ポータブル粒子計数器の清浄度ISOクラス評価と等価粒径設定
ポータブル粒子計数器による清浄度評価の重要性
クリーンルームや各種製造現場において、空気中の微粒子の管理は品質を守るために欠かせません。
そのための必須ツールが「ポータブル粒子計数器」です。
この計測器は微細な粒子をリアルタイムに測定でき、現場ですぐにその場の清浄度を把握することができます。
多くの産業現場では、清浄度管理の国際基準であるISOクラスに準拠した運用が求められており、ポータブル粒子計数器の役割はますます重要となっています。
ISOクラスの概要と必要性
ISOクラスとは、国際標準化機構(ISO)が定めたクリーンルームやクリーンゾーンの清浄度を示す規格です。
ISO 14644-1は代表的な規格で、空気1立方メートルあたりの粒子数(粒径ごと)でレベルが決まります。
例えば、ISOクラス5では0.5μm以上の粒子数が1立方メートルあたり3520個以下である必要があります。
このような規格に基づく清浄度管理によって、半導体や製薬、医療デバイスのように微小な粒子が重大な影響を及ぼす分野では、国際競争力や製品安全性の向上が実現できます。
さらに、製造プロセスの標準化や省力化、安全性の向上にも繋がります。
粒子計数器の基本的な仕組み
ポータブル粒子計数器は、主に光散乱方式を用いて空気中の微粒子の数や大きさを測定します。
装置内部にあるレーザーやLED光源が空気中の粒子にあたり、その散乱光の強度をセンサーで検出します。
散乱光のパターンや強度によって、粒子の大きさ(粒径)や数を割り出すのです。
計測した粒子数データはISO規格が求めるサイズごとの集計に活用され、作業エリアの清浄度判定、異常の早期発見、品質トラブル予防に役立ちます。
ポータブル粒子計数器の特徴と利点
最大の特徴は、可搬性と即時性です。
場所を選ばず、現場の任意ポイントですぐに空気中の清浄度を測定できるため、定期点検やトラブル調査、緊急時の原因究明に威力を発揮します。
また、多くのモデルで複数の粒径範囲(例:0.3μm、0.5μm、5.0μmなど)を同時計測でき、ISOクラスごとに必要な粒子サイズごとのカウントにシームレスに対応できます。
計測データは本体のメモリに保存できるほか、PCやクラウドにエクスポートし、時系列で履歴管理やトレンド分析も可能です。
これにより、複雑な清浄度管理やバリデーションの効率化、万一の異常発生時の迅速な是正処置につながります。
ISOクラス評価に必要な粒径設定
ISO 14644-1では、0.1μm〜5.0μmまでの範囲の粒径で分類がなされており、どの粒径を選んで評価するかが非常に重要です。
代表的な粒径
一般的に、ISOクラス評価で重視される粒径は0.5μmと5.0μmです。
これは、これらのサイズの粒子が製品への付着や混入による影響が大きいためです。
特に半導体や医薬品分野では、0.3μmやそれ以下も重要視されます。
ISO規格における粒径選定の留意点
ISO 14644-1では、必ずしもすべての粒径サイズで判定する必要はなく、規格表の「最小粒径」や「最大粒径」欄に「n.a.」と記載があればその粒径では判定不要です。
ただし、GMPや独自の品質管理基準がある場合は、追加で0.3μmや0.1μmなど細かい粒径もチェックすることが推奨されます。
測定する粒径を正しく設定していない場合、不適切なISOクラス評価に繋がる恐れがあるため、運用前に規格要求やアプリケーションのリスク管理基準を明確にしておきましょう。
等価粒径(Equivalent Particle Diameter)の考え方
粒子計数器の測定結果の信頼性を確保する上で重要なのが「等価粒径」の概念です。
等価粒径とは
粒子は実際には様々な形状・性質を持ちますが、多くの粒子計数器は球形の粒子(通常はポリスチレン・ラテックス球)を基準に校正されています。
そのため、測定される粒径データは「等価球体直径」とも呼ばれ、実際の不定形粒子の場合には多少の誤差が生じる可能性があります。
運用上の留意点
等価粒径設定は、メーカーや使用機器ごとに校正粒子や光学系の仕様が異なる場合があり、同じ現場でも機器ごとの測定値が異なることもあります。
そのため、バリデーションや定期点検時は「同一モデル」「同一校正基準」を用いることが望ましいです。
また、ISO評価の際には、「計数器がどのような粒子に対して等価粒径を持つか」を報告書やマニュアルに必ず明記することが推奨されます。
異なる校正基準や粒子計数器同士のデータ比較にも留意しましょう。
最適な測定環境とISO評価手法
クリーンルーム内での粒子測定は、測定者の動きや空調の影響を受けやすい傾向があります。
そのため、定常運転時や最悪条件での測定(例:作業者配置時・シャットダウン時など)を組み合わせて、総合的な清浄度評価を実施することが重要です。
測定ポイントの決め方
ISO 14644-1では、部屋の面積・構造に応じて必要なサンプリングポイント数が規定されています。
レイアウト図に基づき、部屋内を均一に分布させることが推奨されます。
測定高さは、作業面付近(例:80〜120cm)で行うのが一般的ですが、動線や機器配置の影響を受けないように設計しましょう。
測定回数・測定ボリューム
測定は1ポイントあたり複数回(通常は3〜5回)、規定されたサンプリングボリュームを確保して実施します。
ISO 14644-1の推奨値(例:最小2リットル/分×最低20分、または合算50リットル以上など)を参考にします。
また、ポータブル粒子計数器の最大処理可能風量に応じて、合算分析や統計的な補正を行います。
校正とトレーサビリティの確保
ポータブル粒子計数器は定期的な校正が不可欠です。
JCSS認定校正やISO/IEC 17025に準拠した校正サービスを利用し、国際標準へのトレーサビリティを証明できるようにします。
これにより、ISOクラス評価結果が国内外どの顧客にも信頼される品質データとなります。
まとめ:正確な粒子測定が品質維持の鍵
ポータブル粒子計数器による清浄度のISOクラス評価と等価粒径の正確な設定は、製造現場や開発現場における品質維持、顧客満足度向上、国際規格への適合やGMPコンプライアンスに直結する極めて重要な施策です。
測定機器の正しい選定・設定、規格の理解、校正・品質管理体制の確立が、最先端産業を支えるための基本となります。
多様化・高度化する清浄度要求に対応するためには、最新型のポータブル粒子計数器とともに、適切な運用方法・管理スタイルも同時にアップデートしましょう。
ISOクラス評価や等価粒径設定についての知見を深め、自社に最適な清浄度管理体制を構築していくことが、今後ますます重要になるでしょう。