生鮮魚介輸送で利用される紙製吸水パッドの改良事例
生鮮魚介輸送における紙製吸水パッドの重要性
生鮮魚介を新鮮なまま小売店舗や消費者に届けるためには、輸送中の品質保持が不可欠です。
特に魚介類は水分を多く含むため、輸送中にパック内へ水分やドリップ(細胞から出る液体)が発生しやすくなります。
これにより、食品の鮮度低下や見た目の悪化、さらには衛生面の問題にも繋がります。
現在、多くの流通現場では、この問題を解決するために紙製吸水パッドが活用されています。
紙製吸水パッドは、パック内の過剰な水分をしっかりと吸収し、魚介の品質・見た目の保持に大きな役割を果たしています。
従来型紙製吸水パッドの課題
紙製吸水パッドは、魚介類の輸送・販売の現場で長らく使われているアイテムですが、その供給量や吸水量には限界がありました。
特に従来型の吸水パッドは次のような課題を抱えていました。
吸水力不足による液漏れ
吸水パッドが吸収できる水分量は、紙の種類や構造によって決まります。
従来の紙製パッドは構造が単純なため、魚介から多量のドリップが出た場合、一部が吸収しきれず容器内に溜まり、液漏れや見た目の悪化、においの発生といった悪影響がありました。
強度・耐久性の問題
従来品の多くは、水分を十分に含むと強度が低下し、パッド自体が破れたり、崩れたりするケースがありました。
これにより、パッドの内部に閉じ込めた水分が再び外へしみ出してしまうトラブルも報告されていました。
環境負荷とコストの問題
紙製パッドには、高吸水性ポリマーや樹脂素材が組み合わされている場合もありましたが、環境負荷やコスト面から見直しの対象になっていました。
近年プラスチックごみ削減の動きも進み、よりエコロジーな素材・構造への転換が求められています。
新たなアプローチによる紙製吸水パッドの改良事例
こうした課題を受けて、各メーカーや包装資材会社では、機能性を高めつつ環境負荷を抑える紙製吸水パッドへの改良が進められています。
いくつか注目される事例を紹介します。
多層構造の導入による吸水力アップ
最新の紙製吸水パッドでは、表層・中間層・底層といった多層構造が一般化しています。
表層には素早く水分を取り込むための親水性が高い紙、ほかに長期間保持できるパルプ層、中層には水分拡散やゲル状に変化する吸水性素材を組み込むことで、短時間での吸収・長時間の保持力を同時に実現しています。
これにより、従来製品と比較して吸水量が1.5~2倍に向上した例もあり、大型魚やカニ・エビなど大量にドリップが出やすい魚介の輸送にも対応できるようになりました。
強度を高める紙繊維技術の応用
日本の製紙メーカーでは、微細な紙繊維を絡め合わせたフェルト状シートのノウハウが生かされています。
これを使うことで、吸水後も強度を保ち、多少取り扱いが乱暴になっても形崩れや破れが起きにくくなります。
耐水性の天然接着剤の使用や、適度に通気性を持たせる設計も効果的です。
これにより、魚介の重みや水分に耐えつつ、余分なガスやにおいを逃がして品質保持に貢献します。
完全紙製&生分解性パッドの開発
環境配慮型のアプローチとして注目されるのが、完全紙製、100%生分解性の吸水パッドです。
高吸水性を持つ繊維素系の特殊紙やセルローススポンジを組み合わせ、「リサイクル可能」かつ「堆肥化可能」な商品が登場しています。
生鮮魚介類はスーパーやデパートなど大量流通するため、パッドの廃棄も大量になります。
ゴミの削減や分別簡略化、SDGsへの対応の観点からも、こうした天然素材主体のパッドは評価が上がっています。
紙製吸水パッドの改良がもたらす効果
紙製吸水パッドの改良による現場でのメリットは多岐にわたります。
鮮度保持・棚持ち向上
ドリップや余分な水分をしっかり吸収できることで、魚介の身の変色や臭い移り、べたつき・ぬめりの発生を抑制します。
パックから出したときの商品価値も高まり、鮮度や味の評価が向上し、廃棄ロス削減にもつながります。
衛生管理の向上
余分な水分が容器内で長時間停滞しないため、雑菌の繁殖を抑える効果が期待されます。
特に温度管理や衛生基準が厳しい食肉・魚介加工現場では、この点が重要です。
作業性・コストの最適化
吸水性能が向上することで、同じ量の魚介類であれば、これまでよりも薄型・小型のパッドを使える場合があります。
これにより資材コストが抑えられるほか、ごみ処理の面でも負荷を軽減できます。
パッドの強度アップは、取り扱い時や陳列時の作業負担軽減にもつながります。
今後の展望と求められる改良ポイント
ペーパーパッドは、今や生鮮魚介流通の中で標準的な資材の一つですが、今後も時代とニーズの変化にあわせて進化が期待されています。
温度変化や冷凍・解凍への対応
今後の課題としては、輸送中の急激な温度変化や、冷凍→解凍工程においても吸水力や強度を維持できるパッドが重要となります。
季節や商品ごとに専用設計されるケースも増えていくでしょう。
魚種別・用途別のカスタマイズ対応
例えば脂の多いマグロ、ドリップ大量発生が予想される貝類や甲殻類など、魚介ごとに最適な吸水構造や素材の展開も今後は加速していきます。
商品ロットや配送条件、店舗での陳列時間などに応じて、オーダーメイド吸水パッドの拡大も考えられます。
持続可能性とサステナブル資材の追求
SDGsやグリーン調達への社会的な関心は今後さらに高まるでしょう。
紙の原材料にFSC認証や再生パルプを採用したり、非木材素材(バガス、ケナフ、竹パルプなど)の活用など、よりサステナブルな吸水パッドが求められています。
まとめ:生鮮魚介輸送の品質向上に貢献する紙製吸水パッドの進化
魚介類の新鮮なおいしさや美しさを損なわず消費者に届けるためには、目に見えない部分での工夫が不可欠です。
紙製吸水パッドは、その一例として現場で進化を続けてきました。
吸水量、保持力、強度、環境対応—こうした要素をトータルで高める商品が今後も次々登場するはずです。
生鮮魚介流通の現場で安心・安全・高品質な配送を実現する技術として、紙製吸水パッドのさらなる発展が期待されます。
流通・小売・消費者それぞれの立場からも、品質保持と環境にやさしい選択肢として「改良型紙製吸水パッド」の導入推進がますます重要になっていくでしょう。