パーテーションの種類と活用方法―オフィス・飲食店・医療機関での導入事例

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パーテーションとは?役割とメリット

パーテーションは空間を物理的・視覚的に仕切ってレイアウトや動線を最適化する設備です。
密集を避けたいシーンやプライバシーを確保したい場面で重宝され、感染症対策として透明パネルが急速に普及しました。
遮音・遮視・動線整理・ゾーニングなど複数の役割を同時に果たせる点が最大の魅力です。
レイアウト変更が比較的簡単で、間取り工事より低コストかつ短納期で導入できるため、オフィスや商業施設だけでなく医療現場でも採用例が増えています。

材質別パーテーションの種類

アクリルパーテーション

透明度が高く圧迫感を与えないのが特徴です。
飛沫感染防止の定番で、受付カウンターや商談スペースに多く導入されています。
軽量で加工性も高く、レーザーカットでロゴを入れるなどデザイン面の自由度も優れます。
アルコールに強い仕様を選ぶと除菌作業が容易になります。

ガラスパーテーション

高級感と耐久性を兼ね備え、オフィスの会議室やホテルラウンジで採用されています。
防音性能や防炎性能に優れ、長期的な使用を前提とした投資に向きます。
重量があるため設置には専門工事が必要ですが、透明感を損なわずに空間を仕切れるのが強みです。

樹脂・プラスチックパーテーション

ポリカーボネートなど衝撃に強い樹脂を使用したタイプです。
アクリルより割れにくく、屋外イベントやスポーツ施設での利用に適します。
紫外線カット加工を施した製品は経年変色を抑えられます。

布製・ロールスクリーンタイプ

視線を遮りながら風や音を通しやすい点が特徴です。
吸音材入りのものは簡易的な防音ブースとしても利用できます。
メカニカルな部材が少ないためコストを抑えられ、カラーや柄を自在に選べるのでインテリア性を高めたい店舗に人気です。

木製・スチールパネル

重厚感があり半永久的に使えるため、役員室やクリニックの診察室で採用されています。
木目シートや抗菌コーティングを組み合わせればデザインと衛生の両立が可能です。
マグネット対応鋼板入りのタイプなら掲示板としても活用できます。

設置方式による分類

据え置き型

床に脚を置いて立てる最も一般的な方式です。
配置変更が容易で、イベントやシーズンごとにレイアウトを変えたい場合に向いています。

可動式・キャスター付き

キャスターでスムーズに移動できるため、会議室の拡張や店内動線の臨時変更に便利です。
ロック機構付きキャスターを選べば安全性が高まります。

天吊り型

天井からワイヤーやレールで吊り下げる方式で、床面を広く確保できます。
飲食店のカウンター席や病院のベッド間隔に多く導入され、清掃ロボットの走行や車椅子の通行を妨げません。

デスクトップ型

デスク上に置く小型タイプで、オープンスペースの固定席や受付窓口で利用されます。
軽量で導入コストが低く、個々の作業スペースにパーソナルな安心感を付加します。

オフィスでの導入事例

近年のABW(Activity Based Working)を取り入れるオフィスでは、可動式パーテーションで状況に応じて空間を再構築する事例が増えました。
プロジェクトルームでは高めの吸音パネルを用いて集中環境を作り、チームミーティング時はキャスターで一部を開放してフラットな場を確保します。
ガラスパーテーションにホワイトボードフィルムを貼り付け、メモ書き可能な会議スペースとして活用するケースもあります。
また、リフレッシュスペースは低めの布パネルで緩やかに仕切り、視線のストレスを軽減しながらコミュニケーションが生まれやすい配置にするなど、多彩なレイアウトが実現しています。

飲食店での導入事例

感染症対策で一気に普及したのが卓上アクリルパーテーションです。
しかし近年は透明度の高い強化ガラスを選び、フレームを極細にして高級感を演出する飲食店が増えています。
座席間を木製ルーバーと組み合わせた半個室仕様では、空調の流れを妨げずに落ち着いた雰囲気を提供できます。
また、カウンターの天吊り型樹脂シートは、夜間は巻き上げて収納し、清掃の効率を高める運用も行われています。
可動式パネルを活用し、ランチタイムは団体席、ディナーはカップル席と用途を分けて売上単価を最大化した事例も注目されています。

医療機関での導入事例

クリニック受付では曲面加工したアクリルパネルを採用し、飛沫防止と導線誘導を同時に実現しています。
診察室と処置室の間仕切りとしては遮音性を重視したスチールパネルが人気で、プライバシー保護と医療機器の壁掛けニーズを満たします。
入院病棟では天吊りカーテンからPVC透明シートへ切り替え、視認性を確保しながら感染リスクを低減するケースが増加しました。
さらに、移動式パーテーションで臨時発熱外来を設置し、平時は畳んで倉庫保管するBCP対策も評価されています。

活用のポイントと選定基準

1. 目的を明確にする
 遮音、遮視、感染症対策、デザイン性など、重視する項目を絞り込むと適切な材質と仕様が選びやすくなります。
2. 安全基準を確認する
 不燃・難燃性能、転倒防止機構、飛散防止フィルムなど、業態ごとの法規を満たす必要があります。
3. メンテナンス性を考慮する
 アルコール清拭の頻度や汚れやすさを想定し、交換部材やスペアパネルの供給体制もチェックします。
4. レイアウト変更のしやすさ
 業務フローの将来的な変化を見越し、モジュール性や拡張性の高いタイプを選定すると長期コストを抑えられます。

メンテナンスと安全対策

アクリルや樹脂は微細な傷が付きやすいため、中性洗剤と柔らかいクロスで優しく清掃します。
アルコール消毒を行う場合は、ひび割れを防ぐために耐アルコール仕様か事前テストが必要です。
ガラスパネルは飛散防止フィルムを貼り、地震時の安全性を高めることが推奨されます。
キャスター付きタイプは月に一度ブレーキ機構を点検し、床面のレールや段差に引っ掛かりがないか確認します。
天吊り型では金具の緩みやワイヤーの劣化が大きな事故につながるため、年次点検を義務化すると安心です。

まとめ

パーテーションは材質、設置方式、サイズによって用途が大きく広がり、オフィス・飲食店・医療機関それぞれで最適解が異なります。
目的を明確にし、法規と安全性をクリアしたうえでデザインと機能を両立させることが導入成功の鍵です。
可動式やモジュール式を選べば事業環境の変化にも柔軟に対応でき、投資効果を最大化できます。
適切なメンテナンスを継続し、高品質な空間づくりにパーテーションをぜひ活用してください。

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