復も容易に行えます。

まとめ

無垢フローリング、突き板フローリング、シートフローリングは、それぞれに独自のメリットとデメリットがあります。
天然木ならではの質感とリフォームの楽しみを重視するなら無垢材。
価格と安定性のバランスを求めるなら突き板材。
耐水性とコストパフォーマンスを優先するならシート材。
以上のポイントを踏まえ、使用する部屋の環境や家族構成、将来設計に合ったフローリング材を選択することで、快適で美しい床空間を長く維持できます。

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