投稿日:2024年12月16日

電子機器の熱設計に必要な熱流体基礎とモデルベース開発

はじめに

電子機器がますます小型化し、性能が向上する中、熱設計の重要性は増しています。
適切な熱管理ができていないと、デバイスの寿命が短くなり、パフォーマンスが低下する可能性があります。
この記事では、電子機器の熱設計において基礎となる熱流体力学と、近年注目されているモデルベース開発の活用方法について解説します。

熱流体力学の基礎

熱流体力学は、熱と流体の動きに関する理論を解き明かす学問です。
電子機器の設計では、これらの理論を活用して効率的な放熱を実現することが求められます。

熱伝導

熱伝導は、物質内の高温部分から低温部分へ熱が伝わる現象です。
電子機器内部で発生する熱を効率よく外部へ導くためには、材料の熱伝導率を理解し、適切な素材を選ぶことが重要です。

対流

対流は、流体(空気や液体)が動くことにより熱が伝わる現象です。
電子機器の内部や周囲の空気の動きを制御することで、熱を効果的に逃がす設計が求められます。

放射

放射は、物体から赤外線などを介して熱が放出される現象です。
これは対流や熱伝導とは異なり、真空中でも起こるため、放熱フィンなどの設計において考慮されます。

モデルベース開発とは

モデルベース開発(Model-Based Development, MBD)は、システムのモデルを作成し、そのモデルを元に設計、検証、最適化を行う手法です。
これにより、複雑なシステムの動作をシミュレーションすることで、開発の効率化を図ります。

なぜモデルベース開発が必要か

従来の方法では試作と実験に多くの時間とコストがかかっていました。
モデルベース開発を活用することにより、コンピューター上で設計の妥当性を確認することができ、試作回数を減らします。

熱設計でのモデルベース開発の活用

熱設計においてモデルベース開発を利用することで、以下のような利点があります。

  • 熱流体解析ソフトウェアを使ったシミュレーションにより、最適な放熱構造を設計できる。
  • 温度分布の解析で、局所的な熱の蓄積を未然に防ぐことが可能。
  • 設計変更が必要な場合でも、スピーディーに対応できる。

熱設計におけるモデルベース開発の具体例

モデルベース開発を用いた熱設計の具体的なプロセスを以下に示します。

初期モデルの作成

まず、電子機器の構造、素材、予想される熱源などを考慮して初期モデルを作成します。
この段階で、熱伝導、対流、放射などの要素を可能な限り詳細に取り込むことが求められます。

シミュレーションと評価

初期モデルを基に、熱流体解析ツールを使用して熱挙動をシミュレーションし、効率的な放熱が実現できるかを評価します。
このプロセスにより、物理的な試作を行わずに設計の妥当性を確認することが可能です。

設計の最適化

シミュレーションの結果に基づき、放熱フィンの配置、素材の変更、内部の空間配置の調整などを行い、最適な放熱設計を探ります。
モデルベース開発では、こうした最適化を繰り返し迅速に行うことができる点が魅力です。

モデルベース開発の導入によって生まれる可能性

製造業にモデルベース開発を導入することにより、熱設計の効率が大幅に向上することが期待されます。

開発期間の短縮

コンピューターシミュレーションを駆使することで、試作回数を減らし、設計変更にも素早く対応可能であり、開発期間の短縮に大きく貢献します。

品質の向上

実物を作らずに仮想環境で性能評価が行えるため、リスクを早期に発見し、製品の品質を向上させることができます。

コストの削減

試作・検証にかかるコストを削減することで、製品単価を抑え、競争力を高めることが可能です。

まとめ

電子機器の小型化と高性能化が進む中で、熱設計はますます重要になってきています。
熱流体力学の基礎を理解し、モデルベース開発を活用することにより、効率的で最適な放熱設計を実現し、製品の競争力を高めることができます。
製造業の現場でこの考え方を広めることができれば、業界全体の技術力向上に寄与すると考えます。

資料ダウンロード

QCD調達購買管理クラウド「newji」は、調達購買部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の購買管理システムとなります。

ユーザー登録

調達購買業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた購買情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。

NEWJI DX

製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。

オンライン講座

製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。

お問い合わせ

コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(Β版非公開)

You cannot copy content of this page