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高性能ゴムとは、従来の天然ゴムや汎用合成ゴムよりも、耐熱性、耐薬品性、低燃焼性、機械的強度などに優れた特殊合成ゴムを指します。
代表例としてフッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、パーフロロエラストマー(FFKM)などが挙げられます。
これらは自動車、航空機、宇宙、石油化学プラントなどの過酷環境下で長寿命を発揮するため、市場での需要が年々拡大しています。
高性能ゴムでもっとも課題になるのは、金属や複合材、異種ゴムとの接着強度をいかに確保するかです。
接着は、化学的結合、物理的絡み合い、分子間力によって成立します。
ゴムは弾性変形するため、接着界面に剪断力や剥離力が繰り返し入力されやすく、微小な界面欠陥が寿命を左右します。
そのため、接着剤の選定だけでなく、表面粗化やプライマー処理による化学的アンカー形成が不可欠です。
金属母材の場合、サンドブラストやショットブラストで酸化スケールを除去し、アンカー形状をつくることが基本です。
さらにリン酸亜鉛皮膜処理やサイレント処理により耐食性と接着活性点を同時に付与します。
プライマーは、フィルム状のクメン樹脂、クロロプレンゴム系、フェノール系などが主流で、ゴム加硫時の架橋反応に同調して化学結合を形成します。
加硫接着(ボンディング)は、未加硫ゴムを金型内で金属と同時成形する方法で、最も高い接着強度が得られます。
一方、完成部品に後から接着する場合は非加硫接着(セカンダリー・ボンディング)を採用し、加熱硬化型エポキシ、ウレタン、シリコーン系接着剤を選択します。
最近はプラズマ処理や紫外線オゾン処理による表面活性化と、常温架橋型シランカップリング剤の併用で工程短縮を図る事例が増えています。
エンジンマウントはゴムと金属ハウジングを強固に接着しなければ機能しません。
HNBRやEPDMを用いた液封マウントでは、硫黄系加硫剤とメタクリル酸亜鉛を併用し、フェノール系プライマーで6MPa以上の剥離強度を確保しています。
また、電動車両ではモーター高回転域での高周波振動対策としてシリコーンゴム複合マウントが採用され、耐熱200℃の接着剤が研究されています。
リチウムイオン電池パックは、冷却水や埃の侵入を防ぐために難燃性のシリコーンフォームガスケットが用いられます。
アルミハウジングとの接着にはプラズマ処理後にエポキシシラン系プライマーを塗布し、低温硬化型シリコーン接着剤で組立ライン時間を短縮しています。
UL94 V‐0を満たしつつ、耐熱125℃、1000時間後でも圧縮残留応力の15%以内を達成しています。
車体の軽量化では、薄肉鋼板やアルミに防振ゴム層を貼り合わせた制振パネルが用いられます。
耐チッピング性を持たせるため、変性エポキシゴム接着剤を自動ラミネートし、180℃×20分の焼付けでラインタクトに適合させています。
さらにマグネシウム合金ステアリングホイールにEPDMバイブレーションダンパーを直接成形接着することで、従来比25%の軽量化と同等のNVH性能を実現しています。
航空機ドアシールは、離陸から巡航まで1分間に数百回の圧力変動を受けます。
フッ素シリコーンゴム(FVMQ)をハニカム複合パネルに接着し、‐55℃から+200℃までの温度サイクルで剥離が起きないことが求められます。
プライマーにはフッ化ビニリデン系ラテックスをベースに、銀微粒子を分散させた導電性タイプを採用し、静電気放電対策を兼ねています。
燃焼室周辺では300℃を超えるため、パーフロロエラストマーガスケットが使用されます。
ニッケル基超合金との接着で問題になるのは、酸化スケールの再生成です。
その対策として、レーザーアブレーションによる微細凹凸形成後、無電解ニッケル‐リンメッキを施し、リン酸ジルコニウム系プライマーで化学架橋を促進しています。
結果として、熱衝撃1000サイクル後でも漏洩率1×10⁻⁶ Pa・m³/s以下を達成しています。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とゴムを接着する場合、成形時のアウトガスや樹脂リッチ層が障害となります。
ピールプライと呼ばれる剥離布を貼り、オートクレーブ硬化後に除去することで清浄面を確保し、エポキシ・シラン二段プライマーでゴムを加硫接着します。
これによりCFRP胴体用の外部アクセスハッチシールで、従来比30%の重量削減とメンテナンス工数半減を実現しました。
高性能ゴムの接着では、温度、加圧、湿度のプロセスコントロールが重要です。
プライマー塗布後の放置時間が長いと界面に水分が吸着し、加硫時にブリスターが発生します。
そこで、IoT温湿度センサーとバーコード管理を連携させ、作業開始から10時間以内に金型投入するルールを徹底します。
加硫後は、180度剥離試験、熱老化後の剪断試験、X線CTによる界面空隙解析を行い、統計的工程管理(SPC)で異常を検知します。
近年はAI画像検査でピンホールやプライマー塗りムラを自動検出し、歩留まりを3%向上させた事例も報告されています。
自動車のEV化、航空機のサステナビリティ要求により、ゴム部品にはさらなる軽量化と長寿命が求められます。
それに応えるため、以下の技術が注目されています。
・バイオ系モノマーを用いた次世代フッ素ゴムと、VOCフリーの水系プライマー
・レーザー直接構造化(LDS)によるゴム界面への機能性導電パターン形成
・デジタルツインを活用した接着界面応力シミュレーションと最適化
高性能ゴムの接着技術は、材料開発、表面処理、プロセス管理の三位一体で進化しています。
自動車と航空機市場の実践事例に学びながら、次世代モビリティの高信頼性を支える要素技術として、さらなる研究開発が期待されます。

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