製造業の購買担当者がAIにかわることってあり得るの?
製造業において国際調達は不可欠な活動となっていますが、国際契約法の違いに注意が必要不可欠です。調達購買部門は製品の調達だけでなく法的リスク回避にも注視すべき重要な分野なのです。
国際商取引では様々な法域が絡みますが、基本的には契約締結国の法律が適用されます。たとえばアメリカと交渉した場合は米国法、ドイツとはドイツ法が適用されると考えられます。ただし契約上明示的又は黙示的に選択した法域の法律を適用することも可能です。契約締結時に適用法を明記することで後に争いの原因となりますね。
また国際契約では通常英語が用いられますが、契約文言の意味合いが国によって異なることがあります。例えば英米法と英独法では「合意」や「免責」の定義が異なる場合があるので、契約作成時には協議する必要があるでしょう。同様に消費税率や輸入関税、法的責任の範囲も国によって異なります。
紛争が生じた場合の管轄裁判所も契約で明記する必要があります。国際紛争ではどこの国の裁判所が管轄するかは重要視されます。一般に契約締結国の裁判所の管轄と定められますが、経済力のある国の裁判所を選択することも有利な場合があります。
加えて紛争解決方式としては裁判のほかに仲裁も選択肢となります。仲裁では国際律師団による解決が期待できますが、執行力を欠く面があるため裁判所判断を求める方が安心感があります。
以上のように国際調達契約では法的リスクを円滑に回避するための工夫が求められます。購買部門は契約締結に当たって適用法、文言のニュアンス、紛争時の対処方法など法律顧問と十分協議することをおすすめします。何よりも文書化された明確な契約締結が法的安定性向上につながるでしょう。
調達購買業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた購買情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。