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焼戻しは、焼入れによって硬化した鋼を再加熱し、所定の温度で保持後に冷却する熱処理です。
目的は、焼入れで生じた残留応力の緩和、硬さと靭性のバランス調整、組織の安定化にあります。
焼入れ直後のマルテンサイト組織は硬いものの脆く、内部応力も大きい状態です。
焼戻しを行うことでマルテンサイトが分解し、微細炭化物が析出しながらマルテンサイトや残留オーステナイトが転移し、機械的性質が総合的に向上します。
1. 昇温:炉内を制御しながらゆっくり昇温し、温度むらを防ぎます。
2. 保持:目標温度に達したら鋼種に応じた時間保持し、組織変態を完了させます。
3. 冷却:空冷または油冷などで所定の速度で冷却します。
焼入れの硬度を確保しつつ、靭性を高めることが最大の狙いです。
焼き戻しによって発生する微細炭化物が転位をピン止めし、降伏強度を向上させます。
また、残留オーステナイトが分解し、寸法安定性と耐摩耗性も改善します。
硬度を保持しすぎると脆性破壊が起こりやすくなり、靭性を優先しすぎると摩耗やへたりが増えます。
焼戻し温度を細かく調整することで、目的用途に合ったバランスを設定できます。
焼戻し温度の設定は、鋼種と要求特性により決定します。
硬度をほとんど下げずに残留応力を除去します。
工具鋼やベアリング鋼で用いられ、高硬度を維持しつつ初期欠陥を低減します。
トルスタイトやソルバイト組織が生成され、靭性が大幅に向上します。
構造用合金鋼や機械部品で最も一般的です。
高張力鋼や圧力容器用鋼で採用され、降伏比を調整し溶接性も改善します。
パーライトが生成し、耐熱性も向上します。
量産現場では、ガス炉、電気炉、真空炉などが使われます。
温度均一性は±5℃以内が理想で、熱電対による複数点計測と炉均一性試験(TUS)を定期実施します。
自動制御装置により昇温勾配、保持時間、冷却速度をプログラム化し、品質ブレを最小化します。
酸化スケールの生成を防ぐため、窒素や水素を混合した保護ガス雰囲気を採用するケースが増えています。
真空炉では脱ガス効果も得られ、清浄組織が実現できます。
焼戻し脆性、寸法変化、表面脱炭が代表的な課題です。
350〜450℃域で急冷すると靭性が低下する現象で、不純物元素が粒界に偏析することが原因です。
対策としては徐冷または二段焼戻しにより粒界偏析を抑制します。
不均一加熱や急冷による応力差が主因です。
治具固定、温度むらの低減、保温後の緩慢冷却が有効です。
酸化雰囲気での長時間保持が原因です。
窒素ベース雰囲気、真空処理、または浸炭層がある場合は追加仕上げ研削が必要です。
港湾クレーンや橋梁部材には780MPa級の高張力鋼が使用されます。
焼入れ後の硬度はHB 420程度ですが、靭性を確保するため580℃で2時間保持し、空冷焼戻しを実施します。
結果として、降伏強度は650MPa、シャルピー吸収エネルギーは70J以上を達成し、溶接熱影響部との強度マッチングも得られました。
AI制御による炉内温度フィードバック、ウェアラブルセンサーでのリアルタイム歪み計測、レーザーを用いた選択的局部焼戻しなどが研究されています。
さらに、水素還元炉によるCO₂フリー熱処理や、3Dプリンタ積層鋼材の組織均質化焼戻しにも注目が集まります。
焼戻しは古典的な熱処理ながら、デジタル技術の導入で精度と生産性が飛躍的に向上し、鋼材の高性能化を支え続けるでしょう。

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